文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下)

  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794214652

感想・レビュー・書評

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  • 「銃・病原菌・鉄」のダイヤモンド博士の続著。



    人類の歴史では、栄華の限りを尽くしていた文明が、ある時点を境に突然崩壊してしまう。ということが、何度か起こっている。

    『モアイ像』で有名なイースター島や、南米のマヤ文明など。
    今となっては人も住まぬ廃墟になっているが、かつてはそこに、
    世界でも最先端の文明が存在していたのだ。

    筆者は、世界各地のそうした事象に対して、様々な要因を考察している。

    『文明の崩壊』というと、まず思い浮かぶのは、『戦争』だろう。
    異なる国々や文明が戦争をし、その過程で破壊と略奪が行われて
    一つの文明が滅びゆく姿は、悲惨ではあるにせよ、容易に想像がつく。

    しかし、この本では、そうしたことばかりが原因ではないということを
    教えてくれる。
    なんと、戦争もないのに、住民自らが作り出した原因によって
    滅びた文明が歴史上沢山あるのだ。

    そもそもそれだけの文明を築くことの出来た人々が、
    そのような自滅的行動を取るほど愚かだったのだろうかという疑問が当然沸くが、
    その多くは、つまるところ、無意識のうちに自然環境を
    劇的に変化させたことに起因している。

    緑に被われた楽園だったはずの場所も、無計画に木を切り続ければ、
    一本残らず無くなってしまう。
    気が無くなる頃には、草も無くなり、
    そこに生息していたはずの動物も絶滅し、
    そうなると当然食べるものも無くなり…

    イースター島の崩壊はそうやって訪れたという。

    他にも実に緻密な検証が行われているのだけれど、
    つまるところ、自然環境を馬鹿にしていると、
    取り返しのつかないことになるということのようだ。

    昔から、この手の危機を叫ぶ声に対しては、
    『そんなことはない。そのうちそれなりの画期的新技術が開発されて…』
    という楽観論にすがりたくなる。

    しかし、こと、『資源の消費』という視点で考えたとき、
    今の世の中は、かつてのどの時代よりも、激しい消費をしていることは間違いない。

    例えば石油。昔から、『あと50~60年でなくなる』と言われていたらしいが、
    本当に無くなったら、どうするのだろうか。
    高度な技術も、石油がなければ、殆どは何も出来なくなる。

    あまり深刻に考えても始まらないが、たまにはこういう本を読んで、
    そういうことに関する認識を持っておくというのも大切なんじゃないかと思った。

  • コメントはこちら↓
    http://mdef.blog29.fc2.com/blog-entry-17.html

  • マヤ、イースタ、グリーンランド。過去にたくさんの人間社会が崩壊していった原因は何か?について。
    環境破壊によって文明が崩壊するケースと、途中で環境破壊をコントロールして持続可能になったケースを紹介。日本の江戸時代の林業は後者に属する。
    崩壊の潜在的要因として、環境被害、気候変動、近隣の敵対集団、友好的な取引相手、環境問題に対する社会の対応という5つの枠組みを設定。崩壊するケースでは広範囲に「共有地の悲劇」のパターンがある。
    今後、中国をはじめとした膨大な人口層が中産階級かすることでさらに環境被害が高まると思われる。イースター島型になるか?江戸時代の日本のように適応できるか?どちらを選択できるか。

  • 上巻が過去の文明の話だったのに対して、下巻はルワンダ、オーストラリア、ドミニカ、などの現在も続いている文明の話。だから、少し深刻な話題もあります。
    この本を読んで改めて「ホテル・ルワンダ」を観ようと思ったものです。深く考えないといけないなと思わせます(そうは言ってもいつも深く考えられるわけではないのですが)。

    上下巻とも少し厚みがあって、ちょっと時間がないと厳しいですが、お勧めです。

  • 感想は上巻と同じ。
    大手資源会社の資源管理の話が最後に出て来た。仕事の関係上非常に興味深かった。

  • 下巻になると、視点は現代に移り、中国やアフリカの問題について考察が進められる。

  • 読書中

  • ・東アフリカの人口問題はマルサス的
     フランスの経済学者兼人口統計学者であるトマス・マルサスが人口の増加は食料生産量の増加を上回る傾向にあると論じた。
     人口増加は幾何階級的に食料生産量は算術計数的にしか増えない。

    ・ルワンダ
     フツ族は農耕民、ツチ族は牧畜民
     フツ族が最初に南部と西部から移住、ツチ族は北部と東部から移住

    ドイツ、ベルギーの植民地政府が色の薄い肌でいくぶんヨーロッパ風のため、人種的に優れているとみなし、ツチ族を介して支配。
    民族間の差異を著しく強調した。

    フツ族→ツチ族を虐殺
    6週間で推定80万人のツチ族が虐殺(ツチ族の4分の3)がされた

    社会が破滅的な決断を下すのはなぜか

    1)問題が生まれる前に、集団がそれを予見することに失敗して、破滅的な行為を起こしてしまう。
     例)オーストラリアに狐と兎を持ち込んだ例
     あるいは誤った類推による判断
    2)問題を感知できない
     ・遠くはなれた感知者
     ・這い進む常態(経済、交通、学校などがただゆるやかに悪化していく)
     ・風景健忘症
    3)問題を感知したあと解決できない
     「どんな人間も個人としてみた場合は分別があり道理をわきまえているが群集の一員になったとたん愚か者にかわってしまう」

  • 20080605
    環境破壊・環境変化により文明が滅ぶ仕組みを解説
    イースターが全滅とか

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著者プロフィール

1937年生まれ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校。専門は進化生物学、生理学、生物地理学。1961年にケンブリッジ大学でPh.D.取得。著書に『銃・病原菌・鉄:一万三〇〇〇年にわたる人類史の謎』でピュリッツァー賞。『文明崩壊:滅亡と存続の命運をわけるもの』(以上、草思社)など著書多数。

「2018年 『歴史は実験できるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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