子どもに語る日本の神話

  • こぐま社
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本棚登録 : 99
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784772190558

作品紹介・あらすじ

イザナキとイザナミの国生み、スサノオとヤマタノオロチ、稲羽の白ウサギ、海幸彦と山幸彦、ヤマトタケルほか、泣き、笑い、冒険もすれば、恋もする神さまたちの物語10篇。読んであげるなら小学低学年から/自分で読むなら小学中学年以上。

感想・レビュー・書評

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  • 日本の神話絵本シリーズでは、5(すさのおとおおくにぬし)-6巻(うみさち やまさち)の間の物語がすっぽり抜けているので、こちらで全体の流れを補おうと思った。とっても面白かった!

    私はおそらく戦争の反省から日本の神話を語るのから遠ざけられた世代に含まれるので、日本の神話のことよく知りませんでした…

    感想をぽろぽろと…
    ・多和田葉子の連作長編(『地球にちりばめられて』〜)のモチーフになっている日本の神話を理解しておきたいというのが元々読みたいと思ったきっかけなんだけど、Hirukoの記述は本書では短く、「(イザナキとイザナミが結婚の契りをむすぶと、)するとそこに生まれたのは、骨のないヒルのような子だったので、葦で編んだ船に入れて流した。」で終わっていて、衝撃を受けた。(この親に無慈悲に流されてしまったヒルコが、多和田葉子の作品の中で亡国?日本をめぐって旅することになるという設定の哀しさに衝撃を受けた…)
    ・また神が世界を成すのに、「イザナミが生む」という形を取ったことに思いを馳せた。生むという行為には、未知が付きまとう。どんな子が生まれるのか、自分にはコントロールができない。その発想は、キリスト教の神がアダムを創ったという発想と違うなぁと思った。
    ・結果としてなのか、物語を通して、子どもはほとんど親の思い通りにならない。それが面白い。

    ・また、神話を読んでいると、ほかの日本の物語が彷彿とされて、世代を超えて受け継がれるものに思いを馳せた。例えば、男女関係は源氏物語の世界観を彷彿とさせられる(領土を広げるための方法論として、有力者の娘を嫁にもらう、結果としての一夫多妻制が長らく有効だったのかな?)。また、滅ぼされた側のオオクニヌシの語りに重きを置く、鎮魂の語りからは平家物語がちらついた。

  • 古事記の理解を助けてくれる本。「子どもに語る」ように作られているからこそわかりやすい。巻末の各話の解説でさらに知識が深まります。こちらを読んだうえで本物の古事記をひもといてみるのもよいかと思いました。

  • 古事記から抜粋した日本神話。アマテラスの天岩戸、ヤマタノオロチ退治、因幡の白兎など有名どころは収録。オオクニヌシの話を読むと神様って割と勝手だよなーとしみじみ思う。子どもに向けられたものなので読みやすかったけど、やっぱり日本の神様の名前は覚えにくいです…。

  • 古事記について、断片的な言葉の知識しかないので手に取りました。
    小学生中学年からわかるような感じでしょうか。
    有名な話がわかりやすく書かれています。
    それでも音は耳慣れないので何度も繰り返し読みたいですね。
    こども用に家に一冊あってもいいなと思いました。

  • タイトルが示す通り「子どもに語る」ための古事記
    2013年は編纂より1300年の記念の年であった。
    「自分はどこからきたのだろう」という疑問に応えるために語られてきた話。

    訳三浦佑之、再話茨木啓子
    三浦佑之のあとがき
    茨木啓子の語る人のためにの文章も必見

    「神話」という言葉について
    「神」というと万能な信仰の対象である「神」をイメージするが、神話の神は、そうではない。
    世界中どこの神話もそうである。(ギリシア神話、北欧神話など)
    ただし、土地、気候によって特徴が表れる。
    例えば、古事記の場合、「緑の葦の芽のようにすくすくと萌えてできた命があった」農耕民族の日本ならでは。
    他の場合は、「土をこねて」~砂漠のような草の生えない地域。

    神話や昔話を聞くというの意味は、民族、文化、生活がちがっても根っこのところは皆同じだと知ること。

    また、つじつまが合わないところを、そのまま受けとめること。「なぜ?」と現実的にひっかからないことが大事。→あとがきP174 現代人は、なんにでも意味を求めて、それによって価値付けし、大事なのか役にたつのかというようなことを決めようとします。そんなふううに、すべてを自分の了解の範囲に収めようとするのは、あるいは傲慢なのではないかと思うことがあります。わからないことはいっぱいあって、それがとても大事だということもあるわけです。わからないことがあれば、まずは、わからないこととして受け入れる。そしてわからないままではいやだというのであれば、調べたり聞いたりして理解を深めていこうとする、それでいいのです。

    耳で聞くことが大事。心地よい音を聞くことに集中すること。想像する楽しさを知ること~豊かに生きられる。

    語る人、読む人の感性を通して語られたとき、伝わり方が変わってくるので、語り手、読み手の理解が問われる。(ということを意識すること)

    P156火打ち石が入っている。
    ~トリックでも使われていたエピソード
    火に対して火をもって制する

    P160吾妻(あずま)はや。ああ、わが妻よ
    それ以来、ここから東の国を「東(あずま)」と呼ぶようになった。

    P176ところが『古事記』では破れ去ったオオクニヌシ一族の物語を大事にだいじに語ろうとしているのです。そして『古事記』を読んでいてもっとも共感できるのは、そこのところです。
    P177平氏の滅亡が琵琶法師たちの語りによって鎮められていったように、語りとは、死者や魂に向き合っていたのです。


    古事記とは
    7世紀後半に天武天皇の命を受けて、稗田阿礼(ひえだのあれ)が誦習(しょうしゅう)していた言い伝えを太安万侶(おおのやすまろ)が筆録したもの。上巻の神代の物語のうち、約3分の1は出雲が舞台で、八岐大蛇(やまたのおろち)退治や国譲りなどの神話が記されている。また、大国主神が高天原の神に国を譲る条件として造営を求めた宮殿が出雲大社の創始であると語られている。

  •  「天の岩戸 ―高天の原のアマテラスとスサノオ―」など。

  • 読み聞かせやテリングにも適し、古事記を解り易く楽しめました。

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著者プロフィール

千葉大学名誉教授。1946 年、三重県生まれ。『古事記』を中心に古代文学・伝承文学に新たな読解の可能性をさぐり続けている。共立女子短期大学・千葉大学・立正大学等の教員を歴任し、2017年3月定年退職。著書に『浦島太郎の文学史』『神話と歴史叙述』『口語訳古事記』(第1回角川財団学芸賞受賞)『古事記を読みなおす』(第1回古代歴史文化みやざき賞受賞)『古代研究』『風土記の世界』『コジオタ(古事記学者)ノート』など多数。研究を兼ねた趣味は祭祀見学や遺跡めぐり。当社より『NHK「100分de名著」ブックス 古事記』を2014年8月に刊行。

「2022年 『こころをよむ 『古事記』神話から読む古代人の心』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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