ブラッディ・クロス 1 (ガンガンコミックス)

著者 :
  • スクウェア・エニックス
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (228ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757525849

感想・レビュー・書評

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  • 古本屋で見つけて試しに1巻だけ購入。ある分買っとけばよかった・・・

  • 何よりも裏切りに彩られし血と運命のゲーム、開幕――。

    天使に堕天使、魔族に吸血鬼。
    今も昔も中学二年生御用達……と言ってしまうと揶揄も過ぎるし、品もない冷やかしかもしれません。
    それはともかく。これらの用語はある一定の年代から。具体的には世紀末からゼロ年代にかけて一世を風靡しましたが、一回りすればジャンルとして定着しようものです。

    ついでに申し上げれば、これら用語をストレートに剛速球でぶつけてしまえば、逆に照れがなくて独自性も生まれるのも必然、といえるのかもしれません。

    というわけで、本作は双子漫画家(姉)の「水城葵」先生が『スターオ―シャン ブルースフィア』のコミカライズを担当したのちに、「米山シヲ」と名を改め世に送り出されたオリジナル作品です。
    水城先生時代は、コミカライズに当たって独自要素として天使の意匠をピックアップして構成されていた記憶も私には残っていたりします。ご興味が向けば両作品を比較してみても面白いかもしれません。

    と。前置きはさておき、ここからは本作の特徴について述べていきます。
    初期は必殺技の名前を出すバトル、アクション路線で進行した風でもありますが、早めに要素程度に退き、このマンガのウリはそちらではないと割り切ったようです。

    駆け引きの妙、具体的に「ここぞ」というタイミングで行われる裏切りの快楽。
    もっと言うならば、それぞれの思惑を抱えた個人、または各陣営がそれぞれの勝利条件を目指し、化かし合い、騙し合いに奮闘する。「コン・ゲーム」としての楽しさが本作の特長でしょう。

    「群像劇」の性質が強いため、誰に軸足を置いて読むかはその人次第、意中が生きるか死ぬかは運次第?
    と、いうわけで全十二巻からなる本作について登場人物と陣営が出揃ってきて、ちょうどターニングポイントにもなる六巻以降が本番でしょう。一巻はあくまで導入編と割り切っていただければ。

    よって一巻の内容は「月宮」と「日向」の主人公コンビの顔見せと、このふたりの関係性の描写が基本です。凸凹コンビ、くされ縁、夫婦漫才、どつき合う間柄……、言い方は色々ですが、まぁそんな感じ。

    なお、このふたりなのですが個々の局面はともかくとして基本的に話の主導権は取れません。
    この物語を盤上での戦いに喩えるならプレイヤーではなく、どちらかと言えば駒の方に位置づけられます。とは言え、ふたりの性質は結構違うのですが、その辺はまた追々。

    ちなみに、この作品の主要な登場人物は基本コンビで動きます。
    よって把握にあまり悩むことはないのですが、このふたりからして一例として挙げられるでしょうか。

    呪われ、時間制限付きの命に駆り立てられるままにエゴイスティックな悪い笑みを隠さずに裏切りも辞さないヴァンバイア・ハーフの女「月宮」、だけどその覚悟以上に理不尽な運命に翻弄される素敵な女。
    それに対しては飄々として常に真意を掴ませず、月宮に付きまとう謎の男「日向」。
    けれど、どこか甘さを捨てきれなかったりもするこのふたり、設定年齢17歳(!?)。

    日本だったら未成年なのに、謎の風格を放つ主人公たちは置いておいて。
    ここ一巻においては、連載開始に先立って本編と共通する設定で掲載された、このふたりが顔合わせをして共通の敵を前に呉越同舟を行う表題読み切り作「ブラッディ・クロス」、そこから。

    本作における陣営戦の主軸を担い、個の戦力としても作中最強の一角である堕天使「皐」が主人公コンビを鎧袖一触にする衝撃の幕引きまで収録です。
    この巻に限ったことではないのですが、そういった演出を心得てらっしゃるのが心憎い。
    堕天使と対をなす天使「続」については続刊でレビューを書く機会がございましたら後々触れます。

    加えて、今後混迷を極めることになる事態がどう推移していくか、同時に主人公コンビがいったい何に手を出してしまったかの詳しい説明については次の二巻で行われます。
    全貌と本領という名の、物語のエンジンがかかるまで多少時間がかかり、その間に読者を振り落とした向きもあったのかもしれません。なので、私個人としても一巻に限っては星を一個取り下げました。

    ただし、ハマれば強いのがこの作品です。事実私もハマりました。
    この段階に見切りをつけるのはきっと早すぎる判断だと私は思います。
    最初は必要以上に重苦しいかもしれませんが、息抜きのちょっとしたコメディと軽快な掛け合いが軌道に乗ってきます。少々巻を重ねればすぐです。緩急のついたマンガ体験もきっと楽しいでしょうね。

    では、次に本作の用語などについて補足を少々述べていきます。
    まず、先に挙げた天使や魔族といった種族に関する用語なのですが、あくまでそれぞれが光・善または闇・悪の属性を帯びているので、敵対が必至である程度にお考えください。

    詳しい掘り下げは行わず、主人公たちからしてこれらの前提は知った上で動いているので作中でことさらに説明が行われる機会も限られています。
    加えて、キャラクターのバックボーンについて語る機会も実は限られていたりします。メインはともかく、サブキャラ格に関しては語りは思い切って切り捨てビジュアル重点で物語っているといえましょう。

    あくまで雰囲気で察してくださいというスタンスです。
    ただし、それでもしっかり話は成立しています。あまりキャラクターの把握やストーリーの流れに悩むこともないので逆に私としては戸惑ったりもしているのですけどね。

    もしかしたら、設定は切り捨てるところと割り切って、キャラの関係性と人物相関の描写にページを割り振った功績なのかもしれません。いえ、現時点で結論を出すのは早すぎますか。

    それから現時点では余談めいた話になりますが、作品の核心部分を担う「神」という立場が何なのかが最終局面一歩手前まで明かされないという思い切った構成になっていたりもします。
    気になる方はいらっしゃると思いますが、きちんと明かされますのでご安心ください。

    さて。それでは最後に、作画面をはじめに少々私見を記してからこのレビューを終えたいと思います。
    米山先生が準備期間も挟んで満を持して送り出してこられたオリジナル作品ということもあって、前作とは打って変わって等身を上げ、アダルティックでスタイリッシュな路線をさっそく完成させています。

    初期は少々骨格に違和感を感じましたが、早い段階で高めの等身に合わせた作画を完成させているので、目をつむるのはやはり序盤に限られるでしょう。

    また、本作はトーンを抑えたモノトーンな画面によって全編が構成されています。
    夜と無機質な都市や建造物を背景に据えつつ、流血量を上げる上でナイスなセレクトですね。
    乾いた世界、どこかそっけなくて無慈悲な世界を演出する上で、この上ない描画であると考えます。

    遠景と、カメラを引いた引き気味な構図も時には目立ちますが、その辺も巻を重ねていくにつれて、堂に行った空間演出となります。突拍子がなくなり、化かし合いと意表の突き合いに説得力を持たせるように作品とガッチリ組み合った領域にまで到達すると思います。読み進めていく方はご注目ください。

    そういったわけで。
    終始、世の裏側を担う超人たちのバトルを、裏側の視点のみで進めていく本作なのですが。
    あくまで主人公たちは「一流」に留まります。本当のトップ・オブ・ザ・ワールドには正面きっては敵わなという、残酷な事実がさっそく明らかになります。この辺は先立って触れさせていただきましたが。

    あと。
    背徳には心惹かれます、インモラルな血の呪縛とは実に耽美です。だけど酸いも甘いも噛みしめた現実主義者が巻き込まれてはたまらない。――、理不尽に挑むにあたっては善人でなんていられない。

    つまり。けして善人とは言えない主人公たちが、輪にかけて悪人未満悪人以上しかいないこの世界でどうあがくか? 善人はいても、まぁ、だいたい死んでしまうかもしれないそっけない世界でどう生きるか?
    タイトルがすべてを象徴するこの物語における、月宮と日向の戦いをどうかご賞味ください。

    あ、それと。特に女性の悪い顔をふんだんに拝みたい方は、けして見逃せない作品であると、ここに宣言しておきますね。悪さとは力強さにも紐づけられるものであって、時に魅力的というものなのですから。

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  • 神のちからをめぐるバトル漫画。
    天使なのに天使っぽいキャラがいない。
    刺されても死ななかったりでよくわからない。

  • 背景、驚きの白さ。少し血生臭くて面白い。
    でもエロくさいシーンが多めなのはちょっとなあ

  • 騙し合いが面白い。

  • 一巻だけ買ってあとがまだ、な状態^p^←
    中古なら買いたい、かなぁ。

  • 天使と吸血鬼の混血である少女・月宮は純魔族の血を欲していた。何故なら混血の天使には、死にいたる烙印の呪いが与えられているのだ。
    18歳までに純魔族の血を呑まねば、烙印に殺される。
    それを回避すべく魔族のブラス卿を追っていた月宮は、同じくブラスを追っているという天使・日向と出会う。
    彼と協力しブラスを追い詰めた月宮だったが、実は日向も同じ混血の天使で…。

    ともかくタイトルの通り血生臭い(笑)
    仮にも天使が入ってるはずなんだけど、お互い命がかかってるせいか、月宮も日向もいい性格してらっしゃいます。
    騙して騙されて、の繰り返しでどこまで信じたらいいのか分からない感じがハラハラする。
    協力してるはずが、土壇場であっさり裏切ったりね。
    でもこの二人のお互いに腹の底を探り合うような関係が結構ツボに来たので楽しいかも。
    しかし一巻でさっそく主人公達が死んだ気がするんだけど…どうなるのこれ…。

  • 天使なのに黒。ちゅうか主人公コンビ、ラストあれで次巻大丈夫なのか?第一巻だからかなのか、市内の中堅書店を探し回ってやっと見つけた漫画。

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