キャベツ炒めに捧ぐ (ハルキ文庫 い 19-1)

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  • 角川春樹事務所
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  • Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758438414

感想・レビュー・書評

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  • 10年強前、自分が40歳になったとき、
    『初老とは40歳の異称 』であると辞書で知り、
    すごくショックだったことを覚えてる。(苦笑)
    さすがに現代の40歳が初老だなんてことはなく、
    イメージ的にはアラ還世代が初老なのではないだろうか?
    この物語はまさに、そんなアラ還女性3人が主人公。
    お総菜屋さんで働く3人の人間模様の連作短編集。
    11編の美味しそうなタイトルをひっくるめて表題となっている。
    50代の今の年齢で読んだからこそ、
    あんな還暦なら楽しいかも、と思えてきた。
    この作者の小説は、静かにドロドロしてる不倫ものとか、
    曖昧な日常的恋愛なんかが多いと思っていたが、
    こういうのも書くんだー?!という驚きがあった。

  • 料理の描写が巧みで、お惣菜っていいなぁと思わせてくれた。料理と食事を通して、登場人物が気持ちの整理をして行くのが良かった

  • 登場人物が全員好きになれない

    それでも1日で淡々と読めたので作者が上手なんだろう。

  • 美味しいごはんが食べたくなる話だった。
    ちゃんと丁寧に作ったご飯を食べたくなる。

  • ・夫(のせい?)で息子を失ったと思っている
    ・ずっと好きだった人に振られても思い続けている
    ・結婚して同じ職場の人に主人を取られる

    もう少し本の中では詳細に語られるけど
    3人の抱える大人な事情はこんな感じ。
    これが本を読むにつれて徐々に明らかになる。

    どれも苦しいけど、のらりくらりと
    それを受け入れながら日々を過ごしていく。
    嫌な思いをさせられたと相手が思っている
    その気持ちにかこつけて、前の旦那さんに
    気まぐれに電話をしてしまう江子には
    同情もしちゃうし、奥さんにも気を遣って
    あげたらいいのにと両方思ってしまう自分がいた。
    自分は悪くない上に、まだ好きだもんね…

    たかが風邪でくらいで病院に
    行かなくてもいいよと言った矢先に
    肺炎で息子をなくしてしまう郁子。
    前に進めそうなときに限って
    その話を引き合いに旦那さんに当たってしまう。
    とてもいたたまれないと思って読んでいた。

    この二つはもしかしたら一番近い未来で
    ありえるかもしれないという意味で
    感情移入が一番できてしまった二人。

    3人ともしっかりキャラクターがあってよかった。
    3人ともパワフルなので60代というのが
    まったく想像できずに読み終わってしまった笑

  • 何事も起こらないお話ではないのに、読んでる側の気持ちとしては終始穏やかだった。

    自分がこの年代になったら何してるんだろうと物語の中で何か起こるたびに嫌でもいちいち引き込まれて考えさせられる。

    食べ物で幸せになるお話は大好きで、現実に自分もそうなることが多い。この作品は特に文章自体が好きなのもあってより幸せな気持ちになった。

  • 生きることは楽ではないけど、ささやかでも自分の居場所があれば、喜びも訪れる。読み終えて少し元気を貰えました。

  • 荒野さんの筆力のせいだと思うけど、とても疲れた。
    いちいちため息が出そうになる
    3人が恐ろしく近い存在に感じて1行読むごとに共感しようとしてしまう。
    人生っていろいろあるなあと思うし、一方で私にはなにもないなあと思う。

    読む前後でタイトルの意味合いが全然違ってくるのも面白い。

    元気なかった時に赤坂のタコス屋さんでお腹いっぱいタコスを食べて元気でたのを思い出した。
    食べるって素敵。

  • ドキドキもハラハラもなく、安心してくつろぐことができます。
    お惣菜屋さんが舞台なので、出てくる料理は豪華ではないけれど、丁寧に作られているからこそ今の時代には「豪華」でしょうか。

  • 面白かった。

    ただ何回読んでも主人公たちがもう少し若いイメージになってしまって。たぶん60過ぎの人と交流がないからだと思うんだけど。

    あと10年20年たってから読んだらまた印象が変わりそうな本だなぁ



    あー、白山さんだけ嫌い。

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著者プロフィール

井上荒野
一九六一年東京生まれ。成蹊大学文学部卒。八九年「わたしのヌレエフ」で第一回フェミナ賞受賞。二〇〇四年『潤一』で第一一回島清恋愛文学賞、〇八年『切羽へ』で第一三九回直木賞、一一年『そこへ行くな』で第六回中央公論文芸賞、一六年『赤へ』で第二九回柴田錬三郎賞を受賞。その他の著書に『もう切るわ』『誰よりも美しい妻』『キャベツ炒めに捧ぐ』『結婚』『それを愛とまちがえるから』『悪い恋人』『ママがやった』『あちらにいる鬼』『よその島』など多数。

「2023年 『よその島』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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