空と大地に出会う夏 (くもんの児童文学)

著者 :
  • くもん出版
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感想 : 11
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  • Amazon.co.jp ・本 (179ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774333793

作品紹介・あらすじ

――「ここは、寄り道!」
 佐合理一郎(リイチ)は、言葉できちんと説明できないことやムダがきらいな小学校6年生。成績も優秀、スポーツもピアノもそつなくこなすリイチだったが、親友の準也のようには、将来の目標がもてずにいた。ピアノのレッスンの帰り道、同じ学校の海空良と出会ったリイチ。あきらかにウマがあわないタイプの女子・海空良に連れられてリイチがむかったのは、転校していった中上大智の家だった。4年生のときのある出来事がきっかけで、大智に会いたくないと思っていたリイチだったが、強引な海空良のペースにあわせているうちに、大智とも顔をあわせるようになって……

ムダがきらいな少年・リイチが、寄り道ばかりの海空良や大智といった多様な人々と出会うことで、自分の生き方を見つめ、周囲の人間との関係をとらえ直す、ひと夏のちょっとした成長物語。

感想・レビュー・書評

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  • netgalleyにて読了。

    大人が読むと、確かにこういう夏休みを過ごしたことがある、と遠い記憶を呼び覚まされる。


    夏休みというのは、意外と残酷だ。
    塾の夏期講習や習い事、旅行などやることのいっぱいある子にとっては、あっという間に過ぎていくものだろうけれど、通常運転が続くだけの子にとっては、遊び相手にも困る退屈な長期休みとなる。

    主人公の少年も、親友を中学受験の塾に奪われた結果、普段は話すことのないクラスメイトと思いがけず関わり、一緒に過ごすこととなる。
    主人公のなんとなく不本意なんだけど、遊んでいると意外に楽しかったり、自分の家庭と全く違う価値観に出会って視野が広がる感じが、よく分かる。
    そして、面倒なので親には言わないところも。

    夏休みが終わると、また元の親友とつるむ生活にもどっていくのもリアルだなぁ、と感じる。
    2022.8

  • 合理主義者の小学6年生、リイチくんが、クラスメイトとの関わりの中であらたな自分と出会うひと夏の成長物語。
    登場人物それぞれ個性的でユニークですが、大人びてる幼馴染の亜梨子ちゃん、芯があっていいですね。

    「それはわかんないけどさ。やっぱ美少女のほうがいいだろうし、男子だって、イケメンのほうがいいとは思うんだよね。だけど、あたし、どんなにきれいで人気があって、性格もいい子だって、その子になりたいとはぜったい思わない。そんなにかわいくなくて人気もなくて、主役はれないキャラだからって、だれかとかわりたいなんて考えない。やっぱりあたしがいい」

    こう思えることってすごく大切。

  • 児童書。
    自分と違うタイプの人とは仲良くなれないと、特に子どものうちは決めつけてしまいがちだけど、ふとしたきっかけで親しくなれたりする。
    リイチもこの夏の出会いによって、新しい気付きがあったんだと思う。
    大人になっても先入観にとらわれすぎないようにしたいなと思った。

  • 「――「ここは、寄り道!」
     佐合理一郎(リイチ)は、言葉できちんと説明できないことやムダがきらいな小学校6年生。成績も優秀、スポーツもピアノもそつなくこなすリイチだったが、親友の準也のようには、将来の目標がもてずにいた。ピアノのレッスンの帰り道、同じ学校の海空良と出会ったリイチ。あきらかにウマがあわないタイプの女子・海空良に連れられてリイチがむかったのは、転校していった中上大智の家だった。4年生のときのある出来事がきっかけで、大智に会いたくないと思っていたリイチだったが、強引な海空良のペースにあわせているうちに、大智とも顔をあわせるようになって……

    ムダがきらいな少年・リイチが、寄り道ばかりの海空良や大智といった多様な人々と出会うことで、自分の生き方を見つめ、周囲の人間との関係をとらえ直す、ひと夏のちょっとした成長物語。」

  • 合理主義の小6の主人公が、空と大地というかけがえのない友に出会い成長するひと夏の物語。

  • 言葉で説明がつかないこと、曖昧な言葉などが苦手な理一郎。
    そんなリイチがことごとくいい加減な海空良となんとなく友達になる。
    そして、曖昧なこともそれはそれでいいか、と思えるようになっていく。
    リイチ、海空良、大智、それぞれ過度に干渉し過ぎず夏の1日を過ごす。
    帰り道、「パプリカ」を歌いながら帰る場面は3人の心が通じあっていたんだろうなあ。

    「帰り道を照らしたのは、思いでのかけぼうし」
    この場面にピッタリ嵌まっている。
    こんなところで推しの歌詞に出合えるとは。

    リイチは空(海空良)と大地(大智)というかけがえのない友達に出会った夏だったんだ。

  • ムダなことがきらいで、なにごとも正しく、要領よくやってきた6年生のリイチ(理一郎)

    正反対の性格をしている同級生の海空良(みそら)、4年生のときに転校したぼんやりしている大智(ひろと)と、ふとしたきっかけで交流がはじまる

    〈ぼくは、言葉でうまく説明できないことに出会ってしまった。〉

    ウマが合うとは思えない3人でいっしょにすごした“とくべつな夏”

    リイチは自分の生き方やまわりの人との関係を見つめなおしていく

    幼年童話から青春小説まで幅広く活躍する濱野京子の成長物語、2022年7月刊

    「親子」「家族のかたち」「ジェンダー」など、小学生をとりまく社会の問題に気づき、考えるきっかけも与えてくれる

    『カーネーション』『てのひらに未来』『拝啓パンクスノットデッドさま』『with you』とYAの意欲作が並ぶ「くもんの児童文学」から

  • 理詰めのリイチ君が新しい価値観を知る夏。

  • 理一郎(リイチ)は少6。父も母も言葉できちんと説明できる論理的、無駄な嫌いな合理的に行動するタイプ。本人もそんなふうに考える子どもだった。兄と母の妹優希ちゃんは別の、感情を優先するタイプ。リイチは優希ちゃんにピアノを習っているが、時々彼女の言葉になってない言葉に戸惑う。
    ピアノのレッスンの帰り道、リイチはお金を落とした海空良(ミソラ)を助ける。ミソラはどちらかというと兄や優希ちゃんタイプでリイチとは相容れないタイプなのだが、ミソラに巻き込まれて、以前一緒で転校した大智に再会する。
    なんとなく気になる存在だった大智に改めて向き合うことになり、リイチ、ミソラ、大智の三人関係が始まる。

    タイプの違う人間が交差することで、お互いを感じ合う関係性がほのぼのといいな。
    理解できないなりに、否定しないでいること、どこか認めていること(それも尊敬が含まれて)ができるのは素敵なこと。

    大きな事件は起きないけれども、人の心の動きが丁寧に書かれていて、静かな感動を覚える。
    #NetGalleyJP

  • ムダがきらいな少年・リイチが、寄り道ばかりの海空良や大智といった多様な人々と出会うことで、自分の生き方を見つめ、周囲の人間との関係をとらえ直す、ひと夏のちょっとした成長物語。

    自分とは違うタイプの人に、一方的に苦手意識を持ったり距離を置いてしまいがち。それは大人も子どもも同じだと思う。でも、もし子どものときに、タイプの違う人と仲良くなれたなら、お互いの良さを認め合えたなら、それは貴重な財産になる。
    大きなイベントや事件は起きないけれど、そんな貴重な経験ができた理一郎のひと夏のお話。キラキラして見えた。

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著者プロフィール

熊本県に生まれ、東京に育つ。『フュージョン』でJBBY賞、『トーキョー・クロスロード』で坪田譲治文学賞を受賞。主な作品に『トーキョー・クロスロード』(第25回坪田穣治文学賞受賞)、『この川のむこうに君がいる』『with you』(ともに青少年読書感想文全国コンクール課題図書選出)、『石を抱くエイリアン』『南河国物語』『Mガールズ』ほか、「レガッタ! 」シリーズ、「ことづて屋」シリーズなどがある。

「2023年 『金曜日のあたしたち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

濱野京子の作品

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