- Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791750238
作品紹介・あらすじ
の魅惑に耽溺し、放蕩・逸脱・女装趣味など、強烈で特異なイメージをひたすら生き、人間の可能性を大胆に切り拓いたサド侯爵から三島由紀夫まで、文学者、思想家たちの深奥を探り、の氾濫する文化を照射する-。
感想・レビュー・書評
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きっかけは、自身の著作の読者の死だった。死後にその人物の意外な正体が判明し、彼が遺した遺稿を読み込む内に、著者は人類史の裏にある性倒錯――社会的に異質と判ぜられる性欲の世界の考察を進めるようになる。
放蕩、女装趣味、同性愛――。マルキ・ド・サドから三島由紀夫まで、文学者はどのようにして文学における「性」のイメージを大胆に描くようになったのか。数多の資料を元に人間の欲望がおりなす文化の系譜を繙くことで顕にされた、性衝動の本質とは――。
原題の "THE MISFITS" はその場の環境にうまく順応できない人、適応不能者を指している。本書でいう環境とは、誰もが想像する、普通の性生活環境だ。
原著の刊行は1988年だが、作中で指摘されている事項は現在でも主流となっている研究や考察の結果で、その内容は古びてはいない。
本書では、条件さえ揃えば誰もが性倒錯者――性のアウトサイダーになり得ることを示唆している。だがそれは決して社会不適合者になるということではなく、自分なりの欲求不満を解消する術が性倒錯だった、ということだ。その状態を文学的に表現するなら、常識という狭い視野から脱出した想像力の革命家、だろうか。
だが気をつけなければならない。「想像力」という窓は数多あり、開けた窓次第で性生活をより豊かにも、自らの破滅を招きもする。開く窓を選択するにあたって、本書があなたのガイドになるかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
H.20.12.5.MBF.475