日本軍「慰安婦」問題の核心

著者 :
  • 花伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784763407429

作品紹介・あらすじ

近年の日韓問題において重要なポジションにある「慰安婦問題」の決定版。河野談話以後も500点ちかい資料が発掘され、公文書や連合国の資料も含め1000天近くの膨大な資料が存在しております。資料の生々しさがこれでもかと示されます。日本軍の従軍慰安婦のみならず米軍基地と性暴力の問題についても鋭い分析を加えております。
著者はジェンダー研究においても定評がありこれまでの「慰安婦」関連書籍と一線を画す内容です。

感想・レビュー・書評

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  • 210.7||Ha

  • 本文の中で繰り返しいわれていることだが、「個人の記憶なので当てにならない」「公文書がない」「家に押し入って無理矢理連れ去るような強制性はなかった」ことを理由に慰安婦が強制的でも暴力的でもなかったとする意見は、間違っている。これらはすべて北朝鮮による日本人拉致についてもいえるから。これらを理由に日本軍、日本政府の責任がなかったというのであれば、北朝鮮による拉致も不問に付さなければダブルスタンダード(二枚舌)とのそしりは免れない。

    1990年代過去の出来事ではなく現在も続いている問題として戦時性暴力がクローズアップされるようになり、世界的に過去の戦時性犯罪を検証する動きが活発になった。これは過去の戦争犯罪を糾弾するのが目的ではなく、過去を振り返り過ちを繰り返さないためには何をするべきかというものだった。河野談話はこうした流れに沿って日本が国際的な信頼を勝ち取るための絶好のチャンスと思われたが、日本では過去の過ちを認めることがあたかも敗北であるかの風潮が強く、さらにその風潮はその後勢いを増し、歴史的な事実に基づかない子供じみた歴史修正主義が日本の公式的な立場となってしまった。

    「吉田証言の誤り」を錦の御旗にして一地域での個人の証言をもってあたかもすべての事実がなかったかのような妄言が市民権を得てしまったが、「慰安婦はいなかった」「強制性はなかった」という主張はただのトンデモにすぎない。これは歴史学界の全世界的共通認識である。そして世界はそれをネタに日本を貶めようとしていない。妄言に固執することが日本の世界的信頼を失墜させる「売国的」行為であることにそろそろ気づいてもいいのではないかと思う。

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著者プロフィール

1955年、兵庫県神戸市生まれ。1985年、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了(社会学博士)。現在、関東学院大学経済学部教授、日本の戦争責任資料センター研究事務局長。専攻は現代史、軍隊・戦争論。主な著書に『暴力と差別としての米軍基地』(かもがわ出版)、『沖縄戦と民衆』(大月書店)、『沖縄戦 強制された「集団自決」』(吉川弘文館)、『戦犯裁判の研究』(勉誠出版)、『戦後平和主義を問い直す』(かもがわ出版)、『シンガポール華僑粛清』(高文研)、『BC級戦犯裁判』(岩波書店)、『裁かれた戦争犯罪』(岩波書店)、『「慰安婦」・強制・性奴隷: あなたの疑問に答えます』(御茶の水書房)等多数。

「2015年 『日本軍「慰安婦」問題の核心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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