猫を抱いた父

著者 :
  • 求龍堂
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本棚登録 : 42
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763013101

作品紹介・あらすじ

忘れられない出来事と、忘れたくない人たち。過去からの声に耳をすませば、懐かしいあの人が元気をくれる。遠い記憶を呼び起こす珠玉のエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • エッセイ集である。特に本のタイトルになっている『猫を抱いた父』という文章を読んでいて、不意に涙が出た。私はいかにも「泣けます」という本は敬遠するほうだが、いつも心にある父や母への思いに共振するものがあった。人への温かい気持ちが満ちている本である。

  • ふむ

  • 文学

  •  前に取り上げた同じ著者の人物ルポ集『声を届ける』と、同じ版元から同時刊行されたエッセイ集。ブックデザインもよく似ていて、2冊がちょうど対になっている感じ。

     『声を届ける』について、私は「人物ルポのヴィンテージ」と評したが、本書も素晴らしいエッセイ集だ。
     梯久美子が自分自身について記したエッセイ集は、これが初めて。当代屈指の名文家(だと私は思っている)の本領が発揮された一冊になっている。

     タイトルといい、文章といい、向田邦子の名エッセイ集『父の詫び状』を彷彿とさせる。
     『父の詫び状』を読んで「ほとんど名人である」と絶賛したのは山本夏彦だったが、本書も名人級のうまさが随所に発揮されている。
     小説家とノンフィクション作家という違いはあるものの、エッセイの書き手として見るなら、向田邦子の正統的後継者は梯久美子だと思う。

     幼少期からの思い出を綴ったものと、物書きになってからの仕事の舞台裏を明かしたものが、おおむね半々の割合。
     私はどちらかといえば前者に強い印象を受けたが、後者のうち、交友のあった作家などを追悼した何編かのエッセイも、深く心に残る。

     『声を届ける』も本書も、版元が地味(美術出版の老舗だが)なせいもあってか、あまり売れていないようだ。どちらも名著なので、もっと脚光を浴びてほしいところ。

  • いくつかの書評で好評だったので、読んでみました。期待以上に良かった。

  • エッセイはあまり読まなかったけれど、新聞の書評で興味を惹かれて読んだ。これは、母にも息子にも勧めたい。

  • 「散るぞ悲しき」を書いた梯久美子のエッセイ。。。

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    「遠い記憶を呼び起こす珠玉のエッセイ集!
    明日を生きる道しるべ

    忘れられない出来事と、忘れたくない人たち。
    過去からの声に耳をすませば、懐かしいあの人が元気をくれる。

    <主な内容>
    ●Ⅰ章 ・ ごんぎつねと「ヘイ ジュード」 ●Ⅱ章 ・ ミニチュアの虹
    幼少期に自我の目覚めと共に味わう世の理不尽さ、子供の世界ならではの忘れえぬ物語。
    東京での一人暮らしで出合う社会の風と思わぬ他人の助けやぬくもり、著名人との仕事で心を捉えた出来事……。
    失敗や挫折を繰り返し奮闘する私たちへ、勇気と過ぎ去りし日への苦笑い、すこしの涙を与えてくれる温かい物語、33話。
    ●Ⅲ章 ・ うちの殿下=戦後の日本が引きずってきた、歴史書には残らない「市井の人の心」が辿った運命の路。
    デビュー作『散るぞ悲しき』で、はからずも戦後を追うこととなった著者が取材で出合った、亡き人を想う人々の切なくも深い人間的行動を、秀逸かつ温かい言葉で綴った魂の記録など14話。 」

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。1961(昭和36)年、熊本市生まれ。北海道大学文学部卒業後、編集者を経て文筆業に。2005年のデビュー作『散るぞ悲しき 硫黄島総指揮官・栗林忠道』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。同書は米、英、仏、伊など世界8か国で翻訳出版されている。著書に『昭和二十年夏、僕は兵士だった』、『狂うひと 「死の棘」の妻・島尾ミホ』(読売文学賞、芸術選奨文部科学大臣賞、講談社ノンフィクション賞受賞)、『原民喜 死と愛と孤独の肖像』、『この父ありて 娘たちの歳月』などがある。

「2023年 『サガレン 樺太/サハリン 境界を旅する』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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