- Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
- / ISBN・EAN: 9784763013101
作品紹介・あらすじ
忘れられない出来事と、忘れたくない人たち。過去からの声に耳をすませば、懐かしいあの人が元気をくれる。遠い記憶を呼び起こす珠玉のエッセイ集。
感想・レビュー・書評
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エッセイ集である。特に本のタイトルになっている『猫を抱いた父』という文章を読んでいて、不意に涙が出た。私はいかにも「泣けます」という本は敬遠するほうだが、いつも心にある父や母への思いに共振するものがあった。人への温かい気持ちが満ちている本である。
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文学
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前に取り上げた同じ著者の人物ルポ集『声を届ける』と、同じ版元から同時刊行されたエッセイ集。ブックデザインもよく似ていて、2冊がちょうど対になっている感じ。
『声を届ける』について、私は「人物ルポのヴィンテージ」と評したが、本書も素晴らしいエッセイ集だ。
梯久美子が自分自身について記したエッセイ集は、これが初めて。当代屈指の名文家(だと私は思っている)の本領が発揮された一冊になっている。
タイトルといい、文章といい、向田邦子の名エッセイ集『父の詫び状』を彷彿とさせる。
『父の詫び状』を読んで「ほとんど名人である」と絶賛したのは山本夏彦だったが、本書も名人級のうまさが随所に発揮されている。
小説家とノンフィクション作家という違いはあるものの、エッセイの書き手として見るなら、向田邦子の正統的後継者は梯久美子だと思う。
幼少期からの思い出を綴ったものと、物書きになってからの仕事の舞台裏を明かしたものが、おおむね半々の割合。
私はどちらかといえば前者に強い印象を受けたが、後者のうち、交友のあった作家などを追悼した何編かのエッセイも、深く心に残る。
『声を届ける』も本書も、版元が地味(美術出版の老舗だが)なせいもあってか、あまり売れていないようだ。どちらも名著なので、もっと脚光を浴びてほしいところ。 -
いくつかの書評で好評だったので、読んでみました。期待以上に良かった。
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エッセイはあまり読まなかったけれど、新聞の書評で興味を惹かれて読んだ。これは、母にも息子にも勧めたい。