リベラリズム: リベラルな平等主義を擁護して

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  • Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794812452

作品紹介・あらすじ

世界人口の7割が独裁国・地域に住む現在、自由主義・民主主義の行く末は何処か?
リベラルな平等主義の意義を再説する古典的名著

 本書はリベラリズムの理論を語り直し、擁護しようとする。なぜ改めてリベラリズムを擁護する必要があるのだろうか。著者は、外的脅威への恐怖があらゆる政治的争点を棚上げにしている世界において、〈リベラルな平等主義〉の原理を再提示し、政治権力や多数派の世論による専制に抗する〈規範的な理由の力〉を取り戻すことがかつてなく重要であると述べる。この立場の核心には、最も価値をもつのは個人の人格であり、そのことは万人の人格が等しく尊敬を受けることによって体現されなければならないという思想がある。
 コロナ禍や侵略戦争、分断や格差が他者に対する憎悪と恐怖を掻き立てている今日、リベラルな平等主義の理論的擁護の重要性はいっそう増している。すべての人格は〈平等な配慮と尊敬〉をもって扱われなければならないという理念は、個人の道徳的価値と現代の民主的な社会における多元性を両立させることのできる政治原理と政治秩序構想の探究を産み出してきた。それが、ジョン・ロールズの『正義論』以来50年にわたって展開されてきた政治的リベラリズムの政治哲学である。
 本書は、その淵源をJ・S・ミルやカントに辿ると同時に、もっと最近の政治理論の展開から理論的な強化を図ってゆく。同時に、この間につきつけられてきた批判、例えばコミュニタリアニズムや多文化主義からの批判、あるいはグローバル化という観点からの批判に真剣に応答しようとする。そのようにして著者は、リベラルな平等主義の意義と生命力を再確認することになる。
 20世紀終盤、ベルリンの壁の崩壊とともに謳われたリベラリズムの勝利は、自由とデモクラシーが危機におかれているいま、歴史の「終わり」(end)ではなく、歴史の「目的」(end)であったこと、そしてリベラリズムを擁護する規範的な理論がなお必要であることを本書は教えてくれる。(さとう・せいし 早稲田大学名誉教授)

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著者プロフィール

Paul KELLY ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの政治理論の教授。ベンサムや功利主義の研究から出発し、英国の政治思想やロールズ以後の現代政治理論に関して多くの著作を発表。邦訳にD・バウチャーとの共編著『社会契約論の系譜』(ナカニシヤ出版、1997年)など。

「2023年 『リベラリズム』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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