月下の一群

著者 :
  • 思潮社
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本棚登録 : 7
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (139ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784783711322

感想・レビュー・書評

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  • 1999年刊。
    作者の池井さんは「いかなる月の下に後記にかえて」で、「これらは私の意図して描いたものではなかった。ある日、あるとき、あるみちすがら、私へ差し込んできたある月の光だった。いかなる月の下でか、私はこれらを受け止め、忠実に紙片へ移しただけだった」と述べられています。

    この作品集も家族を想う気持ちがやさしくみちあふれているようにかんじられました。
    そしてまた、それを失う寂しさをもともにかんじました。
    「手」
    「牽牛」
    「あなたへはやく」
    「わたしのバスは」  などがよかったです。

    「水陽炎」
    まんかいのつつじの根方(いつものように)
    ちちがしゃがんでいます(いつものように)
    草をむしっているのです(いつものように)
    さんさんと陽が差しています(いつものように)
    とうちゃんとよべば(いつものように)
    あなたはぼくをふりかえり(いつものように)
    ぼくのなをよんでくれます(いつものように)
    さんさんと陽が差しています(いつものように)

    とうちゃんはもうおりません

    • まことさん
      mariさん、こんにちは!
      そうですね。自分の言葉をもっている方っていらっしゃるんですよね。
      私は、やっと、レビューのようなものをかくの...
      mariさん、こんにちは!
      そうですね。自分の言葉をもっている方っていらっしゃるんですよね。
      私は、やっと、レビューのようなものをかくのが、いっぱいいっぱいで・・・。
      mariさんのほうこそ、いつも素敵なレビュー、コメントをありがとうございます!
      2019/04/07
    • まことさん
      kanegon69さん、こんにちは!
      私もまた、kangon69さんのレビューに触発されたり、コメントに癒されています。
      毎回、どうもあ...
      kanegon69さん、こんにちは!
      私もまた、kangon69さんのレビューに触発されたり、コメントに癒されています。
      毎回、どうもありがとうございます。
      これからも、よくわからないレビューをするかもしれませんが、よろしくお願いします!
      2019/04/07
  • 止むことなく堆積する
    荒れくれた日常の波の中で、
    ある「とき」の、
    今では喪失したその瞬間への
    慈しみ、また愛慕が、
    おぼつかない足取りのような
    不器用な言葉遣いで以て
    ここに表現せらる

    校庭だったか境内だったか
    ぼくはひとりで立っていた
    ゆうまぐれ
    おはぐろとんぼがいっぱいうかび
    なにかひそんでいるような
    ぷうるはふるいまみずをたたえ
    いまがいつだかわからなかった
    ここがどこだかわからなかった
    地表はあかるいひかりをやどし
    砂丘みたいにきめこまかくて
    ぼくはひとりで立っている
    ぼくがだれだかわからなかった
    こんなとおくにつれてこられて
    こんなとおくにひとりのこされ
    ぼくはなにかをまちわびていた
    ゆうまぐれ
    おはぐろとんぼがいっぱいうかび
    こしかたはもうどこにもなかった

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著者プロフィール

1953年香川県生まれ。13歳の6月の夜、詩のようなものを初めて産み落とし、以来、山本太郎選により進学雑誌投稿欄で次々と入選。1967年、旺文社主催文部省後援全国学芸コンクールで「雨の日のたたみ」が特選第一席。1972年、「歴程」同人となり、会田綱雄を知る。1977年、第一詩集『理科系の路地まで』(山本太郎序、谷内六郎画)以降、『遺品』までの単行詩集が19冊。選詩集として『現代詩文庫・池井昌樹詩集』、『池井昌樹詩集』(ハルキ文庫)、その他に植田正治の写真とコラボレーションした写真詩集『手から、手へ』(集英社・企画と構成 山本純司)がある。
現在、法政大学講師、粕谷栄市との手書き手作り詩誌「森羅」同人。

「2019年 『遺品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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