小説 エマ(2) (ファミ通文庫)

著者 :
  • エンターブレイン
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本棚登録 : 101
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (318ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784757724907

作品紹介・あらすじ

上流階級に名を連ねるジョーンズ家のウィリアムと、楚々とした美しいメイド、エマの交流は静かに続いていた。あるとき、遠出を思い立ったウィリアムは、エマをロンドン郊外の水晶宮へと誘う。陽も落ちて門が閉ざされるのも気づかぬほど、楽しい時間は矢のように去る。パレスで一夜を明かすことになった二人は運命に導かれるまま互いの思いを確かめあうが-。階級差のある恋の行方には、新たな悲劇が待っていた…。伝統と革新のロマンス、激動の第2弾。

感想・レビュー・書評

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  • 森薫さんの漫画「エマ」のノベライズ第2巻。
    エマとウィリアムの心の動きや置かれている立場や環境、ケリーとエマとの出会い、エマの過去など丁寧に描かれている。漫画はまだまだ話が続くが、小説はこの2巻までのよう。小説でも話の続きが描かれるならばぜひ読みたい。

  • 森薫さんの「エマ」ノベライズ第二巻。
    一巻に比べ、「エマ」の世界を書き慣れていらっしゃったのかな…という印象を受けました。
    エマとウィリアムの恋が進んで行き、互いに思いを確かめあうところまで行きましたね。
    とくに冒頭からのウィリアムからの手紙に浮かれるエマさんが、可愛くて仕方がなかった…!
    本編の漫画ではあまり描かれなかったところですね。わくわくそわそわ、でも仕事をきちんとこなさなくっちゃ、そんな年相応の乙女心がとても綺麗に描かれていました。
    エマさんやウィリアムはもちろん、この巻ではエレノアの心の中やジョーンズ一家のことなど、様々な立場から物語を楽しむことができましたし。
    本当に、綺麗なノベライズです…。
    今回もヴィクトリアン時代の生活が様々な面から見れて、その面でもとても楽しかったです。
    エマさんがキッチンを磨く様子や庭いじり、買い物に食事、エレノアの乗馬やハキムとヴィヴィアンの買い物ももちろん…。
    せっせとケリーさんの看病をするエマさんの様子は、わくわくしながらもぐっと息が詰まりました。先を知っているだけに…何とかしてあげたいと…。
    本編では駅のシーンや香水などたびたび使われたスズランが、とても効果的に加わっています。エマさんの優しさや切なさがグッと伝わってきた。思わずホロリ…。
    おっとこれはネタバレかも。失礼いたしました。

    さて、この巻で描かれているのはエマさんがウィリアムの前から姿を消すところまででしたね。
    三巻は発売するのでしょうか…これから波乱万丈な展開になるだけに、久美沙織さんがどう描いてくれるのか楽しみで仕方がないのですが。
    あ、そうそう。一巻で書き忘れたけれど、森薫さんの挿絵も扉絵も美麗極まりなく満載ですよ(笑)ファンは必見!

  • 1巻同様、とても丁寧に文字に起こされた小説版。
    ウイリアムとエマがロンドンの水晶宮を訪れるシーンが出てきます。
    万国博覧会のパビリオンなので、1851年のことだとはっきりわかります。
    私は、クリスタルパレスといったら『グイン・サーガ』を真っ先に思い出しますが(わかる人にはわかってもらえますよね)!

    エマもウイリアムのことが好きだということが、内心の吐露からコミックよりもよくわかります。
    でも、初めてのデート?で敷地に閉じ込められるとは、大変な二人でしたね。
    ウイリアムは、あまりこれまでイニシアチブをとって行動したことがないお坊ちゃまなんだと実感します。

    厳格な階級社会の当時の英国において、ジェントリがメイドと結ばれるという話はこれまで聞いたことがなかったので、二人の恋に対しての家族や世間の風当たりが強いのは仕方がないだろうと思いました。
    それでも、礼式を重んじるケリー夫人は、エマの恋に寛容で応援しているようだったので、言われるほど非常識なことではなかったのでしょうか。

    全2巻かと思っていたら、途中で話が終わってしまいました。
    おそらく1巻がコミックの1冊分に相当した進み方です。
    原作のまだ半分も話は進んでいないので、これから更に続きが出るでしょうけれど、2005年に1・2巻が出てから、その後続巻が出ていないようなので、ファンは相当待ちくたびれていることと思います。
    (執筆の方はまだ継続されているのでしょうか?)

    ケリー夫人の死で、屋敷を離れることになったエマ。
    御主人さまがいなくなったら、次のお勤め口を探さなくてはならず、一人暮らしの家に仕えると、その屋敷でずっと働き続けることはできないことに気づきました。

    スズランの花が、この巻の冒頭とラストに象徴的に登場し、読者に希望を感じさせてくれます。
    「スズランの花ことばは、『幸福が戻ってくる』っていうんですよ」

  • 好き作家さんが読みたい漫画を小説家してた。これはいい予感。

  • 寝るのも惜しんで小説を読みたいと思ったのは久しぶりだ。

    2巻に入って、ウィリアムとエマは受難の時を迎える。

    焦点は身分違いの恋。

    ウィリアムの未来を思うがゆえにエマはウィリアムと決別することを誓う。

    今の認識からすれば好きどうし結婚すればいいじゃんと思ってしまうのだが、ウィリアムには家業を継ぐ責任がある。

    貴族さまと結婚して事業を拡大させることが家族の幸せであり、エマと添い遂げることは家族への裏切りをしめす。

    ウィリアムが成長して、家族もエマも幸せにできるのか、それとも逃避行か。

    今後の展開が気になりすぎる。

  • 原作とは違った方向から光をあて写しとって完成させたような面白さ。ただのノベライズではない。20冊弱の参考文献を列挙してあるノベライズなんて見たことがない。丁寧な仕事ぶりに安心して身を任せられた。第三弾以降も是非出して欲しいなあ。本当に面白かった。

  • ひそかに続きが気になります。

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著者プロフィール

1959年、岩手県盛岡市生まれ。上智大学在学中に作家デビュー。フィクション、ノンフィクションを問わずさまざまなジャンルの作品を手がけ、ゲームやコミックのノベライズなどもおこなう。おもな著作に「プリンセス・ストーリーズ」シリーズ(角川つばさ文庫)、『丘の家のミッキー』(集英社)など多数。公式サイト「久美蔵」http://kumikura.jp/

「2019年 『プリンセス・ストーリーズ 赤ずきんと狼王』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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