バビロン行きの夜行列車 (ハルキ文庫 フ 1-1)

  • 角川春樹事務所
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本棚登録 : 245
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758438483

感想・レビュー・書評

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  •  短編集としては高い評価を得ているとのことだったので、かなり以前から気になっていた本です。
     収録されている作品数は21。著者の得意なジャンルは「SF」のようなのですが、そういわれると、多彩なプロットでバラエティに富んでいるどの作品もちょっと“ファンタジック(幻想的)”な香りがします。

  • ブラッドベリの短編は雰囲気小説だから…

  • 面白かったです。多分、ブラッドベリをちゃんと読むのは初めてでした。
    いろいろなテイストのお話があって、次はどんなんだろーとわくわくして読みました。
    「やあ、こんにちは、もういかないと」「覚えてるかい?おれのこと」「くん、くん、くん、くん」「鏡」「夏の終わりに」「時計のなかから出てくる小鳥」が好きでした。
    「くん、~」は強いおばあちゃんが良かったです。ラスト、勝ったのは…!
    「やあ、~」と「覚えてるかい?~」も、会話がすごくいいなぁと思いました。心がじんわりします。
    「鏡」「夏の~」「時計の~」は強い女性が眩しいです。
    どれも短編映画のような味わいでした。ノスタルジックで。

    「もうあなたなしで生きてるわ、鳥のように自由にね!」

  • よくできている正調エンターテイメント短編。オチというより結びといった趣。良くも悪くも正調の範囲という感じ。枠のなかでハイレベルな短編になっていると思う。脈絡の刺激とかそういうのを少し置いてふと読んでふと心なごむそういう感じの短編集。

  • 20年ぶりくらいのブラッドベリ。

    原題Driving Blind
    邦題表題作の他は、

    ・MGMが殺られたら、だれがライオンを手に入れる?
    ・やあ、こんにちは、もういかないと ★
    ・分かれたる家
    ・窃盗犯 ★
    ・覚えてるかい?おれのこと
    ・くん、くん、くん、くん、
    ・目かくし運転
    ・いとしのサリー
    ・なにも変わらず
    ・土埃のなかに寝そべっていた老犬
    ・だれかが雨のなかで ★
    ・似合いのカップル
    ・鏡
    ・夏の終わりに ★
    ・夜明けの雷鳴
    ・木のてっぺんの枝
    ・女はつかのまの悦楽
    ・処女復活
    ・ミスター・ペイル ★
    ・時計のなかから出てくる小鳥 ★

    ★は、気に入った話。

  • 以前ちょっとだけ関わったイベントがあり、「そういえば、ブラッドベリってちゃんと読んだことがないかも…」と、会場で購入したのにしばらくそのままになっていた短編集。

    もともと1997年出版の作品集ということもあるのか、おおかたの短編で登場人物を大人だけの都会・サバ―ビア劇に設定している(例外は数本)。全盛期のブラッドベリのようなきらきらした、こっぱずかしいほどロマンチックな表現とは違った、落ち着いたエレガントな筆さばきという印象。

    個人的には、表題作「バビロン行きの夜行列車」(これは原著では表題作ではないんだけど)「MGMが殺られたら、だれがライオンを手に入れる?」「似合いのカップル」がベスト3。「バビロン」という地名自体が歴史の浅いアメリカ文学では非常に魅力的に響くし、列車内で繰り広げられる疑惑と、その種明かしも鮮やか。「MGM」の史実をちょっとまじえたどたばた劇は、戦時ネタコメディとしては秀逸だし、「似合いの」で描かれるパリがすごく洒落ていて苦くて美しい。フランス人の描くパリより、アメリカ人の描くパリのほうが断然美しいよ、いつも思うけど。

    あと1編、面白かったのが「処女復活」。男女のもつれとアメリカのキリスト教各宗派を絡ませた皮肉なコメディなので、門外漢にはちょっとわかりにくいけど、「とにかくキリスト教も一枚岩ではないのでめんどくさい」感じと、最後は宗教を盾にできるという皮肉はよくわかった。

    どの短編も、台詞が往年の名画のように美しくて、読むたびに「ほおお」っとため息が出てしまった。フレッド・アステアのMGMミュージカルを見ているような、とでもいいましょうか。それに、不穏さをにおわせる素材でも、人間のダークサイドオブフォースに手をつけないクリーンさが潔い…と思ったら、金原瑞人さんの単行本訳者あとがきに、トム・ウィッカムの書評として同じような内容が引かれていて、「まあ、私が考えることくらい、炯眼のかたにはとっくにお見通しなんだなあ…」とちょっと思いました。それに、ブラッドベリさんのWindowsネタもおちゃめです。

  • いかにもSFの大家らしい作品はもちろん、ホラータッチあり、不安定な読後感を突きつける不条理な一編もありで様々な趣向を味わえる短編集。

  • 約20編の短編小説を収録。
    星新一さんのショートショートに雰囲気は近いのかも?
    http://ameblo.jp/sunnyday-tomorrow/entry-11938531224.html

  • どれもこれも短く、物語の筋を追うのではなく、
    その雰囲気、空気感を文字から、文章から感じる
    ような物語。
    旅先で顔見知り程度の人と会い、
    テンションが上がって食事の約束をしたら・・・
    なんて日常に起こりうる話から、
    旅行の宇宙船で急病人発生、乗り合わせた医師が
    出会った患者は・・・なんて日常ではありえない話も。
    わたしは「窃盗犯」と「いとしのサリー」の対比に
    やられた感じ。

  • 21の短篇集。人の不思議、時の不思議、処の不思議。読み終える時の感想は本当に色々。正直に言うと良くわからないお話しもありました。

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著者プロフィール

1920年、アメリカ、イリノイ州生まれ。少年時代から魔術や芝居、コミックの世界に夢中になる。のちに、SFや幻想的手法をつかった短篇を次々に発表し、世界中の読者を魅了する。米国ナショナルブックアウォード(2000年)ほか多くの栄誉ある文芸賞を受賞。2012年他界。主な作品に『火星年代記』『華氏451度』『たんぽぽのお酒』『何かが道をやってくる』など。

「2015年 『たんぽぽのお酒 戯曲版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

レイ・ブラッドベリの作品

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