- Amazon.co.jp ・本 (56ページ)
- / ISBN・EAN: 9784779115424
作品紹介・あらすじ
1940年から44年にかけて、パリはナチス・ドイツに占領され、ユダヤ人はいつ拘束され強制収容所に送られるかと恐怖のうちに暮らしていました。ユダヤ人だけでなく、ドイツ人以外のすべての人々の自由が制限される中で、ユダヤ人を助けようと危険をおかすような人はほとんどいません。
そのような日々に、ユダヤ人をかくまい危険なパリから脱出させるため力をつくした人々がいます。誰だったのでしょう。パリのどこで、そんなことが可能だったのでしょうか。当時も今も聞いた人の誰もが意外に感じ驚くであろう場所、それは――
この本は、これまでほとんど語られることのなかったイスラム教徒のユダヤ人救出活動に光をあて、その勇気と信念、献身を讃えるために書かれました。
感想・レビュー・書評
-
この話自体はとても良かったけれど、作者が後書きで書いているとおり、当時の当事者がなかなか掴まらないという事情からかリアリティに欠けてしまうのが残念。それでもたくさんの人に読んで欲しい本。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
女性しか入れない部屋には当局もナチも立ち入らなかったというエピソードが印象に残った。そしてそんな部屋に人々を匿ったことも。
こういう話が明るみに出たことで、もし今後似たような騒乱があった際同じように迫害された人々を匿おうとしても、前例があると踏み込まれる危険が生まれたのではないだろうかと考えたが、そんなことにならないためにこの本や紹介されている映画があるのでしょうね。 -
第二次大戦のパリでは大モスクでムスリムがユダヤ人を助けていた。大モスクにはシ・カドゥール・ベンガブリという最高指導者がいてユダヤ人救出を指導していた。ムスリムへの改宗証明書を発行したりしていた。偽の出征証明書も作成していた。北アフリカの国々では出征登録などあまりきちんとされていなかったので、ユダヤ人がそれらを持っていても証明書の真偽は確かめようもなかった。ナチスとヴィシー政府は大モスクには敬意を表していたので、乱暴に押し入ったりはしなかったが、不審に思えばやってきた。そうすると、シ・カドゥールは自分の机の真下に隠されていたボタンを密かに押して、他の場所に警報が伝わった。モスクでは兵士や警官もブーツや靴を脱ぐのが決まりだったので、軍靴を脱ぐには時間を要したので、その間に姿を隠すことができた。マチスはムスリムを適任鷲宅なかった。北アフリカでも英仏を中心とする連合軍と戦っていたドイツは、ムスリムが蜂起するのを恐れていたから 。
-
ナチ占領下のパリで、ユダヤ人やレジスタンスを匿い、脱出させたムスリムたちの話。
『サラの鍵』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4105900838と同じ舞台。ヴェル・ディヴにも触れられている。
ノンフィクションだけれど、聞き書きの再話と言ったほうがしっくりくる。
エピソードをパラパラと並べて、全体像は読者の頭の中で組み立ててね、という感じ。
ひとつひとつの話をちゃんとしりたくて隔靴掻痒。
でも後書きを読んだら、あえてそう書いたのではなくそういう風にしか書けなかったっぽい。
語られないまま風化しつつある過去だから。
フランス人の手による虐殺、助けたムスリムも被差別者、WW2の後は冷戦だ独立だでゴタゴタした、占領下の非合法活動だったから記録なんてもちろんしてない、などなど。
深く考えたくない理由がいくらでもあって、調べないうちに忘れられてしまった。
もうすでに聞き取りができないから、かき集めたエピソードを並べることさえも大変な苦労だったらしい。
ならば勝手に話を作らずにただ事実を並べていく書き方は誠実なのだろう。
お気に入り度よりおススメ度を重視して★4
あまり扱われていない題材を見せてくれたところに価値がある。
原書は絵本だそうで、この本も一応児童書の体をとっている。
でも子供に読ます気ないつくりだ。完全に大人に狙いを定めてる。
「大人が手に取れるようにこのサイズにした」って逆だろう。
大人は児童書を読めるけど子供は大人の本を見られないのだから、せめてルビくらいふればいいのに。
絵は(特に建物が)綺麗だけど、写真の模写かそれっぽくおいたジオラマっぽくてあまり好きじゃない。
関連
『ユダヤ人を救った動物園』http://booklog.jp/users/melancholidea/archives/1/4750509124
軍人がきたときの対処にこれを思い出した。救う側の恐怖もしっかり書かれている。 -
ナチス占領下のフランス、パリで、イスラム教徒がユダヤ人をモスクにかくまい助けました。