100%再生可能へ! 欧州のエネルギー自立地域

  • 学芸出版社
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784761525309

作品紹介・あらすじ

脱原発を決めたドイツ、イタリア、スイス、原発を持たないオーストリア、デンマーク。農村から大都市まで、原発や化石燃料に依存しない再生可能エネルギーの聖地をジャーナリストが取材。エネルギーを意識して生きる市民、革新的な政策と事業を実現する地域のイニシアチブ。欧州社会の現実を日本の未来へ。

感想・レビュー・書評

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  • ■一橋大学所在情報(HERMES-catalogへのリンク)
    【書籍】
    https://opac.lib.hit-u.ac.jp/opac/opac_link/bibid/1000930724

  • 表題の「エネルギー自立地域」とは、エネルギーの自立・自給を目指す地域を国がサポートするプログラムのことだ。これらの地域の最大のモチベーションは、地域経済の活性化である。今まで、電気や暖房、ガソリンなどのために地域外に支払われていたお金を、地元の再生可能エネルギーを活用することにより、地域内に還元させようということだ。5人のレポーターによって、人口数100人の村から100万人を超える大都市まで、ドイツ、オーストリア、スイス、イタリア、デンマークの15の地域の熱意あふれる取り組みが紹介されている。
    その中の一つである、オーストリアのフォーアールベルグ州のエネルギーの未来を考えるワークショップでのルールがおもしろい。要約すると次のようになる。
    ①すべての障害や困難はまず脇において、経済的、政治的、法的に可能かどうかは考えないこと。
    ②自分の所属する団体の関心を代表することなく、個人として未来を考えること。
    ③参加者たちが批判されないように守ること。
    というものだ。これらはとてもうまく機能したという。建設的な取り組みを導き出すときには参考となるルールだ。

  • 欧州の地域での再生可能エネルギーの取組を各村・街毎に詳しく解説。そこから日本も同じような取組をするにあたり、どのようなフレームワークが必要か解説。実施している人口規模が小さくて、(唯一ミュンヘン市の事例のみが大都市だったが)そのまま参考にはならないだろうが、各地域ともに野心的な目標を掲げ、市民が中心となって動くことが出来ている。これは日本の体質と大きく異なる点だと思った。

  • 再生可能エネルギーによる熱供給の推進はドイツでは再生可能エネルギー熱部門推進法によって進められている。ドイツでは、住宅、非住宅をとw図、新築物件を建築する際は、その建物で必要とされる熱量のうち、ある一定量の熱供給は再生可能エネルギーで賄わなければならない法規則があり、これをクリアできないと建築許可が下りない。

    リーマンショック後の景気対策パッケージでドイツが最初に行ったのは、省エネ改修の補助金の上積み。

  • ヨーロッパの各地で実施されているエネルギー自立化の取り組みの紹介本。省エネではなく、地位域内で100%確保してしまうという発想。もともと地域が独立していていただけあって、ヨーロッパの地域がそれぞれのアイディアで取り組むという姿勢がありありと分かる本です。エネルギー的に自立することによって、エネルギー購入資金として地域外へお金が流出することを防ぐ考えは重要であり、地方分権をすすめるには必要な考えではないかと思う。
    しかし、実際には小さな自治体では進めやすいが、大きな街になるにつれて既に整備されている社会インフラが消費する巨大なエネルギーをいかに賄うかが課題になりそう。

  • 漠然と知っている気になっているヨーロッパの省エネルギーと自然エネルギー利用事情の具体例です。
    エネルギー自立、という言葉が気に入りました。自給ではありません。
    地域が、エネルギー面で自立をはかるという強い意志を持つこと、エネルギーのために出ていってしまう富を地域内で循環させること。そういう地域にしていくための経過も紹介されています。
    翻って、日本には多くの人工林があり、また地熱、そして急峻な山と多雨というポテンシャルもあり、ヨーロッパ以上にやれそうに見えてきます。エネルギーを単に代替して、生活はそのまま、なんてのは、パンが無ければケーキを食べる、みたいになってしまう気がします。もう少し小さい単位になって、移動も控えて。これを後ろ向きととらえるか、未来と捉えるかです。

  • よく出来ている本であるが、僕にとっては知っている事例が多い。
    欧州ではできて、どうして日本ではできないのか、考え続けないといけない。

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著者プロフィール

滝川 薫:環境ジャーナリスト、ガーデンデザイナー。東京外国語大学イタリア語学科、オーシュベルク造園学校植栽デザイン課程修了。北スイスに在住し、持続可能なエネルギー・建築・地域発展をテーマとした視察セミナーや執筆活動を行う。著書に『サステイナブル・スイス』(学芸出版社)、『欧州のビオホテル』(ブックエンド)など多数。

「2021年 『BIOCITY ビオシティ 87号 オーストリアのエネルギー自立と持続可能な地域づくり』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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