- Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
- / ISBN・EAN: 9784758435284
感想・レビュー・書評
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高田郁さん「みをつくし料理帖 小夜しぐれ」読了。シリーズ五作目。今回は悲しい話から最後は心温まる話へ。種市と娘の過去「迷い蟹~浅蜊の御神酒蒸し」、吉原の花見料理「夢宵桜~菜の花尽くし」、美緒の決心「小夜しぐれ~寿ぎ膳」、小松原さまの仕事が明らかになる「嘉祥~ひとくち宝珠」の四編でした。辛い内容、野江の将来の光、悲しい内容、そして最後は待ちに待った小松原の日常と澪への気持ちが明らかに。とても良い読了感で、面白かった♪早く続きが読みたい。
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おつるが亡くなった経緯、美緒の決意、小松原様の本来の姿などいろんなことが明らかになっていく。
あさりは、ごま油と生姜、鷹の爪を熱したもので軽く炒め、酒蒸しにするとおいしいらしい。やってみよ。
2018.11 -
おつるの死の真相が悲しすぎる。
種市の、つる屋を背負ってほしいという願いと、吉原に料理亭を持つという道、天秤にかけるのは辛い。
美緒の決意など、読んでいて胸が苦しくなることが多い巻。
野江ちゃんを救うこと、天満一兆庵の再建など、展望は見えるのに、そこに行き着くまでの道のりは険しい。
そんななか、やはり小松原さまとの微笑ましいやりとりは和みます。目尻にシワがよるという、笑いの表現が、澪の眉が下がる表現と同じくらい好き。
自分の大好きな人も笑う時に目尻にシワがよるので、余計に。
澪に決意が迫られ、新たな局面を迎える巻でした。 -
種市がどうして愛娘のおつるを失ったか。
その経緯が明かされる「迷い蟹」が印象に残った。
夫婦別れした妻のもとに一度は引き取られたおつる。
約束の一年も経っていないから、あとひと月辛抱したら―、この言葉で娘を自死に追いやってしまった。
フィクションと分かっていても、この種市の自責の念には悲しまずにいられない。
伊勢屋の美緒の婚礼。
それが進んでいくだけかなあ、と思っていたら、芳が佐兵衛を見かける。
結構波乱万丈な「小夜しぐれ」だった。
「嘉祥」は、つる家が舞台ではなく、御膳奉行小野寺数馬(小松原)を主役に描かれた異色の篇。
これはこれで面白かった。 -
種市さんとおつるさんの父娘エピソードは涙なしでは語れない…
そして、やっぱり源斉さん澪ちゃんに恋してるって…みんな気が付いてるやんけ…
だから美緒さん…切なかったな…
しかし美緒さんを思う爽助さんは萌えた(素直)
小松原さまもやっぱり澪ちゃんのことを思ってるんじゃないですかー!!!!!!!ヤダー!!!!!!!でもなんか無自覚っぽいな…ああ… -
ドラマでやってた内容もちらほらと。
種市の娘おつるがどのようにして亡くなったのかがわかったが、悲しいなぁ。
菜の花尽くしで澪に持ち上がった話は結局ダメになりそうな感じしかしない。
美緒がこんなことになろうとは。まさかの結末だったわ。
相模屋の白味醂が江戸で評判になっててうれしかった。
一口宝珠くいてぇ。澪が勘違いに気付く日はいつなのかな。
次の巻であの人がまた現れるのだろうか。
殿様は冷めた飯を食っているわけでは無かった! -
シリーズ五作目。全十巻の折り返し地点となる本巻は基本一話完結型の前巻までとは若干異なり、各編が徐々に繋がりを見せる新展開。美緒の恋路がまさかの急展開にて決着し、おつるの過去と種市の因縁にも一応の決着が付き、澪には翁屋絡みでの出店話が持ち上がり、物語は大きく動き出しそうな様相を呈する。こうなると、新生つる家編はそろそろ一区切りだろうか。四編目「嘉祥」はシリーズ初の小松原視点で紡がれるスピンオフ的一編。普段は飄々とした男の密やかな純情に思わず『分かる、分かるぞー!』と同意したくなるのが悲しき男の性である。
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「迷い蟹」
店主種市の過去がわかる。
元妻とその間男。
若くして亡くなった娘。
憎しみが穏やかな種市の心を黒く染めていくが……。
「信じて寄り添ってくれる誰かが居れば、そいつのために幾らでも生き直せる。ひとってのは、そうしたもんだ」(85頁)
亡くなった娘は、憎き男の子供達を、二親無くして路頭に迷わせたいとは思っていないはずだ。
子供達を、苦界に沈めてやりたいとは思うまい。
悲しみの中に、種市は娘の在りし日の姿を見た。
娘への愛が種市を思いとどまらせた。
憎しみの連鎖を止めた種市は、まさに「ひと」であった。
恋など久しくしていないが、心のどこかにあの甘酸っぱく、ちくりと痛む思い出の棘が残っていたようだ。
澪と美緒。
想いを寄せる人の姿は違えど、叶わぬ想いは同じ。
その一つ一つがいつかきっと彼女たちの人生に深みを与えるのだろう。
「想うひととは違うけれど、ご縁で結ばれた相手と手を携えて生きていく。」(238頁)
その覚悟があれば、きっとそこからの日々は幸せなものに違いない。
今宵は私も、縁に結ばれた人の手をしっかりと握りしめたい。