七日食べたら鏡をごらん: ホラ吹き昆布屋の挑戦

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794809520

作品紹介・あらすじ

「先に死んでいく大人には務めがある」と言う「利尻屋みのや」の社長・簔谷修。50歳で脱サラして、北海道の美しい港町小樽でも一番の繁華街である「堺町通り」に昆布屋を開いた。しかし、ただ昆布商品を並べて販売するだけではなかった。本書のタイトルにもなっている「七日食べたら鏡をごらん」は、現在四つある店舗のすべてで掲げられているキャッチコピーである。そのコピーに惹かれて入ったお客とのやり取りが面白い。
 女性客―七日食べたらどうなるの?
 店員―美人になるということですよ。昆布に含まれるヨードがお肌を美しくします。
 女性客―もう遅いっしょ。
 店員―まだ間に合います。
 男性客―(横から)俺のハゲは治るかな?
 店員―治りません!(笑)
 接客は一事が万事、この調子である。コンビニやチェーン店に代表されるような、マニュアル的・無機的な接客を日常的に受けている現代人には、これだけでもこの上ない「サービス」である。しかし、利尻屋みのやのサービスはこうした接客の妙のみに留まらない。簑谷が造った「ホラ吹き昆布館」や「小樽歴史館」では、古代から現代に至る昆布の歴史ばかりか、小樽のまちの歴史についても学ぶことができる。そこではなんと、卑弥呼や楊貴妃にまで会えるので、女性の買い物にしぶしぶ付き合わされた男性も大喜びとなる。
 簑谷は自分を「単なるホラ吹きですよ」と謙遜するが、その博識さは圧巻だ。しかもその知識を遊び心満載のパネルに展開して顧客に広め、「昆布と歴史」で小樽のまちを盛り上げている。その企画力や構成力は、「ホラ吹き昆布茶」、「となりのトロロ」、「アラジンの秘密」といった商品名にも現れている(見てしまったら、買うしかない!)。
 簑谷は、常々「公のために」と言い、「街並みは産業、町並みは文化」と言い切る。昆布屋が掲げた小樽復古の物語、ぜひ楽しんでいただきたい。(編集部)

著者プロフィール

ノンフィクション作家。北海道生まれ。札幌在住。主な著書に、『永訣の朝』(河出書房新社)、『凍れるいのち』(柏艪舎)、『100年に一人の椅子職人』(新評論)ほか。『大きな手 大きな愛』(農文協)で、第56回産経児童出版文化賞JR賞(準大賞)受賞。

「2020年 『ラストアイヌ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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