マチルダ

  • 彩流社
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本棚登録 : 52
感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (200ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784779124143

作品紹介・あらすじ

『フランケンシュタイン』出版の翌年、
メアリー・シェリーが執筆したのは
父と娘の近親相姦を描いた小説だった。


娘に禁断の愛情を抱いた父、またそのような異常な愛を
引き起こし、さらには父を追い詰めてしまった娘、
その両者の激しい苦悶と悲劇が切々と綴られた本作は、
その内容からゴドウィンが原稿を預かったまま返さず、
1959年まで出版されなかった。
『フランケンシュタイン』や『最後のひとり』に次いで
読者を刺激し続けてきた、問題の多い作品の初邦訳!

さらに、シェリーが友人の娘のために執筆し、
その原稿が1997年に初めて見つかった
児童文学的短編小説『モーリス』の本邦初訳も付す。

『フランケンシュタイン』の作家の知られざる問題作!

感想・レビュー・書評

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  • 途中でやめてしまった。

    近親相姦ではあるけれども、特に、、、拒否したしなんの問題もなさそうだが、引きずられすぎた娘って印象

  • 「フランケンシュタイン」を著したメアリー・シェリー(Mary Wollstonecraft Godwin Shelley、1797-1851)の問題作。
    父から娘へ恋慕がテーマ。
    2018/01/17が、本邦初訳。

  • 人に金をあげても、自分の願望を犠牲にしてまで人にものを贈ることは一切なかった。時間を割いてやったのは、時間を大切だと思っていなかったからであり、愛情を示したのは、いかなる形であれ愛情を実践することで自分が嬉しくなったからだ。

    もし父自身の欲望が他の人の欲望と張り合うことがあれば、自分の過度な身勝手を発揮したかとい
    うと、そんなことはない、むしろそんな争い自体が起こらなかった。父は恵まれた生活のなかで育ま
    れ、そのあらゆる利点を享受した。みんなが彼を愛し、喜ばせようとした。父はいつも周りの人たち
    を楽しませようとしたーーが、楽しんでもらえることが自分の喜びなのだった。
    悲しむことは甘美だと思った。父が私の涙をぬぐってくれるかもしれないから

    お前が他人の恋愛対象になったのを見て、愛らしさと美徳の聖なる見本や象徴ではないものとして愛されるかもしれないと想像し、あるいはお前が私に対するよりももっと情熱的に他の人間を愛するのではないかと思い描き、私のなかに悪魔が目覚めた

    適度な財産をもつことによる恵みの一つは、所有主が
    金銭を贈与するのを妨げ、それによってさらに、人間の秘められた弱さや悪徳へ陥ることを防ぐことにある。人間に授けものをすることは神に相応しい属性である。実際そうであり、であれば死すべき人間には相応しくない。アダムやプロメテウスのような与える者は、己の立場を越えてしまった報いとして自らの越権行為に殉じねばならない

    訳者あとがき
    >ここでゴドウィンが抱いている不快感は、もちろん父と娘との間の近親相姦と関係するが、それに対するマチルダの罪悪感が多分に問題視されている。近親相姦というテーマは衝撃的であるが、この小説において行為としての近親相姦は起こらない。父が娘に近親相姦的な異常な愛情を抱いてしまったことこそが問題なのであり、これによって父は罪悪感に苛まれて自ら命を絶ち、それが父を自殺に追い込んでしまったという娘の罪悪感へと連鎖し、最後は娘まで死を求める結末へと向かう。そこで伝記作家のミランダ・シーモアは、父娘の関係よりもむしろ死を求めるマチルダがゴドウィンの嫌悪感を引き起こしたのだと考えている
    >近親相姦をおぞましい物語として描く場合、気づかぬうちに二者が関係をもっていたことが後から
    明らかになったり、どちらか一方が強制的に関係を迫られ、望まない形で近親相姦へと至ることが多
    い。このパターンは親子間の近親相姦であることが多いようだ。しかし、その一方でとくにロマン主
    義の詩人たちは必ずしも近親相姦を恐ろしい悲劇の原因として取り扱ってはいない。
    >『マチルダ』における近親相姦は圧倒的に悲劇的なものとして取り上げられてはいるものの、それは
    実際の行為としての近親相姦による悲劇ではなく、近親相姦的な愛情を抱いてしまったことの絶望的
    心理による悲劇である。これは先に列挙した先行作品とは質的に異なるものである。

  • 2019.04.01 図書館

  • 『フランケンシュタイン』で知られるメアリ・シェリーが書いた中編小説。
    恐らく本邦におけるメアリ・シェリーのイメージは『フランケンシュタイン』で、自分の中でもそうだったので、こういうものを書いているとは全く知らなかった。巻末の訳者あとがきにもある通り、かなり作風の幅が広いタイプだったようなので、他のものも邦訳されて欲しい。
    ところで、これを読んでいる間中、何故かアナイス・ニンのことが思い出されてしょうがなかった。マチルダも『「父の娘」たち』のひとりと解釈していたのだろうか。

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著者プロフィール

Mary Wollstonecraft Godwin Shelley.
(1797-1851)
政治思想家で作家のウィリアム・ゴドウィンと
女権拡張論者で作家であるメアリー・ウルストンクラフト
の間にロンドンで生まれる。
急進的思想を持ってゴドウィンの思想に共鳴した
ロマン主義詩人パーシー・ビッシュ・シェリーと
駆け落ちの末、結婚。
1818年に初の小説『フランケンシュタイン』を出版して
一躍有名になる。
その後、ゴシックな作品のみならず、歴史小説や
ヴィクトリア時代風の家族的なテーマを扱った小説、
さらには人物伝、旅行記など、多彩な執筆活動を行った。
そこでは西洋古典から同時代のヨーロッパ文芸にまで
至る該博な知識と、欧州様々な土地での体験が
ふんだんに発揮されている。
また、夫亡き後はその作品を整理して
詩集の編集・出版にも尽力した。

「2018年 『マチルダ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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