イノベーションを実行する―挑戦的アイデアを実現するマネジメント
- NTT出版 (2012年11月23日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (348ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757122871
作品紹介・あらすじ
成功のカギは、チーム編成や、計画の立て方、実験・評価プロセス、マネジメントにある!第一人者が10年をかけて行った調査研究をもとに、いかに実行すべきかをわかりやすく体系的に論じた「実践の書」。
感想・レビュー・書評
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既存企業は、どのようにして新規事業を成功させるかという具体的な手法の本。イノベーションの実践のための本ともいえる。
今までよく語られているイノベーションの定義(誤解?)は、一番シンプルなもので、イノベーション=アイデア(ビッグアイデア)、であるとしたもので、っそしてイノベーション=アイデア+実行→イノベーション=アイデア+プロセス→イノベーション=アイデア(複数)+リーダー(複数)という、製品イノベーションや改善的なイノベーションでは通用するが、今、求められているのは、
イノベーション=アイデア+リーダー+チーム+プラン
とする。
そして、チームという組織論と、プランという不確実性の中での、評価方法や進捗管理の仕方を提示する。
イノベーション・イニシアチブ(取組・プロジェクト)のチーム=専任チーム+パフォーマンス・エンジンチーム(既存事業での業務との兼務チーム)として、そのチームの運営方法や、仮説としてのプランの評価や組織としての学習プロセスに関して、解説している。
イノベーションという一種、掴みにくく、誤解の多い概念の実践方法の一つを、研究成果としてまとめていながらも、ビジネスパーソンが読んでも納得のいく内容。
素晴らしい本ですよ。 -
タイトル:イノベーションを実行する
所要時間:12:22
読書:9:23
書評:2:59
評価:3点(5点満点)
内容
イノベーションを如何に実行するかに関して、「人材・組織面」と「戦略・プロセス面」から解決策を示した本。同著者の「ストラテジック・イノベーション」の延長線上にあり、手法をより具体化した内容。
1 人材・組織
1.1 新規事業組織を構成する人材
①新規事業専任チーム と ②新規・既存事業共通スタッフ(既存・新規事業両業務を兼任) から構成される。
②共通スタッフを組み入れることで、既存組織からの人材資源の借用が可能となる。ベンチャーにはない既存企業の資源を活用するために、専任人材のみでなく共通スタッフを使うべき。
1.2 専任人材と共通スタッフの使い分け
共通スタッフで可能な業務は共通スタッフが実行すべき(理由:より習熟し洗練されている)。
共通スタッフで可能かどうかを把握するには、彼らの限界を把握すればいい。
※共通スタッフの限界
共通スタッフの限界を規定する要因は①個人のスキルの限界 ②業務上の関係からくる限界 の2点ある。
業務上の関係には3つの側面があり、(1)深さ (2)パワーバランス (3)作業リズム である。この3つのいずれかが既存事業と新規事業が異なると、共通スタッフでは対応出来ない可能性が高まる。
(1)深さ(関係性の深さ):個人(または部門)Aと個人Bの業務上の関係の深さが既存事業と新規事業で異なる場合、上手く行かない。例として、既存事業では断片的な関係しかない部門AとBが新規事業では業務全体で関係する必要があるとしても、既存事業での関係性に引きずられ新規事業でも深い関係を築こうとしない。
(2):パワーバランス:既存事業では個人Aが上司だが、新規事業では個人Bが上司としても既存事業での関係性が引きずられる。Bが上司であるかのように振る舞おうとする。
(3)作業リズム:商品開発などにおいて、事業期間が既存事業は1年、新規事業は1か月としてもスタッフは対応出来ない。
※共通スタッフの、業務上の関係からくる限界が生じる理由
業務上の関係が新規事業と既存事業で異なる場合に共通スタッフは対応出来ない理由は、個人や部門は複数の業務上の関係を持つ柔軟性を持っていないこと。
※②業務上の関係からくる限界は①個人のスキルの限界 より大きな障害となる
理由は、①は個人を変えれば(教育などで)対応出来るが、②は組織を変える必要があるため、
(所感)
共通スタッフが同時に2つ以上の業務上の関係を持てない理由は、人・組織の簡単には変われないという性質(組織の慣性)だろう。イノベーションに限らず組織を深く理解しようとすると、人の性質を理解することが必要。つまり、心理学を学ぶことが必要だろう。
→心理学に立脚した組織論を学びたい。
(所感)
多少単純化しており、例外はあるだろう。殆ど全ての人は2人以上の人と異なる業務上の関係を築き、臨機応変に業務上の関係を変更しているが、対応出来ている。関係の差異が増大すればする程、対応出来ない可能性が高まると理解した。
1.3 専任チームにとっての障害
(課題)
既存組織の①本能 ②出来上がっている業務上の関係 が専任チームの障害となる。
①本能:既存事業で学んだ思考や行動のパターン。専任チーム人材が新規事業に対しても適用しようとし障害となる
②出来上がっている業務上の関係:既存事業で出来上がった業務上の関係を新規事業にも適用しようとし障害となる
(解決策)
外部人材の採用が最も効果的な解決策。理由は、外部人材には①既存事業で形成された本能はないし、②業務上の関係も白紙であること。
※専任チーム人材は外部採用すべきか、内部登用すべきか
外部採用者の利点と内部登用者の利点のバランス。
内部登用者の利点は、①既存事業人材との関係性 ②自社に関する知識 の2点だろう。それが、既存事業からの借用能力の高さに繋がる。
・専任チームと共通スタッフによる新規事業のマネジメント
(課題)
①公式な資源配分:新規事業に資源配分がなされない(既存事業が資源独占)
②非公式な資源配分:共通スタッフ個々の意識内で、新規事業でなく既存事業を過度に重視
③専任チームと共通スタッフの協働:性質の違いにより、協働困難
(解決策)
①-1:公式な資源配分は1つのプラン、1つのプロセスを通じ実行する
目的はCEOなど上級エグゼクティブの高関与を維持すること。複数のプラン、プロセスで資源配分すると、全てに上級エグゼクティブが関与することは不可能。その関与なしでは、新規事業は既存事業より権力が弱いため、資源獲得が出来ない。
①-2:新規事業は既存事業に十分な資源使用料を払う
①-3:新規事業は既存事業に使用した資源ではなく、配分された資源に対し支払う
新規事業がどれだけの資源を使用するかは不確実だが、その不確実性は既存事業にとり迷惑。だが配分された資源に支払いすればこの問題は解決する。
①-4:借用資源過不足への対策を事前に考案する
新規事業による既存事業の資源借用量は、急に増減する不確実性の高いもの。だが使用した資源ではなく配分された資源に対し支払いするなら、新規事業の持つ資源に過不足が生じてしまう。そこで、事前に資源が不足・過剰になった際の対応を考案しておけば、資源過不足の問題が軽減される。
②-1:共通スタッフの評価に反映
例:共通スタッフである営業担当が新規事業の製品を販売した場合、売上として評価する
②-2:共通スタッフへの目標やボーナスの提示
③-1:責任の分担を明確化
共通スタッフと専任チームが互いの役割を理解すれば協働しやすくなる
③-2:共通スタッフと専任チームが共有出来る価値観を強化
③-3:共通スタッフとの協働の必要度が高い業務は、専任チームの社内登用人材(外部からの採用者でなく)に任せる
③-4:専任チームを共通スタッフのそばで働かせる
接触時間多いと仲良くなる
③-5:共通スタッフの評価に、専任チームと協働する能力・姿勢を組み込む
①~③共通-1:新規事業リーダーの振る舞い (前向きで説得力があり、協力的な姿勢)
新規事業は既存事業の共通スタッフの協力を得る必要があるが、そのためには(1)協力を得られないという困難に負けない前向きな姿勢 (2)既存事業や上級管理職を納得させる説得力 (3)友好的関係を築くための協力的姿勢 が必要
①~③共通-2:上級エグゼクティブの支援
新規事業を支援する上級管理職:新規事業は権力が弱いので、上級管理職の支援が不可欠。
2 戦略とプロセス(規律ある実験)
2.1 新規事業における目標
序盤は業績ではなくプロセス(新規事業に関する学習)を求め、不確実性が減るに従い業績を求めるべき。
新規事業は不確実性が高く、①事業としての魅力度 ②具体的ビジネスモデル の不確実性を減らし明確化していくことが重要。そのためには時間がかかるが、急ぎ業績(利益)を求めると短期視点に陥りプロセス(学習)が阻害される。
※学習の指標
予測の正確度が学習の指標になる(不確実性の低減度合を示すため)。
2.2 新規事業におけるあるべき学習プロセス
以下3点から構成される。以下詳細に述べる。
①実験を整理し、形式化する
②仮説を分解する
③真実を追究する
2.2.1 実験を整理し、形式化する(学習プロセスの全体像)
直感任せの学習ではなく、科学的手法が求められる。具体的には以下。
(1)実験プランの作成
(2)予想される結果と、仮説(予想を支える根拠や想定)を記録(文章に残す)
(3)実験実行→結果の記録
(4)予想と結果の違いから仮説検証し、仮説を進化させる
→(1)に戻り、不確実性が十分低減するまで(1)~(4)を繰り返す
如何に早く安く正確に学ぶかが、勝負所。
※実験による学習と仮説思考
実験による学習は、仮説思考そのもの。だが外部からのプレッシャーや内部における人材と組織要因が絡み、仮説検証が困難となっている。
2.2.2 仮説を分解する(実験プランの作成と仮説の明確化)
2.2.2.1 仮説分解の方法(=因果関係の図示)
漠然としていた仮説を分解し単純化・明確化することで、検証が容易となる。
仮説分解のツールは「スプレッドシート(財務諸表など)」ではなく、「結果とプロセスを繋ぐ因果関係図」である。多くの新規事業において、仮説を表現する方法としてスプレッドシートが採用されているが、それでは他者が仮説を認識しづらい。
※因果関係図の例
広告費増加→試用率増加→販売数量増加→売上増加 のような因果関係を図示したもの。どのような仮説を基に戦略立案されているかが明確になる。
2.2.2.2 仮説検証の優先度
①影響度(仮説の正誤が結果に与える影響の大きさ) ②不確実度(仮説が誤りの可能性) の2点に基づき仮説検証の優先度を決定する。①影響度、②不確実性共に高い仮説程、検証の優先度が高い。
2.2.3 真実を追究する(実験結果を評価し、学習に繋げる)
2.2.3.1 実験結果から学習することの難しさ
科学的実験の効果を高めるためには客観性が必須だが、それは困難。理由は、①内部要因:実験プランへの思い入れ ②外部要因:業績で評価したがる外部者からの圧力。
2.2.3.2 実験結果から学習するための解決策
①新規事業チームの人員の資質:実験結果が仮説と違うことを認める客観性、そのための謙虚さが求められる。
②新規事業リーダーの評価:結果、行動、学習の3面から評価すべき。
結果:予想通りの結果を出したか?
行動:実験計画をきちんと実行したか?
学習:あるべき学習プロセスに従ったか?何を学んだか?
※特にイノベーション初期では、結果ではなく行動と学習を重視すべき
3 イノベーション・リーダーに求められる資質
以上、新規事業に求められる要素を組織面、プロセス面から述べたが、それを基にイノベーション・リーダーに求められる資質を定義してみる。
※書籍『第8の習慣』で提示された個人を評価するフレームワーク「身体・知性・感情・精神」を使用した
●身体
高い身体的負荷に耐える身体力が必要。
理由①:不確実性が高い環境であり、業務負荷が急激に変化する→負荷高くなる可能性あり
理由②:新規事業は一般に権力弱いため、不十分な資源下での業務を強いられやすい
●知性:
・思考:仮説検証力
・知識:業界に関する知見や経験/新規事業全般に関する知見や経験
・スキル:新規事業推進に関するスキル
・直感:不確実で変化する内外環境を感じ取る直感力
●感情
・既存事業組織に対して:良好な人間関係を築く社交性・協力的姿勢
・新規事業組織に対して:
価値観や戦略の提示力
変化する環境に刺激され変化していく社員を感じ取る共感・理解力
困難な状況に遭遇する社員を鼓舞する力
●精神
・主観的情熱:困難で不確実な状況でも前進し続けられる情熱
・客観的冷静:学習を促進するために必要な客観性
※両者を相反する性質を持つため、併せ持つ人材は希少だろう -
新しくイノベーションチームをつくるにあたって、
①チーム作り
②素早い学習
について、まとめられた1冊。私の求めている短期の社外のプロジェクトとは若干外れていたことと、そもそもの文章の読みにくさから★3にしました。
【イノベーションは可能か?】
しばらく前に、ある経験豊富なエグゼクティブがさりげなく言った。「既存の企業組織にイノベーションなんて、そもそも可能だろうか?」
継続事業は反復的だが、イノベーションは反復できないので、イノベーション・リーダーは組織編成について全く違う考え方をしなくてはならない。
継続事業は予測可能だが、イノベーションは不確実なので、イノベーション・リーダーはプランニングについて全く違う考え方をしなくてはならない。
【チーム】
共通スタッフ+専任チームの共同事業により、イニシアチブを実行する。
専任チームを結成するときのアドバイスは、
1.必要なスキルを明確にする
2.可能な限り最高の人材を採用する
3.専任チームの組織モデルを仕事の内容に合致させる
既存企業内部のイノベーションに向けては、次の2つの条件が加えたい。
1.企業内部で新しい部門を創設して育てた経験者が少なくとも数名、専任チームにいると役立つ。
2.専任チームのトップ・リーダーは政治的な手腕があって、共同事業を構築するのに長けていなくてはならない。
【既存事業に飲み込まれてしまうワナ】
1.インサイダー重視
プライド:社内リーダーで、自信があれば、社内の人間でイノベーションは賄えると過信している。
なじみ:スキルよりも自分の知っている人を思い浮かべてしまう。
気楽さ:既存の権力構造が揺さぶられぬよう、内部で片づけたい。
便利さ:外部からの採用がなく、手っ取り早い。
報酬規定:社内で確立している給与体系が当てはまらない場合、外部の人材採用は難しい。
社内の人間にチャンスを与えたい:社員が魅力を感じている中で、外部の人間を雇うと、社内の人間のモチベーションが失われる可能性がある。
組織の記憶もリスクになる。過去に学んだ習慣やバイアス、行動・思考パターンを引きずってしまうことで、継続事業の小さい版になってしまうこともある。
そのため、「社風を変えたければ、人を変えることだ。」
2.役割・責任について、これまでの規定を用いる
これまで通りにならぬためには、
①なじみのない肩書きを使う
②新たに職務内容を決める・書かせる
③専任チーム用のスペースを(安くていいので)確保する
3.継続事業に支配される
専任チームの位置を組織図の中で明確にする、権限をはっきり定めないと、何か意見の対立が生じたときに継続事業のが権力が強くなることが多い。
4.既存のKPIで業績評価をする
専任チームの目的に合致した、数値目標を立てなければ、モチベーションは維持されない。
5.異なる社風の創造に失敗する
経路依存性、というか、これまでの社史・ストーリーに意思決定は大きく影響を受ける。
6.できあがったプロセスを使う
効率性を重視して、出来合いのプロセスを使うと、継続事業と変わらなくなる。
7.同質化圧力に屈する
コスト削減の一手に、あらゆるサポート機能の標準化がある。あらゆる手段で効率を最大化しようとするサポート機能にたいして、専任チームは例外扱いをしてもらえる素地を作らなければならない。
→要は0ベースで取り組める土台をつくらなければ、継続事業のコピーになってしまうよという教え。
【パートナーシップの課題】
①希少なリソースをめぐる継続事業とイノベーション事業の争い
・共有スタッフに充分な支払いをすること
・配分されたリソースに支払いすること
・業績評価を継続事業と切り離すこと
②共有スタッフの関心の奪い合い
・上層部の理解を得る
・資産(ステークホルダーとの関係性、ヒトモノカネのリソース)を弱体化させないよう努力する
・カニバリゼーションで継続事業の社員が身の危険を感じるようなことはしない
・共通スタッフに具体的な目標や追加報酬・ボーナスを与える
③共通スタッフと専任チームの溝
・専任チームのがスキルが高いと感じさせ、共通スタッフに落ち目を感じさせない
・CEOや上層部があまりにイノベーションに加担しすぎることはしない
・業績評価は継続事業とイノベーション事業で分けて考える
・役割、責任、文化、決定権を明確する
・互いのチームが共通でもてる価値観を全力で強化する
【規律ある実験】
イノベーション・リーダーの重要な管理責任の1つが、学習することである。学習は早ければ早い方がよい。
・料理でもテレビゲームでもまずはやってみて、試行錯誤のうちに腕があがるものだ。そんなに整ったプロセスで実験はしてはいけない。
・ビジネスの世界では、迅速に明確で完全な結果がでる実験は、わずかにすぎない。
・条件が理想的とは行かない場合、人間が直観によってのみ学習する能力は驚くほど低下する。原因と結果を結び付けられず、バイアスがかかってしまうのだ。
・不確実性が増すほどプランニングの価値は減少するかと思いきや、実験結果を予測する目的はそこにはない。予測の価値は正確性にあるのではなく、その後の結果の解釈の目安になれるかどうかである。学習のステップとして欠かせないのは、予測と結果の食い違いを分析することだ。
・これから行う実験に複数の未知数がある場合には、どの未知数が最も重要かを事前に検討しておくべきだ。どの想定が間違っていたら、イニシアチブ全体を即座に停止すべきか?評価にはどんな数値指標を使えばいいか?
【学習の責任】
・真剣にプランを作成しているか
計画を会待ち立てても意味がないと軽視する傾向にあるが、イノベーションの土台になる仮説をきちんと立て直しするプロセスがなければ、学習はまず無理。
・土台となる明確な仮説があるか
何が分かっていて、何が分かっていないのか。これまでの結果から因果関係マップが描けているか。
・土台となる仮説をチーム全員が理解しているか
学習はチームプレイ。自分の言葉で仮説を語らせることで、チームへの浸透度が分かる。
・仮説は修正すべきだという証拠があったときのみ、修正しているか
自分の都合で仮説を修正していないか(易きに流れていないか)。下方修正するときには、必ず投資に対するリターンを再評価する必要がある。
・チーム全員が最も重要な未知数を認識しているか
最も重要な未知数を最も低コストでつきとめる方法はないかを慎重に検討したい。
・リーダーもチームも新しい情報に素早く反応しているか
学習スピードは計画を見直すスピードと結びついている。
・リーダーは学習意欲をもち、チームにももたせているか
簡単に継続事業の心理に入り込んでしまうかもしれないリスクがあることを心得ておく。
・リーダーは真実と向き合っているか
リーダーが全身全霊を傾けても真実が見えないことがある。結果のデータについてオープンに話し合い続けなければならない。
・予測の精度が上昇しているか
明らかに予測が改善されていっているか -
『イノベーションを実行する―挑戦的アイデアを実現するマネジメント』読了 ★4つ(5点満点)
http://www.amazon.co.jp/dp/475712287X/
ビジャイ・ゴビンダラジャンの著書。
相変わらず読みにくい名前。みなさん、3回連続で発音できるかやってみてください。(^^)
既存の大企業における新規事業をはじめとするイノベーションを起こす実行方法について書かれた本。
ベンチャー起業とひと味ちがう大企業ならではの難しさと回避方法について書いてある。
専任組織をどう作るか、専任組織と既存組織のあるべき関係について具体的に述べられています。
イノベーションチームの目的が、(結果ではなく)実験・学習であるのは、「リーンスタートアップ」に通じるものがありますね。
大企業での新規事業に関わる人は必読か?
この本の難点は、大企業またはすでに確立された事業がある中堅企業を想定しているのでベンチャーとかには役に立ちにくいこと。
イノベーションの「実行」が大変とのことで(まあ、確かにそうだんだけど)、「すでにいいアイデアがある」ことが前提になっていることか。
読む人を選ぶ本かもしれません。 -
◆イノベーション=アイデア+リーダー+チーム+プラン、中間レベルの組織とプランニングについても考慮する必要がある。
◆深く関与するエグゼクティブなしには、ほとんどのイノベーション・イニシアチブは成功しない。
◆イノベーション・イニシアチブの組織は「共通スタッフ」⇔「共同事業」⇔「専任チーム」の関係によって構成される。このうち、共通スタッフと共同事業スタッフはパフォーマンス・エンジンに所属している。
◆「今日の仕事を任されているグループに、同時に明日の仕事をさせようとしても無理だ。緊急性の方が重要性より常に優先されるから」
◆イノベーション専任チームには外部と内部の人間の両方が必要である→パフォーマンス・エンジンとの円滑な共同作業のために
◆イノベーションが成功するためには、短期的なニーズより長期的なニーズを優先するという決断を繰り返し実行する必要がある
◆イノベーション・イニシアチブにおいては、基本的にプランは間違っているかもしれないと考える
◆イノベーションの計画の価値は、その後の学習の目安として役立つことにある。正確性が必ずしも最重要ではない。
◆イノベーションにおいては、結果・行動・学習の切り口でコミットを設ける -
大企業において
イノベーションを実行する為には
イノベーション専業チームを作るべきであり、そのチームは継続事業チームと連携する必要がある
短期的な利益貢献が出来ないイノベーション専業チームは周りの理解と、特に取締役のサポートが必要 -
新着図書コーナー展示は、2週間です。通常の配架場所は、3階開架 請求記号:336.1//G74
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ダートマス大の教授の方の本。イノベーション・イニシアチブとパフォーマンス・エンジン、専任チームと共通スタッフ。分業・チーム作成・マネジメント。
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イノベーションを実行していくことは、登頂後無事に山を降りてくるような困難さを伴う。既存の継続事業(パフォーマンス・エンジン)との共存しつつ、イノベーションを実行するためのチームづくり、学習・評価プロセスについての処方箋が記されている。頭でわかっても、その通り実行するにはかなりの勇気は必要そうだ。