- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784776211389
作品紹介・あらすじ
安倍内閣の元内閣官房参与で、MMT(現代貨幣理論)を提唱する京都大学大学院教授の藤井聡に、日本経済復活の方法を田原総一朗が迫る。
第1章 「プライマリーバランス規律は絶対」というデマを信じる困った人々
第2章 「国家の借金」と「家計の借金」を同列にする困った人々
第3章 「消費税増税で日本を貧困化」させた困った人々
第4章 「財源がない」を何もしないための切り札に使う困った人々
第5章 世界から日本がナメられはじめているのに手を打たない困った人々
〝国の借金〟は、1200兆円以上の巨額に膨らんでしまった。このままいけば、10年くらい先には、日本は間違いなく財政破綻してしまう。こういう〝悲観論〟が、この国を覆っている。
そんななか、藤井聡さんが、これまで聞いたことがない、超前向きの〝強気論〟を吠えまくった。
提言1 プライマリーバランス規律の撤廃
提言2 新型コロナ終息まで消費税0%
提言3 企業に対する粗利補償
提言4 未来を拓く危機管理投資
これをただちに実行せよ。そうすれば、日本経済は絶対によくなる。日本は必ず復活できる、というのだ。
藤井さんは6年間、内閣官房参与を務め、ようするに安倍晋三・前首相のアドバイザーだった。「国土強靭化」をいい出したのも彼だという。
しかし、借金まみれの日本に、そんなことが可能なのか?
MMT(現代貨幣理論)に基づけば問題ないのだ、と聞いても、率直にいって私はあまり信用できなかった。世の〝常識〟とあまりにかけ離れた主張ではないか。
そこで私は、思いきって否定的な疑問を、どんどんぶつけた。対して藤井さんは、私を説得し続けた。
経済の推移を示すグラフ、現に先進各国がおこなっている巨額の財政出動、デフレの原因分析など、さまざまなデータも、これでもかこれでもかと持ち出して、懇切丁寧に解説してくれた。
正直いって経済にあまり詳しくない私にも、とてもわかりやすく、納得できる説得力だった。
こうすれば日本経済は持続可能だ、日本国の財政破綻もない、という確かな自信を得ることができた。
読者のみなさんも、いま日本がもっとも必要としている藤井さんの説得に、目を凝らし、耳を傾けてほしい。
そうすれば、必ずやこの閉塞状況を打ち破ることができるはずである。また、編集部の提案で、若手のマンガ家、若林杏樹さんのマンガも掲載した。藤井さんと私の激論が、30代の女性にはどのように映るのか楽しんでいただけたらと思う。(田原総一朗)
感想・レビュー・書評
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処方箋の一つとして。この本に書かれている方向も一つくらいはやってみても良いかもと思った。
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自民党総裁選を前に読んでみた。なぜ反緊縮が必要なのか、なぜプライマリーバランスの黒字化を目指す必要がないのか、よく分かった。
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経済学者でMMTを推奨する藤井聡氏と田原総一朗との対談をまとめたもの。主にコロナ発生直後の日本経済について述べている。MMTを主張する学者なので、財政出動と減税を重視する政策の重要性を説いている。わかりやすい内容ではあったが、MMTが正しいかどうかは不明。
「政府がカネを払わないからコロナ病床も増えず、感染が少し拡大しただけで医療崩壊が叫ばれ、緊急事態宣言がすぐ出され、ますます経済は冷え込む。政府がプライマリーバランスを守り続ければ、何重もの意味で経済が冷え込むんです」p4
「バブル崩壊から30年。日本人は日本経済に自信を失い、先の見通せない悲観論ばかりを氾濫させてきた」p19
「忙しい政治家はどうしても耳学問になる」p36
「(政治家の皆さん)「藤井君のいう財政政策が必要だ。MMTでいいと思う。でも、まだ一般的とは言えない経済理論だ。それをいうとメディアにたたかれるし、選挙で負けちゃうかも。だから言えないんだ」というような言い方をされる」p38
「(コロナ禍)とにかくいま苦しんでいるのは公務員と大企業勤め以外の人。とくに中小零細企業でパートやアルバイトで働く人たちでしょう。年金暮らしの人や生活保護受給世帯の収入は、新型コロナでは減りませんから」p43
「宮澤喜一は僕に「田原さん、この国では総理大臣より大蔵省のほうが、はるかに力があるんです」と嘆いて、ため息をつきました」p59
「財政法第4条というのがあって「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」と書いてある。これはアメリカが憲法9条とセットで日本に押しつけた条項で、日本が国債をやたらに発行して軍事力を強くすることを警戒したからです。この法律の守護神が財務省」p62
「「借金総額が200年300年と増え続けるのは、よくない」なんていっても、まったく無意味なことは、誰でもわかるでしょう。最初に産業革命や7つの海を支配したイギリス、戦後世界をリードし依然としてGDP世界一のアメリカ、ついこの間まで世界第2位の日本の歴史が、明らかにそうだからです。3国ともつぶれかかったことすらない、世界に冠たる豊かな先進国ですよ」p66
「MMTは「適正なインフレ率」を財政規模の基準にせよと繰り返し論じています」p73
「(EU域内でのドイツ)エマニュエル・ドットにいわせると「経済的な植民地をヨーロッパに築き上げたようなものだ」と」p84
「習近平は事実上MMTと同様の内容を勉強し、MMTに基づいて財政政策を展開していると言い得る状況にあります。一帯一路で「中国版ニューディール政策」をやっている。池田勇人の所得倍増計画や、田中角栄の列島改造論など、高度成長までの日本も、徹底的にインフラ政策をやって成長を目指す経済モデルでした」p89
「所得税に累進性をつけておくと、貧困層と富裕層との格差を是正する効果があるだけでなく、景気を安定化させる効果も強くなる。まずデフレのときは、みんな収入が減るから各人の税率が自動的に下がって、実質的に所得税減税がおこなわれることになる。結果として政府は、相対的に資金供給量を増やすことになります。逆にインフレのときは、みんな収入が増えるから、税率も上がって、実質的な増税が自動的におこなわれることになる。これが資金供給量を減らし、お金が集まって回り過ぎるところを抑制するわけです」p100
「法人税を支払っている企業は、全体の3割しかない。法人税は黒字の利益にかかるからで、日本のようなデフレの国の中小企業は、ほとんどが赤字です。黒字は大企業だけです」p110
「どの国の国民も、わかりやすさを強く求める。日本では、小泉純一郎さんであり、大阪の橋下徹さんであり、東京の小池百合子さんだ、と思うんです。わかりやすさを追求すると、政策の精緻さや合理性がどんどん失われていって、国益を激しく毀損してしまう、という帰結がどうしても得られてしまう」p182 -
332.107||Ta
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田原総一朗さんが、浅く感じる。わかりやすい、を大切にしてきた人なのかもしれないけど。いまはいいや、という感じ。
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面白かった。藤井先生の提言通りにしたら、世の中どうなるのだろう、と思いました。
「朝まで生テレビ」でお二人の討論はよくお聞きしますが、田原さんが中曽根時代の話をやたら引き合いに出すのはここでも変わらずです。 -
消費税増税は失敗だし、廃止にも賛成だが、財源は金を刷ればいいというのは理解し難い。MMTは勉強してないのでなんとも言えないけど、金をすりまくれば、金の価値が下がって、いつかは円の信任を失うと考えるのが普通だと思うけどなー。国家破綻はしないというけど、「すぐには」しないというだけで、金を刷りまくって使いまくってれば、いつかは破綻しますよね。
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田原総一朗と藤井聡の2人の対談形式でどうすれば日本がデフレ脱却ができるのかを説いた本。
デフレ脱却にはシンプルに市場にマネーを供給して税金を下げる。シンプルかつ明快な藤井氏の答えに納得した。