星にとどく樹: 世界を旅するピアニスト

著者 :
  • 求龍堂
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感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (234ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763096395

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  • ◆きっかけ
    ブクログ 2016/8/31

  • 古いもので1981年からの、いくつかの雑誌への連載と書き下ろしをまとめたもの。当然ながら世界的日本人ピアニストである著者(フィンランドに拠点を置く)が、病によって「左手のピアニスト」になる以前の、文字どおり世界を旅していた頃の随筆集。私は雑誌で断片を目にしていた頃から、彼の文章が好きだった。そしてやはりまずは、グリークやシベリウスの作品の演奏が大好きだ。こんなに素敵な文章を書ける感性だから、こんなにいい音楽なんだ、そうも感じていた。「ピアニスト舘野泉、右手麻痺」のニュースには衝撃を受けたが、その後に出たCD冒頭の「左手のためのバッハ・シャコンヌ」の見事さには涙が出た(ブラームスの編曲も素晴らしかったんだ、と、これであらためて確かめることができた、こんなに凄い左手のシャコンヌ、聴いたことなかった!)。「左手のピアニスト」になってからは特に、テレビドキュメンタリーも追いかけているから、御覧になる機会もあろうか、と思う。彼が初めて、アンコールで再び右手を使ったときの映像も感動的だった。以上を、私はまったく批判・否定はしないが、「左手のピアニスト」としか知らない人は、両手で北欧の音楽を弾いていた頃の彼の演奏を聴いてみてください。そしてできれば、こういう随筆集を読んでください。そうしたら、こういう彼だったからこそ、左手1本でも素晴らしい音楽を奏でられるのだ、と感じられると思います。フィンランドでの日々についても詳しいので、北欧ノートにも入れておきます。

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著者プロフィール

ピアニスト。1936年東京生まれ。
領域に捉われず、分野にこだわらず、常に新鮮な視点で演奏芸術の可能性を広げ、不動の地位を築いた。2002年に脳溢血で倒れ右半身不随となるも、しなやかにその運命を受けとめ、「左手のピアニスト」として活動を再開。尽きることのない情熱を、一層音楽の探求に傾け、独自のジャンルを切り開いた。“舘野泉の左手”のために捧げられた作品は、10ヶ国の作曲家により、100曲を超える。2023年は数え年で88歳を迎え、「米寿記念演奏会」全国ツアーを行う。もはや「左手」のことわりなど必要ない、身体を超える境地に至った「真の巨匠」の風格は、揺るぎない信念とひたむきな姿がもたらす、最大の魅力である。

「2023年 『ハイクポホヤの光と風』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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