- Amazon.co.jp ・本 (229ページ)
- / ISBN・EAN: 9784791756087
作品紹介・あらすじ
戦時総動員体制、女性の戦争協力、そして「従軍慰安婦」問題-再審される戦争の記憶を問い、ジェンダーの視点から『想像の共同体=国民国家』の解体を企てる、言説の闘争への大胆な参入。
感想・レビュー・書評
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三部だてで、女性の戦争責任を問うということについて、慰安婦問題について、ジェンダーという変数から歴史をどうみるかということについて、の3つについて論じている。
上野千鶴子はあまり好きじゃないが、その切り口にはやはり魅力がある。留保が多い、類型化が多い、という側面はあるにしても、その留保という形での問いの提起はみるべきものがある。ジェンダーと歴史・国家・個人という関係における問題設定が網羅的になされた本、と考えれば、非常にネタの詰まった面白い一冊だ。 -
題名のわりにトピックは意外と少なくて、全3章のうち後半2章は、ほぼ従軍慰安婦問題を巡る議論について扱っています。
ですが読み応えがないという話ではなく。
第1章『国民国家とジェンダー』は議論の核が非常に見えやすく解説されていますし、2・3章についても個々の議論について欄外での解説・反論がとてもとても親切。
(用語、人物名、トピックについては海外についてはほとんど解説がありませんし、網羅的とは言えないと思いますが)
「従軍慰安婦」が出てきたとき結構げっ、と思ったのですが、
適切な遺憾の意、礼を尽くして被害者の立場に立ちながらも(適切な言葉が浮かばないけど)
徹底して冷静で、議論が完璧に議論、という感じがする。
(前にも書きましたが、私は肉体的に痛かったり惨かったりする話読むと相当引きずってしんどいから戦争ものも避けてきてる人間です。
それが良いとは限りませんが。)
そこから敷衍して何かを考えるまで至っていないし、
むしろ読み返した方が定着するかしら、というくらい。 -
慰安婦が問題として認識されたのはなぜか。
構築主義的観点から慰安婦問題の争点化を分析しているのが本著です。
この本を読んでいなかったら絶対に慰安婦問題に興味を持たなかったと思います。
学部のころに読む本は重要です。 -
上級科目
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読めと言われて読んだ本の中では1番面白かった。私ってフェミニストなんだなと再確認
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上野千鶴子のナショナリズムとジェンダーを読みました。太平洋戦争などの歴史を現代に生きる我々がどう評価するか、ということは、とりもなおさず現在の我々の生き方を規定する、という主張の本でした。ジェンダー論は難しくてよくわかりませんが、歴史をどう判断するかということがそのまま現在の自分の生き方にはねかえってくる、という主張は納得できました。従軍慰安婦問題についても、これをどのような問題ととらえ、どのように歴史を再評価するか、という論理の枠組みが重要だと思いました。
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¥105
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2007.6
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英語の書名はEngendering Nationalism、つまり「ナショナリズムのジェンダー化」。「国民国家」がいかにジェンダー中立的<strong>でない</strong>か、というハナシですな。いちいち納得しながら読む、素直なワタシ。(200512)