- Amazon.co.jp ・本 (332ページ)
- / ISBN・EAN: 9784788512474
作品紹介・あらすじ
ロングセラー『誰のためのデザイン?』 以来、デザインの世界にアフォーダンスの概念を導入し、「デザインは分かりやすくなければならない!」という旗を高く掲げてきたノーマンが、現実世界の複雑さにどう対処したらよいのかという問題に正面から立ち向かい、新境地をひらいた注目の本です。これまで同様絶妙の事例を縦横に引きながら、一見これまでの主張とは反対に、「テクノロジーは複雑でなければならない」と主張しているのです。もちろん、複雑さに対処するデザイナーの原則、ユーザーの原則がしっかりと述べられます。デザインにおけるアフォーダンス概念にも 大修正を加え、ノーマン・ウオッチャーならずとも見逃せない一冊です。
感想・レビュー・書評
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共感するところはとても多かったですね。ローランドのキーボードの例も挙がっていました。笑えるほど使いにくいことは容易に想像できます。
そして、いつしか私たちは全くマニュアルを読まなくなりました。
昔は機能が簡単だったのか、わくわくしてマニュアルを読んだものです。マニュアルを読まないと全く使えなかったからかもしれません。
シグニファイアー、エクスペリエンスとは・・・思い当たります。
世の中、わかって眺めると面白いです。これからも注意してみていこう、と思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
もう一回読みたい。
自分の行動の原動となる本。 -
なぜ,自社の製品・サービスは(例えば)Appleみたいにシンプルにならずに,ごちゃごちゃしてしまうのだろうか?この本を読むととても勇気づけられる。ごちゃごちゃしてしまうのは,必ずしも間違いではない,問題はそこではない,というのがこの本の答え。シンプルなのが目的ではないってこと。
デザイン担当でなくても,営業でもサポートでも開発でも(もちろん生活者でも),その製品・サービスと接する機会があるのであれば,読んでおきたい。インターフェースがいじれなくても,できることはいろいろあることがわかるはず。
お客さんが,自社では思いつかないようなことを考えてくれている,そういう場面に立ち会うことがあった。決して洗練されたシステムではないのに。だけど,役に立っているのだ。だからこそ,いろいろと考えてくれるのだ。こういうところからの要望はの答えには窮することは間違いないんだけど,どこか嬉しくなってしまうだよね。 -
テクノロジーの進展と共に我々の社会はますます複雑さを増しつつあり、一見すると複雑さは「悪」と捉えられることもしばしばである。しかし、ここで人間中心主義のデザインやユーザインターフェース提唱の第一人者であるドナルド・ノーマンは、「複雑さ」と「分かりにくさ」を切り分け、状態としての「複雑さ」ではなく、心理的知覚である「分かりにくさ」が悪であることを主張する。
なぜ、物事が複雑になるのかといえば、それは我々の人生が複雑であるからである。そして、「複雑さ」を「分かりやすさ」に転化するために、以下のようなアプローチが必要であることを説く。
・人とモノ/サービスの間の一連の行為やインタラクションの流れにを「概念モデル」として提示すること
・ある行為を取らせたくない場合には、「強制選択法」により、その行為が取られないようなデザインを設けること
・環境が人に対して特定の行為を促すような関係性である「アフォーダンス」が不足しているのであれば、「シグニフィア」(ドアの取っ手は、そのドアを引っ張ることを示唆するシグニフィアであり、フラットなドアは押すことを促すシグニフィアである)を人為的にデザインすること
本書の「デザイン」という言葉が意味するところは何もモノだけが対象ではない。むしろ、サービスにこそデザインが必要ということが繰り返されており、経営学におけるサービス・マネジメントの観点からも大いなる示唆が得られる。
具体的には第7章の「待つことのデザイン」では、待ち行列の不快感を低減させるために6つの具体的な指針が示される。
1.概念モデルを提唱すること
2.待つことが適切であると受け取れるようにすること
3.期待に応える、あるいはそれを上回って応えること
4.人々の心をとらえておくこと
5.公平であること
6.終わりと始まりを強調すること
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【配置場所】工大特集コーナー【請求記号】501.83||N
【資料ID】91112830 -
ノーマンの図書はデザインを考える上で大変参考になります。
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複雑さは事実である。
複雑さを理解させるのもデザインの力。
簡単なものでもややこしいことはある。 -
認知心理学にもとづくデザインの大御所、ノーマン博士の最新刊(2011年)。日本では1990年に出版された著者による名著『誰のためのデザイン?』では、人が対象に対して使い方や機能に関して抱く「概念モデル」を適切に構築することが大切で、それにはモノがその使い方を表明する「アフォーダンス」が重要な役割を果たしている、というような内容だった。それから20年たって、技術が進歩し、さまざまなものが自動化し、多くの情報量を持つようになった現代のデザインを見ると、当初の理論にさらに補足、修正が必要になったようだ。
大きな補足として、「使いやすさ」と「簡単さ」は違う、ということ。これは本書のタイトルにも関連していて、実世界は複雑であり、簡単なもので実世界に対応することはできない。デザインの仕事は、複雑なものをいかに使いやすく見せるか、である。修正としては、「アフォーダンス」という用語をやめて「シグニファイア」と変更したこと。これは、アフォーダンスの本来の意味が、人が気付こうが気付くまいが、モノが発揮している内容を指しているため、ユーザーに気付かれないアフォーダンスを作って満足するデザイナが現れたことへの警告でもある。
さらに現代に対応するため、サービスデザインに関する論考が盛り込まれたのもポイントである。モノと人の動きの全体として、適切な概念モデルを構築し、使いやすさや心地よさを生み出すことについて、分析されている。サービスデザインに関して、具体的は手法はいろいろな本で紹介されているが、理論面を説明している本はあまりない気がするため、貴重である。 -
デザインが世界を作るのではなく、世界がデザインを作るのだと改めてしみじみ。世界はそもそも複雑でありテクノロジーはますます複雑の加速度を上げている今、シンプルの先にある複雑さとの共生を語る本書のメッセージには深いものを感じます。軽い語り口なのに。そもそも複雑さへの対処で、受け入れる、小分けにする、その時その時、記憶じゃなくて理解、他人を見る、実世界の知識を使う、なんてたたみ込まれると、これって人生そのものの対処じゃん、と思ったりします。たぶんちょっと前のアフォーダンスと同じように、シグニファイアも時代のキーワードになると思いますが、まだまだ理解出来ていない気もするので、これからです。
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随筆のように感じられる。卒論で使えるかどうかは不明である。