茜唄(上)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 857
感想 : 94
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  • Amazon.co.jp ・本 (338ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758414395

作品紹介・あらすじ

これは、生命(いのち)の唄。
これは、家族の唄。
これは、愛の唄。
直木賞作家・今村翔吾が魂をこめて描く、熱き血潮の流れる真「平家物語」!

歴史とは、勝者が紡ぐもの――
では、何故『平家物語』は「敗者」の名が題されているのか?
『平家物語』が如何にして生まれ、何を託されたか、
平清盛最愛の子・知盛の生涯を通じて、その謎を感動的に描き切る。
平家全盛から滅亡まで、その最前線で戦い続けた知将が望んだ未来とは。
平清盛、木曽義仲、源頼朝、源義経……時代を創った綺羅星の如き者たち、
善きも悪きもそのままに――そのすべて。

生きるとは何か、今、平家物語に問う――著者

感想・レビュー・書評

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  • 正直、この作品を読むまで、源平の戦いは然程興味がなく、歴史の授業で学んだくらいの知識だったが、さすがの今村翔吾さん。魅力的な登場人物が次々と登場し、引き込まれるように上巻を読み終えた。
    清盛の頼朝を生かしておいた解釈も、後白河法皇のキャラがグッと際立つもので、とても面白かった。
    今のところの推しは教経だが、平家滅亡に抗うような奮闘ぶりに期待して、読み進めたい。

  • 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。 奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。

    『平家物語』か!!
    今度そこ来たか!!

    うーん、それにしても今村翔吾さんのエンタメ技量の高さよ
    歴史小説の一番の弱点は言わずもがな誰もが結末を知っているってところにあると思うんです
    しかも歴史に詳しい読者を相手にすると、かなり細部まで調べて提示したところで「うん、知ってる」で終わりです
    そこをまぁ表現であったり、新たな解釈であったりというところで驚きを提供するわけですよね

    しかし、さすが今村翔吾さん、それらに加えて
    本筋のところから近からず遠からずのところに「謎」を置いているんですよね
    誰もが知ってる歴史なのに「謎解き」が用意されてるんですなぁ
    これはもうワクワクしちゃうよね〜
    ドキドキしちゃうよね〜

    そんなワクドキを抱えて
    いよいよ頼朝、義経登場の下巻へ!

    • みんみんさん
      あ〜あれだ!お市と娘達?
      メロマサも大変だな(°▽°)
      あ〜あれだ!お市と娘達?
      メロマサも大変だな(°▽°)
      2023/05/10
    • おびのりさん
      クローゼットに隠しているのは、私です。
      ひまわりめーろんさんは、良いお父さんだねえ。
      良い夫でもあるんだね。
      なんだかねえ。
      クローゼットに隠しているのは、私です。
      ひまわりめーろんさんは、良いお父さんだねえ。
      良い夫でもあるんだね。
      なんだかねえ。
      2023/05/10
    • みんみんさん
      おびさんが朝からやさぐれてる( ̄▽ ̄)
      おびさんが朝からやさぐれてる( ̄▽ ̄)
      2023/05/10
  • 昨年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』を観ていたお陰でとても読みやすかった。あのドラマの裏側で、平家もこんな苦難に陥っていたのか。

    平家一門の最高権力者・平清盛が平家にとっていかに光り輝く存在であったか、その偉大さを改めて思い知る。あまりの存在の大きさ故に、後に残された者たちの苦悩は計り知れない。
    その平清盛が最も愛した息子、とされる平知盛目線の、シン『平家物語』。
    平知盛の人としての器の大きさや強さ優しさといった、漢としての魅力が十二分に書き綴られた渾身の作品。今作も今村節が冴えわたる。

    「平家にあらずんば人にあらず」
    有名なこのセリフに称される通り、当時の平家は公家をも蹴散らすほどやりたい放題で、日ノ本中の人々から忌み嫌われているものと思っていた。
    けれど、やはり当然ながら平家一門も"人の子"。人としての温かみや優しさも兼ね備えていた。

    歴史上の結末を知っている者の一人としては、やりきれない想いが…。特に安徳天皇が出てくる度に切なくなる。今のうちに早く逃げてー!と何度も叫びたくなった。

    「公家というものは、世が大きく変わるのを妨げる生き物」
    武家を意のままに翻弄する公家。その公家の頂点に鎮座する後白河法皇。
    平家の真の敵は源氏なのか、それとも。

    いよいよ下巻。そろそろ源氏のあの漢が出てきて大暴れするんだろうな。下巻の顛末を思うと胸が苦しくなる。
    漢たちが激しくアツくぶつかり合い、そして華々しく散り行く様はいかに…。
    激動の時代を一心に突き進む平家の生き様、しかと見届けたい。

  • 新解釈平家物語といった趣き
    平知盛主役の物語
    色白長身イケメン知盛とゴリマッチョ教経がいい感じのコンビである
    西仏に伝授する語り部は誰なのか?

    まだ戦闘怪物義経は出てこない!
    刮目して待て下巻

  • 今一度の一冊。

    平家物語を今一度、今村さんが鮮やかに目の前に差し出してくれた気がする。

    行く末を知っているだけに、平家が改めてどんな路を辿って行ったのか、侘しさを感じながらゆっくり紐解く感覚で読めた。

    物語を背負っているのは平清盛の最愛の息子、平知盛。

    宗盛までしか大河ドラマでは印象にないだけに知盛を知りたい気にさせられるのがたまらない。

    源氏、水面下で渦巻く後白河法皇の思惑、それらに対する知盛の胸の内が父から汲み取った想いが手に取るように伝わってくる。

    木曾義仲、源義経、連なる名前が鎌倉殿ロスにもうれしい。下巻へ。

  • 今まで平家物語に馴染みがなかったけど、それぞれのキャラクターが魅力的で面白かった。
    下巻が楽しみです。

  • 直木賞作家の今村さんが描く平家物語とあれば読まないわけにはいかない。西仏という僧が平家物語作成に関わっていたとする説に基づいていて、平家側生き残りの誰かが西仏に平家の盛衰を語り(唄い)伝えるという形で物語は進む。上巻は清盛が没する少し前から水島の戦いまで。清盛四男・知盛の視点というのが目新しく、口伝しているのが誰かという興味とともに下巻へ。

  • タイトルを見たときは平安時代の雅な話かと思いきや、ハラハラする展開で楽しめました。
    普段は源氏側の目線が多いからとても新鮮で、あっという間に読めちゃいました。
    さすが今村先生、人物がとても魅力的に描けていてとても素晴らしい作品です。

  • 平家の生き残りの誰かが西仏に平家物語を唄い伝えていくという形で物語が進行していく
    初めは少し混乱したが、この構成が見事だなと思った

    恥ずかしながらこの時代のことは通り一遍の学生時代の歴史の授業の知識しかない
    その歴史学習もどちらかというと源氏を中心にしたものであったように思う
    「平家にあらずんば人にあらず」と豪語したその言葉に嫌悪感さえ抱き、当時の民が平家一族を怖れ嫌っていた感覚を私自身も抱いていたように思う

    当然のことながら、平家一族にも生きていった物語があり、苦悩や喜びや願いがあったことを知らされた

    当時の朝廷の政、それに胡座をかき私利私欲に溺れていた公家、ただ使い捨ての将棋の駒のように扱われていた武士の関係もよく分かった

    『なぜ清盛は頼朝を殺さなかったのか』
    清盛が蛇笏の如く嫌われたとしても生涯をかけて目指した世の中とは何だったのか

    ミステリーのようだった

    清盛が意図したことを的確に言い当て、清盛亡き後、ほぼ不可能と悟りながら、その実現のため奔走する四男知盛

    最後の方になると.脳内に
    「一の谷の戦敗れ、討たれし平家の公達哀れ〜〜」
    という哀しい歌が流れていた

    ともあれ水島の戦いの快勝で上巻を読み終えることができたのは良かった

  • 上巻読了。

       “祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。”
    この有名な冒頭文から始まる本書。
    今村版「平家物語」の幕が上がります・・。

    小説としての「平家物語」は、もうずいぶん前に読んだ 宮尾登美子さんの『宮尾本 平家物語』が読み応えあって面白かった記憶があります(こちらも、平家サイドから描かれていてお薦めです)。

    さて本書ですが、平清盛の四男・知盛をメインに平家一門の運命が綴れらています。
    “歴史とは、勝者が紡ぐもの――”といわれるように、源平モノというと、源氏=正義、平家=悪。みたいな描かれ方が多いですし、「平家にあらずんば人にあらず」なんて台詞にもあるように、平家って嫌な奴ばかりと思われているフシがありますよね。
    ノン、ノン、ノン!
    そりゃいい奴ばかりでもないですが、
    本書の主役・平知盛様は、頭も性格も良くて家族思いのイケメンなのです。
    勿論フィクションですが、実際知盛は武勇に優れた智将として解釈されることが多いので、あながち虚像ではないのでは?と勝手に思っております。
    源氏を筆頭とした“打倒・平家”の動きがあちこちで上がる中、平家の圧倒的トップの清盛が、そもそも何故頼朝や義経らの源氏の御曹司を生かしたのか?ということも今村さんなりの解釈で書かれているのが面白いです。
    そして、各章の冒頭に“「平家物語」を編んだ人物”が物語を口承する場面が挟まれていて、この人物が誰なのかというのも興味をそそられます。
    この巻は都落ちした平家が水島の戦いで木曾軍を撃退するところで終わっています。
    史実として平家一門の末路が解っているだけに、今後は辛い展開だろうなと予想しますが、下巻を読むのが楽しみです。皆が大好きな源氏の“あのヒーロー”も登場するのでしょうね。
    と、いいつつ、実は今の段階で、まだ下巻が手元に届いてなくて(;´д`)(もうお約束。トホホ)
    せめて、上巻の内容を覚えているうちに読みたいものです~。

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著者プロフィール

1984年京都府生まれ。2017年『火喰鳥 羽州ぼろ鳶組』でデビュー。’18年『童の神』が第160回直木賞候補に。’20年『八本目の槍』で第41回吉川英治文学新人賞を受賞。同年『じんかん』が第163回直木賞候補に。’21年「羽州ぼろ鳶組」シリーズで第六回吉川英治文庫賞を受賞。22年『塞王の楯』で第166回直木賞を受賞。他の著書に、「イクサガミ」シリーズ、「くらまし屋稼業」シリーズ、『ひゃっか! 全国高校生花いけバトル』『てらこや青義堂 師匠、走る』『幸村を討て』『蹴れ、彦五郎』『湖上の空』『茜唄』(上・下)などがある。

「2023年 『イクサガミ 地』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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