- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784757142138
作品紹介・あらすじ
学問で重要なのは、大学の制度や母国といった「ヤシガラ椀」の外に出ることだ-『想像の共同体』の著者が、学問とは何か、研究では何が大切かを、自らの地域研究、比較研究の軌跡と学問的制度の変遷を振り返りつつ、日本の若い読者に向けて綴る。
感想・レビュー・書評
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『想像の共同体』で有名なベネディクト・アンダーソンの、いわば”回顧録”にして、アンダーソン流”学問の方法論”を綴ったエッセイ。
ナショナリズムについて考えるゼミの参考文献として指定され、自分もそのつもりで読んだので、少し拍子抜け。
訳者の解説によれば、日本は『想像の共同体』が広く読まれている地域のひとつであり、さらにアンダーソンとの縁も深く、日本の読者のために何か!という趣旨から生まれた企画だそう。
そのような方向で気を取り直して読んでみると、学術書ではなく完全なるエッセイ形式なためか、すいすい読めるし面白い。
”回顧録”と”学問の方法論”については、その生い立ちからはじまり、なぜ自分が東南アジア地域研究に従事することになったのか、地域研究の特性はどこにあるのか、「比較」という方法、日米大学教育の今昔、学際的研究のとらえ方、などなど、話題がもりだくさんであり、ここには要約しきれない。
アンダーソンの姿勢――それは同時に日本の読者(とくに若者)へのメッセージでもあるのだろうが――として特徴的なことは、この書の題名『ヤシガラ椀の外へ』にも表れているように、「とにかく自分の文化の外に出よ!」ということ。
様々な文化・言語の入り混じった世界での生い立ち(リービ英雄と少し似ているなと思った)が、長い歴史と西欧の植民活動で移入された文化・言語の入り混じりからできている東南アジアに目を向けさせ、そこから自らの住む欧米世界を見直した時に生まれたのが『想像の共同体』という書物なのである。
「どのように外に出るのか?」については、アンダーソンは非常に”言語”を重視しているように感じるし、わたしも同感である。
もうひとつは、”比較”であり、まるまる1章を割いている。”比較”は学問の基本方法だが、題材選定・切り口・基軸など、どう比較するかに研究者の個性が表れてくるに相違はなく、その点についてもアンダーソンは多様な示唆を与えてくれる。
そのほかも、アンダーソンの学問に対する姿勢はなかなか素敵なので、『想像の共同体』を読んでその思考の深奥に惹かれた人のみならず、学際的研究を志す人、学問や研究に従事しようという人は、ぜひ読んだら良いと思う。 -
【本学OPACへのリンク☟】
https://opac123.tsuda.ac.jp/opac/volume/357852 -
想像の共同体とは異なり、アンダーソンのインドネシアのジャワでのフィールドワークの実施を前後として、自分の大学院時代及び大学に就職してからの教員時代を描いたものである。したがって、学部の学生にとってはフィールドワークを行う学生以外はあまり参考にはならないかもしれないが、大学院生で人類学でフィールドワークを専門としようと思っている院生には非常に役立つであろう。
しかし、文章が面白くていろいろと雑学も書いてあるので、学部学生にも面白く読めるであろう。アンダーソンの専門が南アジア専門ということで、日本のことにも言及して少し書いてある。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/61750 -
国際関係学科 渡邊あや先生 推薦!
『想像の共同体』の作者ベネディクト・アンダーソンが日本の若手研究者に向けて執筆した、学問との向き合い方についての書籍です。 -
最後の数十ページが良かった。。。