自由は進化する

  • NTT出版
3.28
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757160125

作品紹介・あらすじ

哲学上の難問を唯物論・進化論的に説明し、人間を魂の呪縛から解放するとんでもない本。

感想・レビュー・書評

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  • 151.2||De

  • 献本御礼.……しつつ、本編は正直あまりきちんと読めなかった。
    難解なところはないけど、抽象的な話が延々と続くうちに脳のメモリがいっぱいになってしまう。
    結局山形さんの訳者解説を最初に読んで、そのあと最後にも読み返してレビューを書くことになった。

    -自由がないと選択肢が減って人間(人間社会)が弱くなる。
    -だから人間はより自由になるように進化してきた
    -食べるためだけを考える時間が減ったり、移動距離が増えたり..そういう活動は自由を増やしてきた

    そうした遺伝的アルゴリズムみたいなのが、デネットのいう自由らしい。

    たぶん、そういう全体像を頭に入れた上で、では自由がいつ始まり、自由とそうでない状態の境目はなんで……
    などのように味わい尽くすのが本書の魅力だと思う

    多様性と自由は近いし、自由を訴えつつ相手の話を聞かないのは馬鹿げているし、そういう様々な思いがぼんやりと浮かんでくる。

  • 山形浩生の解説を読めば充分な気がする。

    <blockquote>自由とはシミュレーションのツールである。
    自由とは、自由を享受する能力である。</blockquote>

  • 思想というより哲学書で、途中でパス。
    半分以上は何とか読んだのだが、内容が難しい!

    書いてあることは理解できるのだが、流れについていかない。理解力が落ちているのを痛感。
    話自体も分かりやすい例を挙げながら、そこから展開される文章はとにかく装飾が多くて難解。

    書いてある日本語そのものが分かりにくい、というのもめったにない体験だった。

  • 自由をどう定義するか、ということだが、議論が行きつ戻りつするので、結論のわりに読みにくい。訳者後書きのほうが分かりやすいという、何とも、という本ですが、内容自体は面白い。

  • 決定論や自由意志の否定に対する否定について。
    正直なところ、決定論か否かの二分法に陥っていて、微妙。決定論ー自由意志/の対立が決定論ー妥協案の構図に帰着される。何かしらの絶対主義の方向に妥協案が偏っていかざるを得ないという穏健派にとっては残念な結論になる。双方部分的な真なんだと思う。個人的にはある程度決定論的な部分はあると思うが、あまりに単純化された因果律の導出やレッテル論にはいらっとくる。レッテル的なポストモダン批判色もつよくて、あんまり情熱を添えて読めない。
    本書の内容はあまり好きではないが、訳者の山形さんの訳が個人的にはチャラくて読みやすくて好き。最後に「せっかちな人のための要約」というのがあって、それだけ読めば十分だと思う。

  • 貴方は自由ですか?
    自由とは何か、考えましょう。

    所在:展示架
    請求記号:151.2/D59

  • ダニエル・デネットの著書は、『ゲーデル・エッシャー・バッハ』や『メタマジックゲーム』で有名なダグラス・ホフスタッターとの共(編)著の『マインズ・アイ』を読んで以来15年ぶりくらいになります。細かい内容はさすがに忘れていますが、問題意識はその頃から変わっていない気がします。『ダーウィンの危険な思想』や『解明される意識』など少し気にかかっていましたが、もう大御所ですね。

    本書のテーマは、第1章にある通り、「人間の意志について統合的で安定して経験的にも十分根拠のある一貫した見方を提供する」ということにあります。なるほど。見るからに難しいそうです。ここでタイトルの"自由"は、基本的には人間の意志(自由意志)を指しています。

    私の理解では、自由意志とは、ヒトという種(だけ)が、言語の獲得を契機として、他者/自己とのコミュニケーションの要求ために(生存上有利であったために)進化的に獲得されたものであり、生物学的なインタフェース(脳)の上に構築された空間的にも時間的にも広がりをもった仮想的に構築されたインタフェース(心)だということです。あまり自信がないですが。比喩としてコンピュータのハードウェアと、その上にインストールされるオペレーティングシステムを挙げています。

    そうやって、「(物理法則による)決定論が真なら、自由意志というものはないのではないか」(決定論と自由意志は両立しない)という疑問に対して、決定論と自由意志は両立し、本当に自由意志というものはリアルに存在するものだと論証したことになっています。だからこそ道徳的責任が発生するのだと、いうことを進化論的に説明していっています。それが一点の曇りもなく存立して対論を斥けるものなのかということは残念ながら自分には確証できるところではないのですが、言いたいことは何となく伝わるぞ、という感じです。

    ---
    こういう類の本では、翻訳者というのはとても大事な要素になります。本書の翻訳者の山形浩生さんの仕事は、好き嫌いはあるかと思いますが、できるだけよいものにしようとする意志は感じられます。訳者による解説が付いているのですが、これも山形さん特有の言い回しをしていますが、理解を助けるものと評価できると私は思います(これも評価は分かれるところかとは思います)。

    ちなみに本文中にも出てきた参考文献のエインズリーの著書名が『意志の崩壊』となっていますが、実際に同じ訳者によって本書の後に出版された本のタイトルでは『誘惑される意志』となっています。"Breakdown of Will"なので、最初の案でよかったのに、とは思いますが。
    ---

    当たり前ですが、決して読みやすい本ではないです。しかも長い。ただし知的刺激はあります。

    星4つくらいです。

  • むずかしい。読み進まない。

  • (20090506〜20090527読了)
    ・哲学的な探求は真実を求める自然科学の試みと手を組むものであり、科学的発見や理論の成果を哲学的理論構築の材料としてちゃんと受け入れるべき。P27
    ・エンジニアたちは自分達の設計する橋に何千人もの安全がかかっているのを知っているから、わかっている範囲で自分達の設計が安全かつ危なげないことを確実にするために指定制約条件を使った集中的試験を行う。学者も世界への影響力を高めたいなら、もっと応用的な学問分野の態度や習慣を身に付ける必要がある。P31
    ・参考、自由意志に関する哲学文献。「石の崩壊」(ジョージ・コインズリー)「意識的な意思という幻想」(ダニエル・ウェグナー)P39
    ・決定論とは「どの瞬間にも物理的に可能な未来はたった一つしかない」というテーゼ。P41
    ・ライフ世界の物理。P56
    ・人間は問題の認識と解決能力は光速に届かんとしている。P79
    ・可避性 ?一部の決定論世界には害を避ける回避体がいる。?だから一部の決定論世界では、あるものは回避される。?回避されるものは全て、回避可能、つまり可避である。?したがって決定論世界の一部では、全てが不可避ではない。?したがって決定論は不可避性を意味しない。P83
    ・参考「ダーウィンの危険な思想」「本物のパターン」「心はどこにあるのか」「衝突検出、ミュースロット、落書き」P93
    ・決定論は人の機械を奪い、過去にさかのぼる因果連鎖の網目の中に運命を封じ込めてしまっているようにみえる。人は大抵この暗鬱なものの見方を無視している。物事が明日や来年こうなるかもしれないとか、あるいはあれさえこうだったなら事態はこうだったかもしれないのに、なんてことを考えるのにかなりの時間を費やす。つまりこの世界が決定論的ではないと想定しているらしい。P95
    ・自由意志に関する従来の問題は、決定論が真なら、人は自由意志をもたないという命題から始まっている。P141
    ・「物理的観点だけからみれば、自由意志は偶然のようにみえる」。P187
    ・ゲーム理論の分析が進化論にも応用できるのは間違いない。P210
    ・我々が現在の状態になるようにプログラムされているなら、その特性は不可避である。意志や教育や文化でこれらを別の方向に向けるくらいは出来ても、変えることはできない。P219
    ・我々がある文化的環境で育てられ教育を受けた場合、その環境が我々に負わせた特性は不可避である。意志や教育や文化でこれらを別の方向に向けるくらいは出来ても、変える事はできない。P221
    ・行為者または志向システムが、あらゆる面から考えて一番いい行動についての判断を下すとき、その「いちばんいい」というのが誰の視点で判断されているのかを考える必要がある。P249
    ・人は選択をする時、自分の選択を将来の選択の予測材料として内省的に利用する。P293
    ・脳の運動中枢から前腕部の運動神経に活動が降りてきて腕の筋肉に伝わるけれど、でもそれより際財800ミリ秒前に、ほとんど1秒近く前に脳の中ではっきり検出できる活動の波が生じる。P318
    ・「人は自分の振る舞いに対するものすごい数の機械的な影響について、全て知る事さえできない。我々が住んできるのはとてつもなく複雑な機械だからだ」P340
    ・「人々は、仕事を終えたいと言う単純な理由でその仕事を忘れ去るが、これは行動が終わればその内的な意図との接触が失われることを示す。そして改訂された次の意図に今度は動かされるようになる」P352
    ・人間意識はアイデア共有のために作られた。これはつまり、人間のユーザインターフェースは生物学的にも文化的にも進化で創られたということ。P360
    ・人間への道の最初の敷居は、その人物の育て主がちゃんとしたコミュニケーターをたきつけられるかどうか、ということ。P378
    ・人間性の探求は一種のチーム活動で、コーチやサポーターがサイドラインのところで重要な役割を果たし、人々の最高の部分を引き出すように設計された足場を環境の中に作り上げている。P382
    ・人は状況に立ち向かう存在なので、状況や機械をたっぷり用意し、よりよい自分を他人や自分自身に対して示せるようにすることで、そうしたよりよい自分が将来的にもっと楽に登場できるようにしておくのはよいことなのだ。P384
    ・エンジニアは政治家と同じで、可能な事にしか関心がない。これには人間が実際にどういう存在か、そしてなぜそういうふうになったかについて、現実的に考える事が必須だ。P388
    ・自由は、「各種の状況下で価値あるモノを実現する能力」P419
    ・全ての合理的行為者に上昇をうながすような規範にたどりつくにはどうすればいいかを示す事。こうした動きの成功例は存在する。ブートストラップは過去に機能したし、ここでも機能するはず。P420
    ・自由がどうやって生まれてきたかをもっと理解すれば、それを将来にわたり保全して、多くの天敵から守るのも上手になるだろう。P424
    ・哲学者たちは哲学者であるからこそ、他の領域の成果を見なければ自分の専門テーマにおける専門家としての仕事を果たしているとはいえない。P426
    ・多くのテツガクシャどもは、哲学ってのが自然科学の上にあるという変な思い上がりを抱いている。デネットにはそういう思想はない(参考「解明される意識」「ダーウィンの危険な思想」)。P435
    ・自由とはシミュレーションのツールである。P437
    ・各種の状況において効用を最大化する選択は一つしかないはずだ。ということは、デネットの「自由」ってのは、それ以外の選択肢を実質的にありえなくするものじゃないのか?自由ってのは選択肢を増やすはずなのに、かれの理想とする自由の行き着く先というのは選択梓が一つしかない究極の不自由世界じゃないの?P454

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著者プロフィール

Daniel C. Dennett
1942年生まれ。1965年、オックスフォード大学より哲学博士号取得。現在、タフツ大学名誉特任教授・同大学認知科学研究センター所長。現代英語圏を代表する哲学者の一人。著書も多く、近著としてIntuition Pumps and Other Tools for Thinking, 2013(『思考の技法――直観ポンプと77の思考術』)、From Bacteria to Bach and Back: The Evolution of Minds, 2017(『心の進化を解明する――バクテリアからバッハへ』)などがある。

「2020年 『自由の余地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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