ルーマニア・マンホール生活者たちの記録

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著者 : 早坂隆
  • 現代書館 (2003年6月発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784768468586

ルーマニア・マンホール生活者たちの記録の感想・レビュー・書評

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  • レポート執筆の息抜きに読もうと思っていたのが、内容の面白さについ熱中して読んでしまった。
    ルーマニアの事なんて地理的にも文化、歴史的にも全く知らなかった。マンホールに住んでいる子供たちの存在なんてロシア位のものかなと思っていたので聞く話はどれも新鮮かつ衝撃的なもので未知の扉をこっそり開いてのぞき見したような感覚がした。
    この著者の語り口から参与観察するということが一体どういったものなのかをなんとなく読み取れる。どれだけ馴染み、心を通わせようとそこにある絶対的な溝は一生埋まることはない。結局自分たちは日本に生まれ教育を受けるという機会に恵まれ、他国へ飛んでいける財力を持ち、興味本位でそこの問題に首をつっこみ、いざとなったら自分たちの居場所へ帰っていける権利を持っている。しかし、彼らにはやめようと思っても自分たちの生活をやめることができない、限られた選択肢を強制されている。その隔たりはどれだけ乞い願ってもなくすことはできない。だからといってそれで友情や信頼関係を築くのが不可能だとは思わない。けど、ことあるごとにその溝は目の前に現れ、互いの立場を確認させるだろう。その障害を解決する術があるとすれば、お互いがその障害を理解し、自分たちはわかりあえないものを持っているということをわかった上でそれでも相手を理解しようと努める姿勢だと思う。理解しようとすることを諦めたら、それまでだ・

  • 「マンホール生活者」とは、日本で言うところのホームレスに近い。だが決定的な違いがあって、まずその多くが年端もいかぬ子供であること、そして子供「だけ」で暮らしているのもけっして珍しくはないことだ。
    まがりなりにも「先進地域」のヨーロッパに、かくも多くの孤児が存在することに驚かされた。よく耳にする第三世界の悲惨とは、また違った衝撃があった。

    著者も悩んでいるように、これはもとより何かを「解決」できる物語ではない。いかに現地語ができようと、どれだけかれらとフランクに語り合おうと、ひとときマンホールの中に「下りて」きた著者は、結局地上へと「帰って」いく。両者は決定的に隔てられ、「ヨコの人間関係」を結ぶことなど叶わない。
    だが、ハリウッド映画のカタルシスこそ無縁でも、おエラい「ジャーナリスト様」のルポとはおよそレベルが違う。先にも書いたがルーマニア語が使え、かれらの目線に最大限寄り添おうとする著者の力量あらばこそ、何も「解決」できなくとも、本書は十二分の価値を持つ。まずはこの問題が人口に膾炙したものとなるために、広く読まれるべき本である。

    地中生活を送る子供たちとの対話が本書の主眼だが、たまさか「外の人びと」が登場することもある。その、ほんのわずかの記述から——紛れもなく「かわいそう」なかれらが、しかしひたすら「かわいそうなだけ」の存在ではないことがまざまざと知れるのだ。
    けっして揺らがぬ冷静で理性的なまなざし、これぞ著者の真骨頂である。真のジャーナリストとして、得がたい資質を持った人だと言えるだろう。

    2012/2/10読了

  • つらーい
    だけどこれが現実なんだなあと。
    たくさんの人に読んでもらいたい。

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