故人サイト

著者 :
  • 社会評論社
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感想 : 21
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784784511242

作品紹介・あらすじ

更新直後に殺害・ツイート直後に事故死。リアルタイム闘病記録・自殺実況中継・ファン巡礼慰霊碑サイト。それは遺書なのか、あるいはダイイングメッセージなのか!?漂い続けるネット墓標を徹底調査!!

感想・レビュー・書評

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  • 『故人サイト』とある様に発信者亡き後、ネット上に途切れ遺されたサイトを紹介した本書であるが、そこまでに至る経緯の事故死、病死、災害死、自殺などと様々でブログ、SNSに残された過程や痕跡を分類形態で分別して掲載されているのだが、そこまで至る経緯によってそのサイトの抱える性質が大きく変貌する。
    事故死、災害死はその不本意な運命に対して嘆き、死者を偲ぶモニュメントとして働くのに対し、「自ら死に向かったサイト」で取り上げらるサイトの負のエネルギーは読んでいるこちらも思わず引き摺り込まれる力を持っていて読む際にはある程度の覚悟が居る。
    それとはまた逆に「引き継がれたサイト 追憶のサイト」は残された者たちの故人に対する新たな立会い方、意志の寄り添い方ではないかと感じる。
    死は生の対義ではなく、死があるから生があり、生があるからこそ死がある。その当たり前の真実に気付かされる。

    久し振りに思い返したのだが、この本書には取り上げらていない事例だがメンヘラ神のBOT化は彼女の死への冒涜だろうか。それとも餞けであるのか。死してもなおも電子の海を揺蕩う死のアップロード。

  • 墓標の研究家や、デスマスク収集家がいるなら、故人サイトをへめぐる人もいるのですね。
    作った人がなくなっても、サイトは残る。放置されて、または遺族や遺志を継ぐ人に管理されて。
    墓碑だって、苔むすものもあれば磨き続けられるものもある。訪う人の絶えない墓もあれば。獣に荒らされる墓もある。ウエブ上のサイトも同じなんですね・・・。追悼コメントが増え続けるサイトがあれば、荒らしに合うサイトもあると。
    まさか死ぬとは思わずにブログを書いていた人や、死の影を背負いながら明るいブログを書いた人、またはブログにだけ弱みを漏らしていた人。それらの人の日記を覗くのなら気が咎めるけど、ブログはもともと不特定多数に対して公開されたメディアだから、読むことに呵責を感じなくてもいい。
    見知らぬ人の魂の奥を覗くような、不思議な読書体験でした。

  • 何となくの興味で手に取りましたが、死と向き合うきっかけを与えてもらえました。
    夫のちょっとした体調不良が何かの病気なのでは?と心配になったり…(汗)

    一番印象に残ったのは、海外旅行を始めてすぐに強盗殺人に遭った方の事例です。
    あまりに突然すぎて…しかも、殺された理由がしょうもなさすぎて、ただただ可哀想です。
    あと、くも膜下出血とマラリアは気をつけよう!って思いました。

    死に触れるコンテンツとして、サイトはとても貴重なものだと思いました。

  • 誰にも薦めようとは思いません。
    しかし、今の自分にとって最も重要な一冊でした。

    ネット社会の到来により、故人の発言が公の目に見える場所に遺るようになりました。それは悲しさや寂しさ、やるせなさなど、様々な感情を見る人に思わせる不思議な魅力を放っています。本書はそういった故人のブログやTwitterを集め、それぞれの死の形式によって分類して紹介しています。分類は目次のとおりに以下となります。
    ・突然停止したサイト
    ・死の予兆が隠れたサイト
    ・闘病を綴ったサイト
    ・辞世を残したサイト
    ・自ら死に向かったサイト
    ・引き継がれたサイト、追憶のサイト

    「故人のサイトというと病を偽っているものあるのでは?」と思う方にとっても、コラム『騙られた死』というものが用意されています。『故人サイト』というテーマを十分に満たす書籍となっていると思いました。強く印象に残った内容や、感想は沢山あるのですが誰かに向けて語るようなものではないと思うので、以上とさせていただきます。

  • 亡くなった人が生前作っていたウェブサイトを、有名人のもそうでない人のも、平等にサラッと紹介している。
    どちらかと言うと資料的な興味。

  • 有名人から一般人まで、管理人のさまざまな死の後残されたサイトやブログ集。立派な墓となるものも、荒らされていくものもある。ネットにも死んでも残るものがある。

  • あまりキモチの良いものではない

  • 病気や事故などなんらかの理由で運営者が亡くなったことがわかるサイトを集めたもの。更新停止に至るまでの運営者の思い、管理状況や遺されたものの思いまで含めて、読む側に伝わってくる。/個人的には、ここに記載されていないが、鷺沢萠さんの故人サイト、モンゴル史研究者の岩武昭男さんのHPに思いをはせてしまう。/消滅サイトのルーツや変遷は「Internet Archive」で調べることができるというのは有益な情報。早速、岩武さんのサイトを見に行って、頻繁に訪問していた頃のことを懐かしく思い出した。/できるシリーズを生んだ功労者のHPを今も守り続けるインプレス社。「Ken's Home Page」/goodbye world 佐久間正英さんの最後の3000字の記事/「女性編集者二階堂奥歯さんの「八本脚の蝶」/kousukeのページ:遺族が死者と語り合い向き合うかのように更新される。/大学が運営を引き継いだ、菱木スウェーデン法研究所の豊かな中身/などなどのページは、これからゆっくりと自分でも見に行ってみたい。/あとがきの「死はインターネットで学べる。知ることは後ろめたいことではない。大切にするということは腫れ物扱いすることではない。」がぐっとくる。

  • 547.4

  • 2016/11/09読了

    「死」が公のものになるのは、今では珍しくないのかもしれない。
    SNS ブログ サイト で、人が物書きをして発信すること。これが当たり前になった時代。
    そんな現代においての「死」とは、漠然と普遍的に「そこにある」ものになったのだろうか。

    ネットの中に住居を構えて、この世から亡くなった人を思う。

    ネット遺書や事故死などで止まった更新、闘病記録とその末、それらWeb上の発信と「死」の形はよく見られるようになった。
    ある時には祭りのように取沙汰される。本人の死を偲ぶよりもセンセーショナルな出来事にわいわいと騒ぐ声の方が多いようにも思う。
    この本ではただただ純粋に、ネットの上で消息があった人の最終更新とその背景だけを追っている。
    淡々と読み進める中で、「死」に直面した人の感情や思い、「生きたい」「死にたい」の強さ、ないし、まだ生きることができた人への追憶など
    ネットワーク上の数だけ、そのサイト(居住区)にいる人が存在していたのだと知る。

    (SNSが主流な最近だけど、やっぱり影響力、じっくりと発信できる場所としては、ブログの方が強いのかな)
    スパムの墓荒らし、後継人(代替で記事をUPする人)
    ネットならではの死後を考えさせられることも、これまでなかったように思う。

    この本に関してはうまく感想をまとめることができない。
    ただ、事故や病気でいつ死ぬかもわからないことと、自分がブログを書いていることもあり、他人事とは思えないと感じた。
    というのもあるが
    生々しい記録が、「今」の遺書の在り方を訴えているのかもしれない。
    うまく言えないなぁ
    ともあれ最近読んだ本の中で最も衝撃的でした。

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著者プロフィール

古田雄介

1977年名古屋市生まれ。記者・ライター。名古屋工業大学卒業後に上京し、建設工事現場監督と葬儀社スタッフを経て、2002年に編集プロダクション入社。07年以降フリーランスの記者として活動。16年から一般社団法人デジタル遺品研究会ルクシー代表理事を務めた。著書に『ここが知りたい! デジタル遺品』(技術評論社)、『故人サイト』(社会評論社)、『中の人』(KADOKAWA)など。

「2020年 『スマホの中身も「遺品」です』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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