銀の犬

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 179
感想 : 41
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  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758410694

感想・レビュー・書評

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  • 声を失った楽人オシアンとその相棒ブランの物語。
    あるべき様から外れたものに調べを聞かせ、理を思い出させることであるべき様に戻す「祓いの楽人」のオシアン。彼の調べにより現世に想いを残したまま行くべきところへ行けない魂が浄化される。

    作者曰く「ケルト民話に触発されて生まれた一つの異世界の物語」。ケルト民話に馴染みがなくともすんなりと世界に入っていけます。
    霊として現世に留まり人に害を成すようになったのはかつての恋人なのか。恋を語り愛を交える相手の精気を吸い取る妖精のガンコナーの悲恋。会いたいものに会える、在りし日の幻影を見せる湖底に沈んだ都市。愛情と呪い二重の絆で結ばれていた飼い犬が主を噛み殺した理由。霊として道端の碑に縛られた王妃と騎士の想い。
    所謂幽霊譚にもなるのでしょう。死してなお現世に留まる霊の想いを、オシアンの調べが解きほぐします。現世に残る理由となったものが明らかになった時、魂は行くべき場所へと旅立ちます。

    ケルトの妖精譚が好きな人はもちろん、世のファンタジー好きにお勧めしたい作品です。いや、好きな人はもうご存知なのでしょうか。
    竪琴の調べが語る物語ですが、実に映像的でもあります。映像化されてもきっと美しいでしょう。
    オシアンとブランの出会いや過去は、ここではまだ語られていません。続きを書いて欲しいなと強く思うのです。

  • 祓いの楽人(バルド)の物語。こういうタイプの物語は初めて。小中高生にもお薦めできる少し悲しいけどとてもいい話。第4話の本のタイトルにもなっている「銀の犬」のクーが可哀想だった。いつか、犬を飼ったらクーって名前にしよう。

  • 読みやすい。スッと入ってくる。ガッツリファンタジーが好きな向きには物足りないだろうが、易しく優しい抑えたかたちで一つ一つのエピソードは丁寧に設定されているので、入り込めないことはない。ただこれは2006年発行で、続編が2021年現在に出ておらず、彼らの秘密はわからないままなのが何よりもどかしい。

  • アニメに向いてそう、というのがまず第一印象。
    続きそうな終わり方も良かったです。
    続きはないんですか。
    私は銀の犬から加わった彼が一番気になりました。
    オシアンの音を聴いてみたいです。

  • 再読。彷徨う魂を送る祓いの楽人オシアンと相棒ブランの旅のお話。切なくも優しいお話たちです。オシアンとブランの過去が気になるのだけど、いつか続きが出るかなぁ。

  • ケルト民話を下敷にしたファンタジーです。声なき祓いの楽人オシアンと少年ブランの連作短編になっています。さまよう人間や妖魔の魂を鎮めてあるべき場所に送る旅。一つ一つが切なく悲しい物語ですが、オシアンの奏でる竪琴の調べとブランの魂に寄り添いながらも時に厳しい言葉で、魂はあるべき場所へと送られます。その先にあるのが安らぎだと願わずにはいられない。途中から出てくるヒューとトリーのコンビもいい味です。続編もできそう。次はオシアンとブランの出会いも読みたいです。

  • 声が出せない楽人と相棒の少年が、悪霊や悪鬼を祓いながら旅をする話。
    連作短編集。

    世界観が自分の好みにぴったり合ってた!
    肝心の主人公が全く喋らないのが、いい。表情と動作もあまり描写はない。
    でも音楽を奏でる時だけは雄弁。
    ミステリアスな所も多くて、かなり気になる。
    惜しいのは、結局それらのもやもやが晴れなかったこと。最後まで主人公に関する情報はほぼ無し……。

    続編はないのかしらん??
    アニメ化したら、面白そう♪

  • ケルト神話をモチーフにしたファンタジー。こういう話が受け入れられていると思うとほっとする。

  • なんだか切なくて、でも温かい。
    読み終わるのが勿体ないと感じたのは初めてだったように思う。
    不思議。
    素敵な作品でした。
    ありがとう。

  • 吟遊詩人の旅の物語。さらりと読めるファンタジー、かな。一冊通して序章という雰囲気。

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著者プロフィール

広島県尾道市生まれ。詩集や童話集を出版したのち、一九九八年『時計を忘れて森へいこう』でミステリ界にデビュー。二〇〇二年「十八の夏」で第五十五回日本推理作家協会賞短編部門、十一年『扉守 潮ノ道の旅人』で第一回広島本大賞を受賞。主な著書に『星月夜の夢がたり』『イオニアの風』『風の交響楽』など。

「2022年 『おいしい旅 想い出編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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