つるつる鮎そうめん 居酒屋ぜんや (ハルキ文庫 さ 19-7 時代小説文庫)

著者 :
  • 角川春樹事務所
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感想 : 40
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  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784758442015

感想・レビュー・書評

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  • ほっこり話ぢゃなかったのか、このシリーズ

  • 2024.1.17 読了。
    「居酒屋ぜんや」シリーズ第5弾。
    美人女将お妙の切り盛りする居酒屋ぜんやの常連客でお妙に恋心を持つ武家の次男・只次郎を初めとする大店の常連客に義姉のお勝やおえん。そして用心棒としてぜんやで働く謎多き草間重蔵。
    お妙の故良人・善助の死がなにやら不審な気配が漂い始める。連続短編時代小説。

    第1話「五月晴れ」では物語が始まった初期の頃のような日常の常連客のいざこざをお妙の美味しい料理と医者だった父から教わった知識を使い久しぶりに穏やかな話だった。
    しかし2話目以降、忘れられない又三の死に触れ出し3話4話と続いていく中で善助の死が点と点がで繋がっていくように不可解さがじわじわと混じってくる。
    草間重蔵は本当はどんな人物なのか?
    江戸にもよく来ていたお妙の父とぜんやの常連客との繋がりはなんなのか?
    近江屋の主人と善助との関係は?……etc

    お妙の作る季節感のある料理を食べる穏やかで和気あいあいとしたシーンと答えの出ない善助の不審死に繋がるお妙の記憶にゾクッとさせられるシーンとのコントラストに引き込まれる。
    文章自体も時代小説だからといって小難しく書かれていないし押し付けがましくない程度の時代背景の説明もありサクサクと読みやすい。

    数々出てきている謎が気になり続編も読みたいと思った。


  • 「居酒屋ぜんや」のシリーズ、5作目。

    美人女将のお妙が美味しい料理を作る人気の店に、今日も常連が集まり‥
    小さな問題をお妙の知恵と季節の美味しいもので解決しながら、さらに大きな謎もじわじわと正体を見せ始めます。

    お妙に憧れている林只次郎は、貧乏旗本の次男。
    山王祭は町人の祭りなので、武士は街なかへは出ないのだとか、江戸時代の習わしが面白い。
    只次郎はこっそり町人姿で医者を探しに出かけるが。
    お妙は薬の代わりになるものを渡す。

    升川屋喜兵衛の嫁・お志乃が産んだ千寿の祝いの料理を頼まれ、出向いたお妙。
    家族の微妙なバランス、男親の鈍感さに笑っちゃいますが。さりげなく解決へ導くお妙です。

    お妙は早くに両親を火事で亡くし、駆け付けた善助に引き取られ、善助とその姉・お勝に育てられました。
    父の手伝いをしていた善助は二回り年上だが、後に結婚したのです。
    お勝はお妙のことを恋を知らないのではと思っているが、お妙は最初から善助を親代わりとは思っていなかったよう。
    しかし、今になって、善助の溺死に疑いを持ち、ひいては父親のことも謎に思うように。

    一方、ぜんやの常連の大店のご隠居らが、お妙の父親と知り合いだったとわかります。
    思いがけない引き合わせに、用心棒の草間重蔵の存在もあり、謎は解けるか‥?

    父や善助に習った医の知識もあり、機転が利くお妙と、のんびりしているが人に好かれる、年下の只次郎。
    にぎやかな常連たちに囲まれた、あったかな世界です。
    事件も無残なだけでは進まない、人情味あふれる展開へ。

    タイトルが似ていて順番を覚えきれないので、書いておきます。1作目から、ここまで
    「ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや」
    「ふんわり穴子天 居酒屋ぜんや」
    「ころころ手鞠ずし 居酒屋ぜんや」
    「さくさくかるめいら 居酒屋ぜんや」
    「つるつる鮎そうめん 居酒屋ぜんや」
    この次は「あったかけんちん汁」「ふうふうつみれ鍋」「とろとろ卵がゆ」「ほろほろおぼろ豆腐」「さらさら鰹茶漬け」
    この後、さらに、主役が若い世代に移る「花暦 居酒屋ぜんや」シリーズへと続きます。

  • あらあらあらあら…

    前作で匂わされた謎は何一つ明かされず、
    またしてもキナ臭い雰囲気になってまいりました。

    今回はルリオが全然出てこなかったねぇ
    子供たちどうなるか楽しみだな

    里芋団子と鮎そうめんが美味しそうだったなぁ
    ダイエット中なのにお腹空いちゃう

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    山王祭に賑わう江戸。神田花房町の居酒屋「ぜんや」の常連客たちも、炎暑のなか祭りに心を躍らせていた。出門を禁じられている武家人の只次郎は、屋敷で育てている鴬の調子を見ていたが、甥の乙松が高熱にうなされ、町人に扮して急ぎ医者を呼びに走ることに。帰り道「ぜんや」に寄ると、女将のお妙に変装を笑われながらも、“食欲がないときにいいもの”を手渡され…。一方、お妙は夢の中で亡き夫・善助との思い出を蘇らせる。体に良い旬の植物・食材の知恵が詰まった、美味しい傑作人情小説第五巻。

  • 本巻では端午の節句の祝いこそあれ目玉料理というほどのご馳走の話題はなく、草間重蔵の素性に迫る一方でお妙の前夫にまつわる謎が突如として湧き出してくるなど、いつになく騒がしいのだが、股引を穿いた只次郎のエピソードが微笑ましい。

  • 何やらお話が動いてきました。
    いったいどうなるのやら。
    と、なんだかきな臭くなってきていますが、お料理の描写に心が落ち着きます。

  • 2022/5/19
    ここへ来て急に怖っ!
    平和なご飯おいしそう本かと思ってたらなんか陰謀渦巻く感じになってきた。
    いやいや気を付けてね、みなさん。
    御隠居も死んだら嫌やで。
    にわかに続きが気になってきた。

  • 今回は特に大きく物語のベースとなるお妙のなき夫、善助とお妙の両親の死の謎に迫った回だった。善助はともかく、お妙の両親は火事で亡くなったと語られていてそこに不自然な点はないと思っていたが、そうとも言い切れない様子。何やらきな臭くなってきたが、真相に近づくお妙を支える仲間がたくさんいることにほっとする。 ぜんやに人が集う様子をイメージするとつい忘れそうになるが、只次郎は武士なんだということを改めて実感する話もあった。話し方も服も髷も違う。ぜんやに仲良く集う仲間ではあるが、身分の違いの色濃い時代だったのだなぁ

  • 居酒屋「ぜんや」の女将、おたえの元旦那、善助。
    その死は、酔って川に落ちたことになっていたが、
    夢枕に出てきた善助が気になって仕方ない。

    そして家を焼け出され腹をすかして倒れそうになっていた、
    浪人「草間重蔵」の正体がきになり、お妙から調べを依頼される只次郎。

    最近ぜんやに出入りする推しの強い近江屋。
    鶯の他にも長くメダカの飼育と品種改良をしている。

    ある時、善助の遺体から赤いメダカが出てきたことを思い出すお妙。

    スリリングな展開になってきたシリーズ5巻。

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著者プロフィール

1977年、和歌山県生まれ。同志社女子大学学芸学部卒業。2008年、「虫のいどころ」(「男と女の腹の蟲」を改題)でオール讀物新人賞を受賞。17年、『ほかほか蕗ご飯 居酒屋ぜんや』(ハルキ文庫)で髙田郁賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞を受賞。著書に、『小説 品川心中』(二見書房)、『花は散っても』(中央公論新社)、『愛と追憶の泥濘』(幻冬舎)、『雨の日は、一回休み』(PHP研究所)など。

「2023年 『セクシャル・ルールズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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