学はあってもバカはバカ

著者 :
  • かまくら春秋社
3.17
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本棚登録 : 35
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (236ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774002767

感想・レビュー・書評

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  • 居酒屋で耳にしそうな説教をそのまま本にしたような一冊。

    冒頭の宮澤喜一氏の「バカ」っぷりは、為政者なのに評論家になってしまったという歯がゆさ、これは理解したのだけど、宮澤氏自身がバカというより、評論家、ナンバー2にふさわしい個性と、為政者(当事者)という役のミスキャストの問題?結局「バカ」なのは、間違って選んだ、筆者、白洲次郎や司馬遼太郎ひいては国民なんじゃないの。ちなみに自分も、朝日よりは東京(中日)新聞の方を購読しています(笑)

    「言葉の乱れ」についても、理解はするし、変な若者迎合はノーサンキューなんだけど、「苦肉の計」みたいに、誤用がいつの間にか定着して、そちらの方が市民権を得てしまう例もたくさんある。古典の世界からある。

    といいつつも、恐らく筆者はサラブレッド。アッパークラスのコミュニティで生まれ育っているから、今、2世議員、総理の批判が出ているけど、同じことがあてはまるのかも。
    朝日が東京新聞に勝っている(読み応えがある)のは文化、教養面と感じている当方にとって、このタイトルはまさに…
    限られた字数で長年勝負してきたと思われる筆者なら、同じ文字数でもっと価値あるものを生み出してほしかった。

    ということで、評価は厳しくも星一つ。
    (辛辣な部分はご容赦。)

  • 当たり前だが、日本語には、漢字はなかった。中国から文化が伝わり始めたころ、日本語の表記方法がなかったため、漢字が代用され、しばらくは漢字だけで日本語を表記した。カタカナ、ひらがなが発明された後も、知的水準の高い人々は、漢字のみで日本語を表記した(一部の例外として、本居宣長、紀貫之らがいる)。こういう状況により、いかに日本語が歪になったかを説明、解説するのが本書である。 本書の指摘する最も良い例は、「英語は、音(おん)が意味を表し、それを記述するのが文字である」、「日本語は、音のみでは意味がなく、文字が意味を表す」。つまり、日本語は漢字により、多くの概念を表してしまったため、一つの音が多くの意味を作り出してしまう。例えば、カテイ。家庭、課程、仮定、嘉禎、下底、過程。「それは、カテイの問題でしょ」なんていわれても、意味が全く分からない。 こういう議論の行く末は、決まって漢字廃止論であるが、本書は若干違う。漢字をなるべく使わないようにしましょうということ。上記の例を待つまでもなく、漢字なしでは成り立たないのが日本語であるため、なぜ、今更、なるべく使わないようにしなければならないのか、理解できないが、本の中身自体は興味深い。

  • 「友がみなわれよりえらく見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻としたしむ」(石川啄木) 仕事をしてたときは、そんな思いをしたこともありました(^-^) 今は人は人、自分は自分、人生を一日一日という感謝の思いです(^-^) 川村二郎 著「学はあってもバカはバカ」、2004.11発行、面白い(思いきった?)タイトルですね。立派な大学を出て、役に立たない人のことだそうです。実践に向かない。修羅場を避ける。大きな失敗をしないが、大成功もない。どこかで人を見下ろしている。著者は、実例として、宮澤喜一氏、加藤紘一氏を挙げてます

  • 書名はやや過激な感じがするが、書かれていることは極めてまっとうなことばかりで、いちいち「そうそう、そうだよなあ」と同感しきりであった。
    こういう人がいろんな現場からどんどんいなくなっていくと、これからの日本はどうなってしまうのだろうと思ってしまう。

  • おもしろい本でした。

    いい大学を出てて見た目がかわいいとかって理由だけで採用されて、正しい日本語すら使えないで全国のお茶の間に登場してる人気アナウンサーの話とか、考えてみればすごい話だよなと思いました。
    テレビに出るって、そういうことですよね。
    自分の不勉強がそのまま全国に伝わってしまう。何様だよって言われるかもしれないけど、人気があるとか、ギャラが高いとか、見てておもしろいとか、そういう要素でテレビに出るのもいいけど、その人たちの言動を見てその人たちから日本の文化や言葉を学んでる人もいたりする。視聴率がどうとかより、「おかしい日本語の番組ランキング」みたいのやったら興味あるなーと思いました。

    あと、ラーメン屋の話とか。
    「うちはだしにこだわっていて・・・」。他のラーメン屋がだしにこだわってないとでも言いたいんですかね。ラーメン屋がだしにこだわるのは当たり前だろ。何言ってんだ。
    これはどの職業にも言えることだと思いました。IT業界にいるんだから、その中で求められる要素にこだわって仕事をするのは当然ですよね。これ読みながら、起きているのに目が覚める感覚を味わいました。「俺は仕事にこだわり持ってる。」なんて、あえて他の人に言う必要なんかない。でも、必要な要素のいくつかには確かにこだわりを持ってても、全ての要素が見えてるのかがわかってない今の俺はそんなこと言っていいんだろうか。持ってて当たり前のことってなんだろって今さらながら考えさせられたりしました。

    自分がうまくいかないとき、誰かのせいにしていないか。
    どこかでお客様を見下ろしていないか。これも印象に残った言葉でした。

    あと、司馬遼太郎との付き合いの中での小話もおもしろくて興味深かったです。
    相手をもてなすとき、雰囲気のある店とか、おいしい料理とかそういった類のもてなしはすぐに思いつく。でも、司馬遼太郎は「話でもてなす」ことを大事にしていたそうな。これは、意識したことなかったなと思いました。
    相手のことを考えて、どんな話が好きそうか、最近の興味はどうなのか、自分の引き出しを探して、相手が気持ちよく過ごせるように準備して、もてなすこと。これは相手は嬉しいだろうな。この心遣いができる人が、世の中に何人いるだろう。これから意識していきたいと思った一節でした。

    興味を持ったら読んでみて下さいな。

  • 日本語への警鐘をマスコミで働く記者に向けた一冊であり、またこれからの活躍を期待しているという相反することを書いていますが、読みやすい整った文章で書かれています。

    「粗にして野だが卑ではない。」という言葉もいい言葉です。著者の言葉でないですが。

  • 学のあるバカ 実戦に向かない人、修羅場を避ける人  昔の親は知識がないかわりに知恵があったし、教育がなくても教養があった 海老沢泰久 F1地上の夢

  • 言葉は生き物であって、時代時代で変化していくもの。なので、美しい日本語とか、誤った日本語とか、目くじらを立てて、現代の言葉を責めるのは、あまり好きではありませんが、でもやっぱり相手が不快な気分になったり、おや?と思わせるような言葉使いは慎みたいもの。まぁ、少しご年配が(私も含めて)常日頃思っているようなことが、軽快に語られています。ぜひ、若い方にも読んでいただきたいな。印象的な言葉としては記者(著者の元職業)は職人であって芸術家ではない。という言葉。私の周りにも○○ライターで芸術家気取りがいますが、教えてあげたい、いい言葉です。

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著者プロフィール

1941年、東京生まれ。文筆家。慶應義塾大学経済学部卒。『週刊朝日』編集長、朝日新聞編集委員などを歴任。『学はあってもバカはバカ』(ワック)、『王貞治のホームラン人生』(朝日新聞社)、『いまなぜ白洲正子なのか』(新潮文庫)、『夕日になる前に─だから朝日は嫌われる』(かまくら春秋社)、『孤高─国語学者大野晋の生涯』(集英社文庫)、『社会人としての言葉の流儀』(東京書籍)など著書多数。

「2018年 『「浮気」を「不倫」と呼ぶな』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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