- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784768312728
作品紹介・あらすじ
平成から令和へ元号が変わり、オリンピック開催を1年後に控え、大規模な再開発で大きく変わりゆく東京の風景。その片隅にポツンと残る蔵を記録している人物が存在します。精神カウンセラーとして著書も多数ある清田予紀氏は、本業の傍ら「蔵見ニスト」を自称し、都内中心部に残る蔵を訪ね記録する活動を十数年続けています。本書は、著者が訪ねた蔵を写真とともに紹介する「蔵めぐり散歩」のガイドブックです。
著者がこれまでに発見した都内・山手線圏内に残る蔵の数は100軒を超えています。その探し方はユニークかつ合理的。まず、Googleマップのストリートビューでこれはと思う建物に目星をつけておく。その際に参考になるのが、1945(昭和20)年に発行された地図「帝都近傍圖」。蔵は第二次大戦の戦災を逃れたエリアに集中していて、「帝都近傍圖」には東京大空襲の被害状況が記録されています。移動手段は自転車。クルマでは小回りが利かず見逃してしまうことが多く、といって徒歩では回れる範囲が狭い。この方法で数々の貴重な蔵をモノにしてきました。
蔵には大きく3タイプあり、伝統的な木造・漆喰壁のタイプと西洋の影響を受けたレンガ造り・石造りのタイプ、関東大震災以降は鉄筋コンクリート製のものが増えています。建築文化的に貴重でも、文化財指定など保存の対象になっているものはごく一部で、老朽化による取り壊しや再開発などで都内の蔵はどんどん姿を消しています。「蔵めぐり」は気軽な散歩テーマであると同時に、失われつつある生活文化の記録でもあるのです。
近年は、蔵をリノベーションして住宅やカフェなどの飲食店、店舗、ギャラリー等に転用しているケースも多く見られます。著者自身が約20年前に蔵を改装した家に住むことになり、それが蔵に興味を持つきっかけになったと言います。店舗やギャラリーとして活用されている蔵は、一般の方も気軽に訪ねやすいので、取材を行って詳細な情報を掲載します。
感想・レビュー・書評
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散歩していて見かけたことがある蔵がいくつか。
人の家なので中を覗くことはできないが、どんな歴史が詰まっているのか気になる。
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特に都市圏ではあまり見ないからこそ、見つけたときちょっと得した気にはなる。…蔵マニアな著者のようにここまで細かく見たことありませんが。"蔵"と一口に言っても色々あるんですね
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ただ蔵を紹介するだけではなく、蔵の豆知識や蔵の部品部分(折釘、鍵など)も細かくピックアップされていて興味深く読めました。
山手線圏内の散歩はよくするので、掲載されている蔵は外観からさらっと見たことはあるのですが、この本を読んだうえで行くとさらに楽しめそうな気がします。 -
蔵が大好きでもともと蔵だった借家に暮らしているという、自称「蔵見ニスト」の著者が、東京、それも山手線圏内に残っている蔵の数々を紹介している一冊。
著者曰く、「もうこんなに少なくなった」のだそうだが、「まだこんなに残っているのか」と驚く。
文化財として公園内などで保護、管理されているものもあれば、飲食店やギャラリーとして活用されているものなど、現在の状況から外観までバラエティに富んでいて、ぱらぱらめくっていると興味深い。
タイトルには「散歩」とあるけれど、著者自身は自転車でめぐることを推奨されている。
湯島のバー、素敵だけど、コロナ禍でこの後どうなっちゃったかなあ。
東京で古いものを維持していくことの難しさも感じる一冊だった。