最重度の障害児たちが語りはじめるとき

著者 :
  • 草思社
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794219992

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  • 相手の言うことが分かっているのに、自分の思いを伝えられない。
    自分がわかっているということすら、伝えられない。
    それはどんなにつらいことだろうと思います。想像を絶します。
    「この子はなにも分かっていない」と思われていた人たちが、わずかな体の動きによって意志を伝えていると、誰かに気づいてもらえた瞬間というのは、どんなに、どんなに、うれしかったことでしょう。その喜びの深さも測り知ることができません。
    セクシャルハラスメントも花粉症もDVもそれに名前がついていなかった時は問題自体が人に見えませんでした。
    一度も言葉を話したことがない人は、意志や人間らしい感情があると認められてきませんでした。が、彼らが音声によらない、機械や通訳を介した言葉を獲得した時、初めてその人に人間として名がついたのかもしれません。

  • 前半はどのように障害児から話を聞いたかをいくつかの事例で紹介。中盤から始まるNHKでほうそうしたりした「奇跡の詩人」についての話が書かれていてこちらのほうが興味深い。「奇跡の詩人」に特定しての話に特化した内容ではないので、ものたりない人もいるかもしれないが。

著者プロフィール

ジャーナリスト、専修大学社会科学研究所客員研究員、法政大学社会学部非常勤講師。
1960年 鳥取市生まれ。
1983年 九州大学法学部政治専攻(石川ゼミ)卒業。
NHK記者、九州大学大学院・大妻女子短大等の非常勤講師を経て現職。
主な著書
『名前を探る旅~ヒロシマ・ナガサキの絆~』石風社、2000年
『地域から問う国家・社会・世界』(共著)ナカニシヤ出版、2000年
『核の時代と東アジアの平和~冷戦を越えて~』(共著)法律文化社、2005年
『脳障害を生きる人びと~脳治療の最前線~』草思社、2006年
『スペイン内戦とガルシア・ロルカ』(共著)南雲堂フェニックス、2007年
『認知症を生きるということ~治療とケアの最前線~』草思社、2009年
『「被爆二世」を生きる』中公新書ラクレ、2010年
『奇跡の人びと~脳障害を乗り越えて~』新潮文庫、2011年
『被爆者が語り始めるまで』新潮文庫、2011年
『最重度の障害児たちが語りはじめるとき』草思社、2013年
『占領は終わっていない~核・基地・冤罪・そして人間~』緑風出版、2017年
『マツダの魂~不屈の男 松田恒次~』草思社、2018年
『スペイン内戦(一九三六~三九)と現在』(共著)ぱる出版、2018年
『ストーリーで理解する日本一わかりやすいMaaS&CASE』プレジデント社、2020年

「2020年 『スペイン市民戦争とアジア』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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