- Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758411400
作品紹介・あらすじ
初めて聞く母の声、初めて見る父の姿。そこで少年が出会った四日間の奇蹟。甲子園出場の道を断たれ、同時に母を失った、西沢素晴。失意と絶望の中に届いた「想い出チケット」を手に、素晴は19年前の世界に向かった。父の甲子園への夢を叶えるため、そして、列車事故に遭う母を助けるために…小松左京賞作家が描く、切なくて心温まる感動のストーリー。
感想・レビュー・書評
-
後輩の不祥事で甲子園出場がだめになった『素晴』は、酔っ払いと揉め留置所に入れられる。迎えに来たじっちゃんに連れて行かれたのは母が入院している病院だった。
「美樹が危篤だ」
『美樹』は高3で妊娠していて、事故に遭って植物状態となっていた。素晴は意識のない母から手術で取り出され、父親のことは知らない。母の死後、母がマネージャーである野球部でピッチャーだった『竜太』が父親だと聞かされる。竜太は美樹の事故後、行方がわからないままだった。素晴は甲子園出場を決めた時の父親の新聞記事を見せられるが、一度も会ったことのない父に何の感慨もわかなかった。顔を見ているだけだった母親も同じようなものだ。
葬儀後、素晴宛ての封書を見つける。差出人はNPO法人『おもひで屋』。
-つらい人生を送っているあなたに、暖かい思い出を差し上げます-
信じていたわけじゃなかった。行くあてもあく訪ねて行った先には、一人の男が待っていた。
自分が生まれる前に失踪してしまった父親。そして生まれる前から意識のない母親。当然思い出と呼べるものは何もない。そんな素晴が行くのは19年前の自分がまだ生まれてない世界。そこで父親と間違われる。なんだか『バック・トゥ・フューチャー』みたい。当然母を事故に遭わせないように試みるのだ、映画のように未来を変えるために。自分の両親と同じ歳ってどんな気分なんだろう?親としての姿は知らないんだから違和感はないのかな?でも変な気分だろうね。
どんなに足掻いても自分も過去の一部だったと気づく、過去は変わらない。いや、変えたくない大切な思い出・・
そしてぷっつりと消息がとだえた父の行方は・・
泣けます。
理論は吹っ飛ばして、後どうするんだろうなんていう疑問も吹っ飛ばして。
周りからは不幸に見えても、当人は幸せなんだね
そんな切ない話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
最後の最後につながるピース。母と父との思い出を作る時空の旅。
-
青春だなぁと思いました。
気になる点がいくらかあったが、サラサラと最後まで読めた。この結末は親子の思い出と言えるのか悩めるところではあったが、全体通して嫌いじゃない。
それなりにスッキリしたかと思います。 -
両親との思い出がない素晴が過去の世界に行き両親との思い出を作っていく。
-
やばい、泣いてしまった。
単純なんだよな、私って。
19年間、植物人間だった母親。
意識のない母親から生まれた素晴(すばる)。
父親、竜太は19年前行方不明になったまま。
親に何も思い出が無い素晴。
母親が亡くなる寸前、彼に「おもひで屋」のチケットが届く。
それは、過去に戻るチケットだった。
19年前の出来事。好きなように出来るはずなのに、
事故が起きないように必死に頑張る素晴なのに、
変えられない・・・
でも、最後の最後、美樹と竜太は救われたのかな。
切ないわ~ -
ラストが凄くいいです。高校野球とか世代とか、内容もピンポイントで自分好みです 。
-
ラストが素晴らしくいいです。高校野球好きな人や20年前に学生だった人にはピンポイントでヤバイです。ファミマの看板が違う所とか。
-
いい作品。
過去は変えられないていうのがまたよかった。
両親との思い出がないため
葬儀涙か流せない主人公。
そこへ送られてきた思い出チケットを使い
両親の生きている時代へタイムトラベルするストーリー。 -
タイムスリップものはあまり読まないんだけどこれは面白かった。
最後のシーンは凄く好き。 -
タイムパラドックスは折り込み済みです。
最後まで読んだら最初から読み直したくなる本でした。
というか、最後のあれ、どう始末つけたのか…。
謎だ。
昭和の終わり頃…
なにもかもが懐かしい。
ていうほど覚えているわけでもない。
当時の携帯って、どんなやつ?
普及し始めたのは15年くらい前…か?
そんなの持っていたのか。
ていうか、その頃はまだポケベル全盛期じゃね?
…ううむ。
なんか、そんなんあったっけとか思ってばかりだった気がする。
もう20年以上前なのか。
一番突っ込みたかったのは、500円玉ばらまき事件…。
普通、財布に500円玉なんて1枚くらいしか入ってないよね。
多くても2枚くらいのものだろう。
残りは片道切符しかないのにどうやって手に入れたのか。
なんか突っ込みどころも沢山あったがまあ面白かった。
が、野球まったく知らない人、興味ない人にはそこまで面白くないと思う。 -
ずっと植物状態だった母が亡くなり
誰からか届いたおもひで屋のチケットで19年前にタイムスリップした素晴。
そこで高校生の母と
顔も知らなかった父と出逢う。
タイムスリップ物は好きだが
ちょっと頭でっかちな印象で
感情移入できなかった。
【図書館・初読・12/15読了】 -
虚しかった記憶が、哀しくも愛しい想い出で満たされていく物語でした。
-
タイムスリップもので、浅田次郎の「メトロに乗って」のテイストを思わせる。父子ものはわりとウルウルくるが、最後まで割と淡々と読める。ただ、話の運びがうまいので一気に読める。佳作。
-
素晴は、おもひで屋の男に、「想い出に直接触れていただいてかまいません。ですが、想い出を変えることはできません。何故なら、それが想い出というものなのですから」と言われて、過去へ旅立ちます。過去の出来事を変えることで、未来を変えるという話はよくありますが、想い出を変えられない、過去を変えられないというのは、逆に新鮮に感じました。それは、悲しくも、厳しい現実なんだなと思いました。
-
父はいない、母は植物状態。祖父母に育てられた素晴が、郵便物にあった「おもひで屋」からのチケットを使って、19年前の両親の想い出を体感しに行く、という話。
タイムスリップもの、過去は過去で決して変えられない、というのはよくつかわれている設定だけれど、それでも変えられてほしい、と思ってしまうのは、主人公の父竜太がとても真っ直ぐで純粋なためだろうか?
話の見当はついてしまうけれど、最後まで一気に読んでしまった。 -
野球をしていた高校生のもとに届いた「想い出チケット」。父と母を知らない彼は、そのチケットで想い出を手に入れようと過去へ行く。
野球とタイムトラベルとちょっとした家族の話だと思う。結末がどうなるのか気になるので最後まで読んだけれど、感動するというほどではない。結局そのあと、彼はどうなったのかがよく分からなかった。ちょっと消化不良。
2009/10/28 -
新聞広告等で気になっていた1冊。タイムスリップものですが、20年前なら、世の中そんなに目新しい変わり方はしていないはず(携帯電話の普及くらい?)…と思っていたら、紙幣と5百円硬貨が偽金扱いになる点で愕然としました(笑) 野球に興味がないので、わりと淡々と読み進めていたものの、ラストシーンにはグッときました。
-
昔の角川映画を思い出しますねえ
-
両親を知らないも同然の少年、西沢素晴が「想い出チケット」を手に、素晴は19年前の世界で体験した四日間の奇蹟。あのあと、素晴の粘着質な監督は、何を考え、どう振舞うんだろうか。・・・気になる。
-
(200908)
思いがけず(小松左京賞をあまり信じてない)いい感じのタイムスリップもの。