生活の豊かさをどう捉えるか―生活水準をめぐる経済学と哲学の対話―

  • 晃洋書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784771035416

作品紹介・あらすじ

なぜケイパビリティ・アプローチが必要なのか という、その背景を明確化。
本書は、アマルティア・センが1985年に行ったタナー・レクチャーを書籍化したものであり、センの2つの講演に加え、4名の討論者からのコメント、およびセンからのリプライによって構成されている。
討論者には、経済指標の専門家(J.ミュエルバウアー)や哲学の大家(B.ウィリアムズ)が含まれ、非常に射程の広い対話を読むことができる。
アマルティア・センのレクチャーの論点についてやさしく道案内をした訳者解説、巻末付録としてアマルティア・セン邦訳書リスト付き。
【「訳者まえがき」より(一部抜粋)】

 本書はAmartya Sen, John Muellbauer, Ravi Kanbur, Keith Hart and Bernard Williams, The Standard of Living, edited by Geoffrey Hawthorn, Cambridge University Press, 1987. の全訳である。この本のもとになっているのは、人文学においてもっとも権威ある招待講義の一つとされている「タナー・レクチャー」であり、本書はアマルティア・センによる二つのレクチャーに加え、四名の討論者からのコメント、およびセンからのリプライによって構成されている。

 本書に収められているのは、センが一九八五年にケンブリッジ大学で行ったタナー・レクチャーの内容であるが、センがタナー・レクチャーを行ったのはこの時が二回目である。最初のタナー・レクチャーは「何の平等か?(Equalituy of What?)」と題され、一九七九年にスタンフォード大学で行われた。〔・・・中略・・・〕「何の平等か?」はセンの数多くの学問的貢献の中でも、一つの決定的な論文として位置付けられていると言って良いだろう。というのも、この論文においてセンの重要な理論的主張の一つであるケイパビリティ・アプローチの考え方が初めて提示されたからである。これに続き、一九八〇年代のセンはケイパビリティ・アプローチを積極的に展開・深化させていったのであり、そんな中で行われた彼の二回目のタナー・レクチャーは、ケイパビリティについての彼の研究のさらなる進展を示すものと位置付けられるだろう。ただし、「生活水準」というテーマを掲げた二回目のタナー・レクチャーは、ケイパビリティ・アプローチそのものについて論じるものではない。むしろ、なぜケイパビリティ・アプローチが必要なのかという、その背景の明確化が主題とされている。センのケイパビリティ・アプローチについて論じた論文・著作は、本人の手によるものはもちろん研究書・研究論文のレベルまですでに様々なものがあるが、ケイパビリティ・アプローチのそもそもの問題関心、およびそれに取り組む上でのセン自身の態度が明確に論じられている(そして討論者によってそれに対する疑問点も指摘されている)点に、本書の独自性があると言えよう。

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:331.74A/Se56s//K

  • 365||Se

  • 序 論 (ジェフリー・ホーソン)

    レクチャー1:概念と批判 (アマルティア・セン)
    レクチャー2:生活とケイパビリティ (アマルティア・セン)

    生活水準をめぐるセン教授の議論について (ジョン・ミュールバウアー)
    生活水準――不確実性・不平等・機会 (ラヴィ・カンブール)
    コモディティ化と生活水準 (キース・ハート)
    生活水準――利益とケイパビリティ (バーナード・ウィリアムズ)

    リプライ (アマルティア・セン)

    訳者解説 生活水準をめぐる哲学と経済学――現実を見据えて視野を広げる (玉手慎太郎)

    付 録 アマルティア・セン邦訳書リスト

  • 翻訳えらい。

  • 【書誌情報】
    原題:The Standard of Living (Cambridge University Press, 1987)
    編者:Geoffrey Hawthorn(1941-) 社会理論、政治理論.
    著者:Amartya Sen(1933-) 
    著者:John Muellbauer(1944-) マクロ経済学、応用経済学.
    著者:Ravi Kanbur(1954-) 開発経済学、公共経済学.
    著者:Keith Hart(1943-) 経済人類学.
    著者:Bernard Williams(1929-) 哲学・倫理学.
    訳者:玉手 慎太郎  公共哲学、応用倫理学.経済学博士.
    訳者:児島 博紀  教育哲学、規範倫理学
    ジャンル:哲学、経済
    出版日:2021/12/10
    ISBN:9784771035416
    判型:4-6・236ページ
    定価:3,520円

    ◆なぜケイパビリティ・アプローチが必要なのか という、その背景を明確化。
     本書は、アマルティア・センが1985年に行ったタナー・レクチャーを書籍化したものであり、センの2つの講演に加え、4名の討論者からのコメント、およびセンからのリプライによって構成されている。討論者には、経済指標の専門家(J.ミュールバウアー)や哲学の大家(B.ウィリアムズ)が含まれ、非常に射程の広い対話を読むことができる。
     アマルティア・センのレクチャーの論点についてやさしく道案内をした訳者解説、巻末付録としてアマルティア・セン邦訳書リスト付き。
    http://www.koyoshobo.co.jp/book/b595952.html

    【簡易目次】
    訳者まえがき
    凡例

    序論(ジェフリー・ホーソン)

    レクチャー1:概念と批判 (アマルティア・セン)
    レクチャー2:生活とケイパビリティ (アマルティア・セン)

    生活水準をめぐるセン教授の議論について (ジョン・ミュールバウアー)
    生活水準――不確実性・不平等・機会 (ラヴィ・カンブール)
    コモディティ化と生活水準 (キース・ハート)
    生活水準――利益とケイパビリティ (バーナード・ウィリアムズ)

    リプライ(アマルティア・セン)

    訳者解説 生活水準をめぐる哲学と経済学――現実を見据えて視野を広げる (玉手慎太郎)

    付録 アマルティア・セン邦訳書リスト

    訳者あとがき
    参照文献一覧

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著者プロフィール

1933年、インドのベンガル州シャンティニケタンに生まれる。カルカッタのプレジデンシー・カレッジからケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジに進み、1959年に経済学博士号を取得。デリー・スクール・オブ・エコノミクス、オックスフォード大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、ハーバード大学などで教鞭をとり、1998年から2004年にかけて、トリニティ・カレッジの学寮長を務める。1998年には、厚生経済学と社会的選択の理論への多大な貢献によってノーベル経済学賞を受賞。2004年以降、ハーバード大学教授。主な邦訳書に、『福祉の経済学』(岩波書店、1988年)、『貧困と飢饉』(岩波書店、2000年)、『不平等の経済学』(東洋経済新報社、2000年)、『議論好きなインド人』(明石書店、2008年)、『正義のアイデア』(明石書店、2011年)、『アイデンティティと暴力』(勁草書房、2011年)などがある。

「2015年 『開発なき成長の限界』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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