学はあってもバカはバカ

著者 :
  • かまくら春秋社 (2004年11月13日発売)
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本棚登録 : 35
感想 : 8

当たり前だが、日本語には、漢字はなかった。中国から文化が伝わり始めたころ、日本語の表記方法がなかったため、漢字が代用され、しばらくは漢字だけで日本語を表記した。カタカナ、ひらがなが発明された後も、知的水準の高い人々は、漢字のみで日本語を表記した(一部の例外として、本居宣長、紀貫之らがいる)。こういう状況により、いかに日本語が歪になったかを説明、解説するのが本書である。 本書の指摘する最も良い例は、「英語は、音(おん)が意味を表し、それを記述するのが文字である」、「日本語は、音のみでは意味がなく、文字が意味を表す」。つまり、日本語は漢字により、多くの概念を表してしまったため、一つの音が多くの意味を作り出してしまう。例えば、カテイ。家庭、課程、仮定、嘉禎、下底、過程。「それは、カテイの問題でしょ」なんていわれても、意味が全く分からない。 こういう議論の行く末は、決まって漢字廃止論であるが、本書は若干違う。漢字をなるべく使わないようにしましょうということ。上記の例を待つまでもなく、漢字なしでは成り立たないのが日本語であるため、なぜ、今更、なるべく使わないようにしなければならないのか、理解できないが、本の中身自体は興味深い。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2018年10月23日
読了日 : 2008年3月25日
本棚登録日 : 2018年10月23日

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