跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること
- イースト・プレス (2014年9月5日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781612454
作品紹介・あらすじ
重度自閉症の著者が「生きる」ことの本質を鋭く、清冽な言葉でとらえた珠玉の一冊。
感想・レビュー・書評
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本書を読んで、言語によるコミュニケーションの困難さ、こだわり行動など、自閉症に関連して表面的にしか理解していなかったことを痛切に思い知らされた。支援学校の教員をしてる友人からは、お子さんたちの日々の様子を聞く機会はあったが、個々の行動の内面にある葛藤を知ることはできなかった。
”自由にならない壊れたロボットの中に閉じ込められた知性”として、心の内面と普通の社会とをつなげるために、東田さんとご家族がなされてきたご苦心。全てを明らかにしてくれたことは、苦しみを持たれているご家族の方たちにとっても、我々にとっても理解せねばならない貴重な内容であると思う。
一方で、我々は外の世界を分離し、区分し、意味立てて理解しようとしている。それが合理的であり、社会一般の通念として通じる理解の仕方で、世界を見ているのであろう。東田さんの著作を通じて、こんなにも純粋に外界と自分のつながりを感じ取ることのできる感性に驚きを覚えた。
人が話しかけるときの理解の難しさ、それは風や、鳥の声、匂いや、温かさ、全ての情報が同じレベルで話しかけてくる、その時心をとらえた一点に集中してしまうため。
青い空を見上げて、泣きたくなるような一体感を感じてしまうとき、そこには自我と外界の区分も無くなる。
私たちが感じ取ることのできない、優れた感覚をお持ちなのだ。
他の方のレビューで、今年一番の本というのがうなずける一冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
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nejidonさん、こんにちは。
読後の強い感動が伝わってくるレビューでした。子供たちといろいろな関わり合いをご経験されているのですね。私...nejidonさん、こんにちは。
読後の強い感動が伝わってくるレビューでした。子供たちといろいろな関わり合いをご経験されているのですね。私は図書館で順番待ちです。2014/12/08 -
8minaさん、こんにちは♪
コメントありがとうございます。
はい、今年はこの良い本にめぐり合えて良かったと、そう思います。
仕事...8minaさん、こんにちは♪
コメントありがとうございます。
はい、今年はこの良い本にめぐり合えて良かったと、そう思います。
仕事を通じて直接的に、時に間接的に関わった子たちを思い出さずにいられませんでした。
今もなお、当時のお仲間さんたちは懸命に稼働中です。
少し多めにこの本を購入して届けようかと画策中です(笑)
8minaさんのお手元にも、早く届きますように。
レビューを楽しみにお待ちしています。2014/12/08
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会話ができず、跳びはねたりふいに大声を出してしまう重度の自閉症を患う東田さんの手記。自閉症の方の見えている世界・感じている想いを知る手立てはないと思っていましたが大きな誤解でした。
「まるで壊れたロボットの中に閉じ込められているようだ」
この一言にはハッとしました。しっかりと周りも見えていて、自分のことも理解している。喜び、哀しみ、悩み…豊かな感情を持っている。
周りが簡単にできることが自分にはできないという苦悩した日々もさることながら、東田さんの目に映る柔らかな景色や“今”を大切にする姿勢など素直で、そしてとても優しく丁寧に綴られた言葉は詩を読んでいるように心地良くすらありました。
自閉症を患っている人が周辺には居ないためについステレオタイプ的に自閉症の印象を捉えていた自分が恥ずかしい。予測のつかない言動をする人に対して、「理解ができない」「怖い」と感じる人も少なくないはず。
自閉症を患う人がそばに居る人もそうでない人も、1人でも多くの人にこの本を手に取ってほしいと思います。彼が文字盤を駆使して語る心情に、外からは知りえなかった多くの気づきがあるはずです。
~memo~
・記憶は「線」ではなく「点」。
・他人は風景の一部となる。ひとつのものしか目に入らないのではなく、どうしようもなく惹かれる。
・肌で匂いで、「夏」を探し出す。
・突然声を上げたり騒いでしまうのは、「点」で記憶をした過去の映像がフラッシュバックするため。 -
重度の自閉症の著者の徒然の思いが描かれているエッセイ。普通の会話ができない=何も理解できていない、考えていないということではないということがよくわかります。
文章だけ読んでいるとホントに自閉症なの?と思うくらいなのですが、間に挟まれるインタビューの様子で、ああ本当に重度の自閉症の人なんだなあと・・・。
それにしても彼の紡ぎ出される言葉の美しさ、繊細さは素晴らしいです。描かれるの思いは障害をもたない私たちにも響いて、共感できる言葉がたくさんあり、手元に置いておきたい一冊となりました。 -
文章を読んで感じたことが二つある。
東田さんは、なにか対象物に対する共感力や没頭力が高い。作家になるべくしてなった人なのだと思う。
もう一つは、文章がわかりやすい。その理由は、意見のあとに、すぐ根拠を述べているからだと思う。
印象に残ったことばがあった。
「自分は色々な人に支えられているとわかってから、人への恐怖心がなくなった」 -
自閉症の人がどう感じ、何を思うか、最近随分わかってきたようだが、やはり当事者の書いたものは貴重だと思う。
自分の身近に自閉症の人がいないから、無責任だとは思うけど、自閉症の人たちが好きになってしまう。
人前では愛想よく、おべんちゃらを言って、陰では悪口言ったり、足引っ張ったりする「定型発達」の人と比べたら、人間としてずっと上等なんじゃないか。
水の動きに心奪われ、同じことを繰り返して安心してしまうようなことは誰しもあるけれど、ここまで豊かにとらえてない。「感性が豊か」なんて紋切り型の表現にはおさまらないほどの深い感覚を持っている。
こういう本がなかったら、コミュニケーション不可の人と思い込んでしまったかもしれない。
もし自閉症の人と知り合いになったら、案外仲良くやれるかも、と希望も持った。 -
自閉症の人もそうでない人も人それぞれにその人にしかわからない世界があって、色々な思いがある。
東田さんは詩のように流れる文章で心の中を教えてくれました。
日々、自閉症の子どもたちと関わる事が多い自分も会話が難しい子とのコミュニケーションに悩む事が多々あります。第3章の他者とともにの中の『話せない僕の望み』では言いたいことが相手に伝わらないのは日常→思いが伝わっていないと感じる→不満や葛藤が生まれる→気持ちが十分伝わったと思えたなら、一言だけでも満足と記してありました。言いたい事が伝わらない事が日常なんてどんなにストレスなことでしょう。東田さんのご家族のように、少しでも相手の気持ちが軽くなるような言葉かけや触れ合いができたらいいなと強く感じました。
とはいえ会話と言うコミュニケーションツールをつかっても自分の思いを伝える、相手の思いを汲み取る事は誰にとってもとても難しい事です。東田さんのように自分の思いをこんなふうに文章で綴れるって素晴らしい。 -
外から見る自閉症って、怖い感じだったけど、いろいろ理解できて安心した。無知は良くない。もう少し調べてみようという気になった。
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子供のころの
思うように伝えられない葛藤も
そのまま書いてくださってて
とても 辛いことだったんだろう
と胸が痛くなりました
それでも 透明感のある
詩のような美しい文章で
心の美しさがにじみ出るようでした