「恋と革命」の死 岸上大作 (夭折の系譜)

  • 皓星社
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  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784774407203

作品紹介・あらすじ

夭折者した作家たちの作品と人生を読む、新シリーズ第1弾。学生歌人・岸上大作没後60年に際し、岸上大作を叫び続けてきた著者の書下ろし集大成。併せて『意志表示』(抄)、絶筆「ぼくのためのノー ト」を収録。

岸上大作よ、君を書くことは、「戦後」という時代を、社会を視座に、常に学習を怠らずに成長した、日本の最も誠実な青年の精神史を書くことに他ならない。そう思って、歩いてきた。―― 福島泰樹「葦-序にかえて」より

感想・レビュー・書評

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  • 私は歌を詠む人ではないのだが、岸上大作はその生き様の鮮烈さ故、私の若き日にであい、ずっと生を伴走してきたような思いがする。

    高野悦子『二十歳の原点』は高校の頃出会いずっと私のバイブルのような存在の書。そこから、樺美智子『人知れず微笑まん』→奥浩平『青春の墓標』など読みついでいるなかで出会ったのが、岸上大作。

    「意志表示せまり声なき声を背にただ掌の中にマッチ擦るのみ」

    「美しき誤算のひとつわれのみが昂りて逢い重ねしことも」

    という歌が心に突き刺さったまま。
    当時、『岸上大作全集』も購入してあったのだが、残念ながら手元にはなく。

    今回、この書を読み、その岸上大作の生の軌跡を、歌の背景が、よくわかった。

    それとともに、自分の生を、若き日の想いを振り返るよい機会にもなった。

  • この時代に岸上大作の何を新たに書けるのだろうと思っていたけどそこそこよかった。
    本書が編まれたということは、筆者がひたすら個人的な思いを岸上に対して語りかけるという体裁だからできたことだろう。死の直前に書かれた「僕のためのノート」で最後をまとめるのは、それはそうならざるを得ないよねという感じ。むしろそこまで個人的な思いだけで文章を連ねたことが評価されるべきだと思う。
    好きな歌人を訊かれれば岸上大作と福島泰樹と答える自分にとっては大切な本であり、心の中にわずかに残った田舎の童貞男子の魂が泣きながらきらきら光る非モテの聖書。

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著者プロフィール

1943 年 3 月、東京市下谷區に最後の東京市民として生まれる。早稲田大学文学部卒。1969 年秋、歌集『バリケード・一九六六年二月』でデビュー、 「短歌絶叫コンサート」を創出、朗読ブームの火付け役を果たす。以後、世 界の各地で朗読。全国 1700 ステージをこなす。単行歌集 35 冊の他、『福 島泰樹歌集』(国文社)、『福島泰樹全歌集』(河出書房新社)、『定本 中也 断唱』(思潮社)、評論集『追憶の風景』(晶文社)、『自伝風 私の短歌のつ くり方』(言視舎)、D V D『福島泰樹短歌絶叫コンサート総集編 / 遙かなる友へ』(クエスト)、CD『短歌絶叫 遙かなる朋へ』(人間社)など著作多数。 毎月 10 日、東京吉祥寺「曼荼羅」での月例短歌絶叫コンサートも 39 年を迎えた。

「2023年 『大正十二年九月一日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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