男しか行けない場所に女が行ってきました

著者 :
  • イースト・プレス
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本棚登録 : 449
感想 : 55
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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784781612799

感想・レビュー・書評

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  • テレビ大阪で放映されている「さらばのこの本ダレが書いとんねん!」で紹介された本です。
    手に取るのが恥ずかしい表紙ですが番組にゲストで出ていた著者がとても面白かった上、図書館の蔵書検索でヒットして大丈夫な本であるお墨付きをもらった気がしで借りました。

    著者の田房さんが風俗雑誌のライターとして20年前ほどに取材されたことが女性目線で書かれています。
    取材をを通して女性である著者が何を見てどう感じたか、を読んでいると、可笑しくもあり、滑稽でもあります。
    男女の性に対する不公平さに気づかされ、世の中の性差が少なくなっていくことを願わずにはいられません。

  • この世は男中心にできており、それが最も露骨に現れる場の一つはセックスである。
    誰もが知っている真実だが、誰もが敢えて触れようとはしない真実でもある。フェミニストですらそうだ。なぜならセックスの場において自分と相手との間にある優位と劣位の差に気がついてしまうことは、とんでもなく痛いことだからである。
    だから男向けエロ業界を女が観察してきました、というルポの多くは、男と一緒にエロが楽しめちゃう私、というキャラをかぶったり、冷静な観察者というキャラをかぶって書かれている。この本が他と大きく異なるのはそこだ。田房さんは、自分が現場にいる時に感じるざらっとした感触から目を背けることができるほど、器用な人ではない。
    ていうか、心配になるくらい不器用な人だと思う。なんで男たちが無意識に醸し出す優越感に対して人一倍敏感な人が、わざわざこんな辛くなりそうな仕事を選んじゃったのかと、田房さんが取材する風俗嬢の方ではなく、田房さんのことが心配になってしまうくらいだ。
    田房さん自身は風俗ルポの仕事を選んだ理由を、「そういう仕事に憧れがあった」としか説明していないけれど、たぶん風俗の現場に敢えて踏み込むことで、男の態度にも痛さを感じないで生きていける私になりたかったんじゃないだろうか。酸いも甘いも噛み分けて、男とは女とは世間とはそういうもんだよねと飲み込んでしまえれば、痛さを感じずに生きていける、と。
    でも田房さんはそれほど器用な人ではなかった。だからこそ、この社会の本質が見えるようになったんだと思う。その本質とは、この社会全体が「男しか行けない場所」になってるんだということ。男中心の社会だからこそ、性風俗がこんな形でできあがってるのだ。
    そんなこと、とうに知ってたって?でも自分の痛みを痛みとして感受できなければ見えないことがある。そして自分の痛みを認識するのは決して容易なことではないのだ。

  • 女性風俗ライターの著者が様々な店に潜入する。挿し絵もなかなか味わい深い。人形だけが待機している風俗もあるそうで、深い闇を覗いている気分になる。風俗で働く女の子の実態や、その女の子らを冷静に分析する著者の視点は面白い。しかし段々とジェンダーの話に重きが置かれ、どんよりとした気分になってくる。最後のAKB48の件に至っては苦笑いするしかない。なんとも後味の悪い本だった。

  • おもしろい

  • ガスコンロ彼氏に驚愕。抜け出られてよかったね。近藤の崖、堕ちる人多そうだよね。恐ろしい。

  • 全く世の中には知らない世界があるんだな、と。
    闇金ウシジマくんやフィクションの作品で見たことはあるけれど、実際知人が風俗で働いていると明かされた経験もない。

    著者がエロ本のライターとして風俗で働く女性に取材したときに感じる罪悪感や嘘を言ってしまう気持ちに共感してしまった。なぜだろう。
    その場での会話や空気を気まづいものにしたくない、円滑に回したい、相手や業界を軽蔑していることを気づかれたくない。

    軽蔑も尊敬も「自分ではできない」という意味では同じ、という言葉が印象的。

    確かにそれをいうと『相手は違う土俵の人間』だと距離を置いたり自分を守ることになるんだ。

    たしかにパーマンやドラえもんに出てくるメインの女の子は決まって一人で、可愛くてしっかり者かつお色気担当かぁ。男の子は色んなキャラがいるのに女の子はダイバーシティ要素がない、ただの女の子というだけの存在。今の日本のトップの縮図だなぁ。


  • 男性の性欲は仕方ないことでそれを許容するのが賢い女、な風潮は確かにあるし、自分もそう思ってた節があって震えた。
    知らんわ、そんなもん

  • 男の性欲が物凄く細分化され、その数の多さと信じられないような内容のサービスもあるのに驚きです。

    最初は丁寧に読んでましたが、途中からは疲れてきて飛ばし読みに。

    色々なサービスが出てくるけど、結局男って自分自身の頭の中の妄想に興奮してるんだなって共通している事が良く分かります。

  • 社会の裏側覗き見。色々な職業や生き方があるもんだと感心してしまった。
    この作者さん、既婚者、子持ちなのね。バイタリティがすごい。

  • わかるところもあるけど妙に疲れる本だった。とりあえずバカンス中に読む本ではなかった。

著者プロフィール

1978年東京都生まれ。漫画家、エッセイスト。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業後、漫画家デビュー。2001年第3回アックス新人漫画賞佳作受賞。2012年、母との確執による葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を刊行。そのほかの著書に『しんどい母から逃げる!!』(小学館)、『キレる私をやめたい』(竹書房)、『ママだって、人間』『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』(共に河出書房新社)、『大黒柱妻の日常』(MDNコーポレーション)などがある。

「2021年 『なぜ親はうるさいのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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