ユリイカ 2018年9月号 総特集=濱口竜介 ―『PASSION』『ハッピーアワー』『寝ても覚めても』・・・映画監督という営為―

  • 青土社
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  • Amazon.co.jp ・本 (305ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784791703548

感想・レビュー・書評

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    2018年時点の濱口竜介監督の最新作「寝ても覚めても」までを様々な評者や関係者がテキストを寄せている.
    前半は主に「寝ても覚めても」が話題となり,後半は「ハッピーアワー」とそれ以前の監督作品たちにスポットが当てられている.
    インディーズあるいは批評から始まった濱口氏のキャリアは華々しいものだったのだろうか.それよりも,模索や,長谷正人氏が論じているように実験的な手探りが前面に感じられる.商業映画なのか文化映画なのかという類別そのものも無化するような強く静かなパッションを映像からは感じる.
    その着実な映像は,本誌にあるよう,声や音,演技,身体といった問題系へのアプローチに根拠づけられている.ルノワールやカサヴェテスの方法論の試みには,俳優と監督との,つまりは撮られるものと撮るものの関係が映されているが,濱口氏の篤実な切り口と継続が,そのパッションとエモーションの強い映像を生み出しているというのは,考えてみれば驚異でもあるだろう.
    人間が表現をすること,それを映像に定着させること,それを持続的に観客に催すこと,これらの生と技術のありようが今後も,濱口氏の関わる映像とテキストでは,更新され続けるに違いない.

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著者プロフィール

1978年、神奈川県生まれ。2008年、東京藝術大学大学院映像研究科の修了制作『PASSION』がサン・セバスチャン国際映画祭や東京フィルメックスに出品され高い評価を得る。その後も日韓共同製作『THE DEPTHS』がフィルメックスに出品、東日本大震災の被災者へのインタヴューからなる『なみのおと』『なみのこえ』、東北地方の民話の記録『うたうひと』(共同監督:酒井耕)、四時間を越える長編『親密さ』、染谷将太を主演に迎えた『不気味なものの肌に触れる』を監督するなど、地域やジャンルをまたいだ精力的な制作活動を続けている。

「2015年 『カメラの前で演じること』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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