- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784781612799
感想・レビュー・書評
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すごーくよかった。やっぱり田房さん大好き。絵もすごい効果的で、よかった!絶妙ー!単に、こんなんでした、というレポだけじゃなくて、田房さんの意見とか、視点があってすごくいいし、なんども心の中で大きく頷いた。特に面白かったのは、人形のとこのヤーさん3人、阿佐ヶ谷さんの絵(肉まん 笑)、ツーショットダイヤルの20歳さばよむおっさんの絵 (顔がリアルに目に浮かぶ)、他にもいっぱいあるけど。女のためのAV撮影参加のとこもよかったし(こんな機会普通の人には訪れない)、家に終電で帰る男の子育てしてない自覚のなさとか、女には安心安全に発散できる場所サービスがないだとか、名倉がブレないとか、ほんとそうだ。最初に男男男男女、の図がでてくるんだけど、最後のほうに、自分はしずかちゃんの位置になりたかったんだ、だからエロ業界なのだ、というのが自分分析していて、なるほどーと思った。この方には、ぜひとも中村うさぎさんとか、大野佐紀子さんとか、小倉千加子さんとかと、対談してほしいと思う。いや、私が普通におしゃべりしたい、だらだらと。私のかわりに色んなモヤモヤ文章にしてくれて、ありがとう、という感じ。これからも期待しています。
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エロ雑誌でルポ漫画を描いている筆者が、エロ雑誌には書けなかった女だからこそ感じるあれこれを綴ったエッセイ。
下世話な好奇心で手に取った男性陣はぶったまげるだろう。
エロや下の話もあるにはあるが、むしろ筆者が膨大な量のフィールドワークをもとに、風俗の世界に如実に表れるジェンダーとセクシュアリティの問題、ダブスタ、男から見る女の分類、などなどについて真面目に考察した社会学に分類されるべき一冊である。
ジェンダーを語る上で風俗はやはり切り離せるものではないと改めて感じた。
最終章のAKBに関する考察が秀逸。
こんなにも分かりやすく、モー娘。との違いも絡めてAKBを論じたものを読んだことがなかった。
私自身、とある事情でAKBのことはデビュー前から知っていたが、ずっと気持ち悪いという思いが拭えずにいた。
それを何となく許容できるようになったのは、13年のAKB選抜総選挙で指原梨乃が1位になった頃からであり、AKBの枠を飛び出して単独でTVに出る彼女を見てみたら、指原梨乃は自分の考えをしっかり持ち、それを自分の言葉で語ることのできる人で、いわゆる「女に嫌われる女」ではない。
彼女を応援している人の中には相当数の女性も混じっているように思う。
しかしAKBという男が作った男のための集団を、女性も享受しているという今が、いいことなのか悪いことなのかよく分からない。 -
借りたもの。
男性のための性風俗店に行った田房永子氏のルポ。
そこは男尊女卑な性の世界だった。同じ女性としては、ただただ胸が苦しくなる。
女性目線で(男性が「楽しむ」という視点ではない)書かれたことに称賛。
コミックエッセイかと思っていたが、文章だった。その分、生々しくないのだろう。
風俗店の4つのタイプ、その違いをまとめたリストは、女性にはなかなか知りえない事だったので納得。
それを知り、そうしたトラブルで警察沙汰になっている報道を思い出すと、ジャンル的にそういう仕事ではないのに“本番”を求めた男たちの、客としての低レベルさが理解できた。
労わるふりをして優位に立とうとする男と、それを受け入れ醒めた/冷めた/褪めた眼で男を見る女たち……
風俗の世界で働く女性たちは幸せなのだろうか?
田房氏の他の著書から、氏がある種の抑圧を受けていた事からも、氏がそうした女性たちの抑圧を感じ取ってしまうのかも知れない。
私が聞いた話で、セックスワーカーは仕事に従事する前に性的経験がある女性が多い――それは時に、性虐待の被害者である事が多い――というのが本当なら、風俗がエロ犯罪の抑止になっているとは到底思えない。
AV撮影の現場ですら、AV女優とスタッフ女性の美醜を比較するという。
脱ぐAV女優への気遣いのつもりだろうが、男性原理的な上下関係で、優越感を与えることで胡麻化すという天邪鬼で気遣いのかけらもない。
モー娘。ファンとAKBファンの違いに、秋元康氏の反則技――一種の禁忌を超えた――という指摘は、正しい。
日常と非日常の境界を下げすぎる事(ライブが演出であることが曖昧になり、アイドルとファンの垣根が低すぎること)がいかに危うい事なのか……日常の女性たちにまで、「幻想がリアル(常識とか正常)である」と求めかねなくなる事――を暗に示唆しているようにも思えた。
理想的なセックスに関してはアダム徳永『スローセックス実践入門』( http://booklog.jp/item/1/4062724014 )などが本来だと思う。
田房氏が「ガスコンロSEX」と称したものが、上記本で言うところの「ジャンクセックス」という、一番ダメなセックスだった……
ここに書かれている男性も含めて、セックスが本来、男女ともに幸福になることができる事を知ってほしい。 -
この本の感想をちゃんとした文章にするには、しばらく時間がかかりそう。筆者が抱えている社会や男性に対する苛立ちや腹立たしさは私も持っているので、書かれていることは分かる。特に男性側の女性に対する無自覚な傲慢さに関しては。
けど、こういう社会の在り方を変えたいと思った時に、どこら辺をゴールにしたらいいのかが、巧くイメージできずにいる。男性に萎縮して欲しいわけではないんだけど。
とりあえずは変だと思うところに声を上げて小さく変えていきながら、方向を模索するしかない、のかな。
なにか、すごくモヤモヤする。どうして。 -
別でどえらいタイトルの新刊がでてて、なんじゃこの本はと思って著者を調べたらたどりついた。
「男しか行けない場所に女が行ってきました」。エロ漫画家の田房永子さんが、これまでに潜入取材してきた多種多様な性産業。これまでは男が喜ぶように事実を歪めた幻想しか描いてこられなかったが、この本ではあくまでも女性の目を通して、ありのままの実態や感想が綴られている。素晴らしく好奇心を満たしてくれる一冊だった。
女性だって性欲はあるし、性は男性のためのものではない。女性はいつも消費されるだけの存在ではないし、性は男性から借りているものでは決してない。
私はフェミニストじゃないし、声高に女性の権利を主張する活動もどちらかと言えば嫌悪していた。被害者意識が強すぎてなんだか大げさだなと思っていた。
でもなんていうんだろう、私のその認識は多分間違っていて、性被害を受けていたり性の対象として虐げられることが実際どういうことなのか、この本を読んで漠然とだけど理解できたかもしれない。私も"性"において、ずっと男性のように幻覚を見続けていたのかもしれない。もっといろいろ知っていきたい。
「ヘルスは自分の天職」だというかなちゃんへの取材が興味深かった。
>私はそういう人たちや現象に人一倍興味を持っているくせに、同時に警戒している人間だから、遠い。警戒は、軽蔑とも言い換えられる。尊敬も軽蔑も、「自分にはできないと認める」という意味では、同じことだと思った。
>蔑みと劣等感、矛盾した過剰な感情、どっちなのだろうかという思いがあった。それが、両方であるということが分かって、「敬蔑しているんだ」と自分で認めることができて、すごくスッキリとした。
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風俗やAVなど男性のための場所に女性である著者が取材し
男女公平な立場から感じるし違和感を語る
自分の欲望や感情も非常に赤裸々に表現していて
女性の心理を理解する意味でも面白い -
自分の中の分類でいくとエッセイになってしまうのだが、一般的にこの分類で想定されるものよりもかなり強いメッセージ性のある作品だと思う。
知らず知らずのうちに、男性の性欲というものがしょうがないものとして社会に受け入れら、女性はそれを優しく見守ることという考え方が当たり前のものになっている「男性中心社会」について、筆者の実体験を通じて異議を唱えている。
男性自身、女性自身でさえ気づかなくなっていることを気づかせてくれる作品。男女問わず読むべき。 -
興味本位半分、面白さ半分。
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『母がしんどい』を読んでから田房さんの漫画にハマり、内容を知らないまま図書館にリクエストして借りてきたのですが、かなりきわどい内容でした。旦那さんに見つかり何読んでるの?!って引かれてしまった(((^^;;でもすごく面白かったです。ますます田房さんのファンになりました。ただの潜入取材ではなくて人間の心の裏側みたいなのを描いてるところがとても好きです。そしてこんな世界があるんだ!と驚きでした。