イノベーションと競争優位 コモディティ化するデジタル機器

  • NTT出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757121829

感想・レビュー・書評

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  • エレクトロニクス関連の
    いくつかのカテゴリーでは、
    日本は技術的には先導しているにも関わらず、
    急速な製品価格の低下に直面し、
    収益的に苦しむという現象が発生しています。


    本日ご紹介する本は、

    光ディスク、HDD、
    テレビ、半導体の業界を例に
    その実態把握と原因の究明、
    打開策の提案をおこなっています。

    我々の市場に直接関係が深い業界の
    アウトラインをつかめますので
    大変ためになる1冊です。

    ポイントは
    「コモディティ化」

    コモディティ化とは、一般消費材のように
    参入企業が増加し、商品の差別化が困難になり、
    価格競争の結果、利益を上げられない価格になること。
    例えるとコンビニに売っているようなものです。

    エレクトロニクスの業界は
    そもそも高度な技術が必要な商品なのに
    なぜこのようなことになるのでしょうか。

    一番の理由はモジュール化です。
    商品を構成する部品がモジュール化することで
    生産コストは下げられますが、誰でも作れるようになります。

    もう一つの理由は顧客価値の頭打ちです。
    商品がドンドン普及すると、その商品に
    こだわる人が少なくなり、必要な機能が
    動けば、なんでもいいという人が増えます。


    ではどうすればいいのでしょう。


    「前提」

    前提として、いずれはコモディティ化するとして、
    もっと広い範囲の中で、どこで利益を上げるべきかを
    考えなくてはならない。

    コモディティ化した商品を扱っているにもかかわらず
    利益を出している企業はたくさんあります。



    「不確実性」

    新しい技術を開発する時は、
     技術自体の選択が正しいか、
     技術目標を達成できるか、
     適切な応用分野があるか、
     マーケットに受け入れられるか
    このようなことは、ある程度やってみないと
    わからない不確実なものです。

    でも、先に必要となるだろう技術を予測することはできます。
    先を読んで仮定しましょう。


    「MOT」

    MOTというのは技術経営のことです。

    米国のMOTへの取り組みは、
    基本的にはビジネス・スクールによって主導されています。
    日本では、まだそのようなことが少ないです。
    技術と経営の両方の専門的な知識をバランス良く
    兼ね備えることが重要です。

    ぜひ、読んでみてください。



    ◆本から得た気づき◆
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
    中身がインテグラルなモジュールで付加価値を獲得することは、日本企業の最大の強みなので、徹底追求すべきである
    部品技術をもたず部品を作れない「単なる組立屋」の競争力はきわめて脆弱である
    完全競走化を避けるために、「差別化可能なモジュールをいかに自社のセットに占有化させるか」
    「次世代技術」に要求される「不可欠な要素」の予測は相当程度、正確にできる
    戦略的な提携は今後ますます重要=すべてを自前で開発するのは困難である
    MOT=技術と経営の両方の専門的な知識をバランス良く兼ね備えていることは重要
    日本の技術者はリーダーシップをとる立場にありながら、より狭いバックグラウンドしかもっていない
    部品やデバイスで大きな利益を獲得するには、その分野のプラットフォームリーダーになることが重要
    部品やデバイスの技術を活用しながら、擦り合わせの付加価値を生み出していく戦略は、日本企業の戦略の中心
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ◆目次◆
    序論 利益につなげるイノベーション
    Ⅰ コモディティ化が提起する新たな経営課題
     1.コモディティ化による価値獲得の失敗
     2.統合型企業のジレンマ
     3.イノベーションとコモディティ化 
    Ⅱ 産業分野別の競争構造
     4.光ディスク産業の競走と国際的協業モデル
     5.HDD産業のイノベーションとグローバル競走
     6.テレビ産業の競走と利益獲得方法の多様化 
    Ⅲ イノベーションと技術経営
     7.半導体産業に見るイノベーションと経営課題
     8.米国における技術経営の進化
    結論 新たな利益獲得・成長戦略
    ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

    ◆マインドマップ◆
    http://image02.wiki.livedoor.jp/f/2/fujiit0202/47ae2bc5b4985959.png
     

著者プロフィール

慶應義塾大学教授

「2005年 『イノベーションの収益化』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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