幸せの才能

著者 :
  • 海竜社
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784759311747

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  • 幸せの才能
    著:曽野 綾子

    良書 甘えを廃し、冷めた心で人生に向き合う
    人に期待しない、自分の目線で世界を眺める
    成功のたった一つの鍵とは、「忍耐」である
    ただその厳しさの中にただようほんのわずかな潤いと温かさがこの人の持ち味なのだろうなと思いました

    気になったのは、以下です

    ・たとえ敵対部族といえども庇護を求めて来た場合、或いは旅人が一夜の宿を借りたいという場合には、少なくとも水とパンだけは、自分の食べる分を減らしても与えなければならないという義務を命じられている

    ・愛は情緒ではなく、本来は人間としての義務だという点で一致する

    ・愛は、誰かを好きになることではない
    ・愛は相手を変えさせることではない、そのまま見守ることだ、というのだ
    ・愛は、情ではなく、相手がどのような人であっても、こうしてあげるべきだということを理性で行うことだ、と聖書は規定している

    ・つまりすべての人が、わずかずつではあっても、人生の違った光景を見ている
     だから自分以外の人が何を見て何を感じているかを、理解できない場合があっても当然だ
     他人の心をわかったと思ったりしてはいけない、と私は長い間自分を戒めて暮らして来た

    ・今の日本の教育にかけているのは、相手の立場に立ってものを考えるという訓練を子供にしていないことだろう

    ・神父は、人間の生涯の最後の仕事は、憎んでいた人を許していくことだ、と言われた
     紛争の連鎖を切り、心の平安を取り戻すには、許し、しかない

    ・失敗した、運が悪かった、とその時は思っても、失敗には意味も教訓も深くこめられていたことが後になってわかることが多い

    ・自分の毎日に目標を持てば、自然に自分自身がともしびになれるのである

    ・求めるという行為ほどむずかしいものはない
     皮肉にも、求める行為は、必ず与えるという反対の行為が伴わなければ現実として完結しないからである

    ・皮肉なことに幸福は与えられるものではなく、自分で求めて取って来るものなのだし、同時に人に与える義務も負っているのである

    ・たくさん本を読んでさまざまな表現に馴れれば、自分の心を飾らずに表すこともできるようになる
     要は、自分の心理の外側の堅い殻を砕いておけば、人の心と傷つかずに出会えるのである

    ・勇気は、今の平和な時代にこそ、必要な心の在り方だ
     勇気によって私たちは人の意見に追従することなく、他人の反対があっても静かに善意と優しさを持って、自分の考えを貫き通すことができる

    ・孤独があるからこそ、人との出会いが大切に思えてくる

    ・イタリアには、「一度に二枚の服は着られない」という格言がある

    ・私たちは、人間の偉大さを示す話からも学ぶが、当然弱さから来る悲しさからも、強烈に人生を学ぶのである
     そう思うと誘惑に負ける人間の姿もなかなか貴重だと言いたくなる

    ・自分の価値観ができていれば、たいていの人が幸福になる

    ・潤いというのは、物事に余裕をもつことである

    ・可能性は無視するわけではないが、人生の決定に大した重みをもつものではない

    ・品格という表現にはどこか冷たさが感じられて、あまり使いたくない
     その点、人格という日本語固有の表現は優しくて好きである

    ・人柄のいい人は、自分のであれ、他人のであれ、人生を総合的に見られる眼力を持っている

    ・世間的にいうと挫折である
     失恋、受験の失敗、会社の倒産、家族の病気や死別なのである
     しかしどんな願わしくない結果にも、そこに深い意味を見つけ出そうとすることが多分進歩なのだ

    ・人を見る場合も全く同じである
     反省は、意地を張ってしないより、おろかにい何回繰り返しても、多分した方がいいのだ

    ・人間は、強く耐えている人を身近に見るだけでも、尊敬の念を覚える
     暗く落ち込んでも当たり前なのに、あの人は明るく生きていると思うだけで惹かれる
     あの人の傍にいたい。あの人と仕事をしたい、と思う

    ・老人に一番必要なのは緊張と、そしてもちろん心を許して休める時間との両方である

    ・心の中で、「ごめんなさい」といつも謝りながら生きて来た。こんな記憶ばかりだ

    ・私はその人間的な怠りに腹を立て、自分を叱っている人間の姿が好きである

    ・人が言葉や行動に表さない個人的で部分で、どれだけ多くの思いを味わっているかということは、神の贈り物だと思うことがある
     それは人生の陰影であり、その人だけの精神的固有財産である
     そしてその領域を深く大きくすることこそ、成長だとこのごろ思うようになった

    ・おかげさまで、ありがとうございます、ごいっしょにいかがですか。
     すべてこういう言葉は、自分と社会との関係をまともに理解している証拠なのだが、それがそのまま、人間の謙虚な姿勢にも繫がるのである
     自分に絶対の力や才能があると信じるのは、多分思い上がりのあらわれなのだと思う

    ・そもそも信仰というものは、日々刻々その人の生きざまを決定するものだから、教会の雰囲気や音楽がすてきだからと言って行くものではないのである

    ・クリスマスは決して遊びの日ではなく、深く自分の内面の人生と対決する日なのである

    ・希望は自分で作りだすものだ。他人が作って与えることはできない
     他人は、希望をかなえようとする人の手助けをする
     希望を失うのは、人間の運命はすべて自分の力の結果だと信じている人の特徴かもしれない

    ・考えて見れば、忍耐というのは、まことに奥の深い言葉だ
     人間はすぐには希望するものが手に入らないことが多い

    ・しかし忍耐さえ続けば、人は必ずそれなりの成功を収める
     金は幸せのすべてではないが、財産もまた大きな投機や投資でできるものではないということを、私は長い間人生を眺めさせてもらって知った
     その代わり、成功のたった一つの鍵は忍耐なのである

    ・実に忍耐は、人間の最高の徳を裏から支える強さである
     だからとにかく忍耐のできる子供を育てた親や教師は、まちがいなく教育に成功したのである

    ・努力しさえすれば、必ず目的は達せられるというのは、人間の大きな思い上がりである

    ・「運命にゆだねる」、「神の指示に自分をゆだねる」という姿勢は、むしろ人間の勇気と自制心と深い関係にある
     人間を超えた力が与えた境遇こそ自分の人生だと思い、その中で、自分らしい努力をしたり、できればその状況を楽しんだりできれば最高なのだ

    ・私は自分の性格が悪いことを知っていた
     他人と協調した生活ができない
     人も疑い、神も疑っている
     祈りは後回しで、自分のしたいことをする

    ・与えられた以上の能力を、神は人に要求なさりはしない
     できる時には励み、できなくなったら祝福に包まれて休めばいい
     それが私の考える人間らしさだ

    ・この世で何が難しいと言って人を赦すことほどむずかしいことはない
     相手のためではない、自分のために相手を赦すのである

    目次
    愛するということ
    勇気を持つということ
    人を輝かせるもの
    すべては神からの贈り物
    私を私にするもの

    ISBN:9784759311747
    出版社:海竜社
    判型:4-6変
    ページ数:208ページ
    発行年月日:2011年03月14日第1刷
    発行年月日:2011年05月16日第5刷

  •  最近の楽しみは、東京の電車を乗りこなして初めての町を味わうこととおっしゃる曽野綾子さんですw。自分の言葉で語る癖をつけると素晴らしい出会いが待っていると(^-^) 「幸せの才能」、2011.3発行です。曽野綾子さんの本にたびたび登場する「神」とか「聖書」とかは苦手な私ですが、著者の生き方・考え方には教わることが多いです! 挨拶は人間関係の基本で、敵対していないというサインとか、私の場合は、敵対していないというより「ラブコール」ですが~(^-^) いずれにせよ、挨拶には人柄や生き方が出るものなんでしょうね!
     聖書から導かれた言葉が多い気がします。曽野綾子「幸せの才能」、2011.3発行、再読。心に留まったところ(聖書とのつながりが薄いところ?): ①挨拶は人間関係の基本、その人の全人格や哲学を表すもの ②最近(2010年ごろ?)の楽しみは、東京の電車を乗りこなして初めての町を味わうこと ③夫の家出(外出)と家事はボケ防止に ④老人閑なし。当てにしない、諦めるという二つの姿勢が老世代を幸せに ⑤今の日本の教育に欠けているのは、相手の立場に立ってものを考えるという訓練を子供にしていないこと。とことん闘い、傷つけ、最後には殺すことに。

  • 【読書リスト1】曽野綾子『幸せの才能』海竜社。書き留めたい文章がたくさんある本でしたが、その中から一つ。「百点満点ではない自分と他人の生き方に、自然な人間性を見出だしつつ、しかし謙虚に生きる技術(p.79)」自らの社会的役割をしっかりと果たす一方で大事にしたい言葉です。

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著者プロフィール

1931年東京生まれ。聖心女子大学卒。93年恩賜賞・日本芸術院賞受賞。2003年文化功労者に。2012年菊池寛賞受賞。著書に『人生の収穫』『「群れない」生き方』『人間の道理』『老いの道楽』等多数。

「2022年 『未完の美学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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