- Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794912633
作品紹介・あらすじ
ぼくは踏みにじられたぼろ屑だった。不幸を自分の身に引きよせ、死にかかっていた…。スペイン戦争前夜。まっ黒な予兆をはらんだ青空の下で、破滅に瀕したひとりの男。彼をうちのめした苦悶とはなんだったのか。嫌悪と倦怠と恍惚と-。「黒いイロニー」をもとめつづける孤独な魂の彷徨を、息づまるばかりの切実さで描く。著者自身によって発表まで20年間遺棄されていた、思想的作家バタイユの危険と魅惑にみちた傑作。
感想・レビュー・書評
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死ぬ時には棺桶に入れる本
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この小説は本当の意味での小説ではない。もちろんプロットはしっかりしているし、人物にも人間味がある。ただ本当の意味での小説ではないといった理由は、バタイユの哲学が全面にでているところにある。バタイユ哲学の小説化という意味においてである。この小説が100年後に人々の本棚に居場所は見つけられないだろう。しかし、図書館のフランス文学のコーナーに寡黙に鎮座する可能性はあるかもしれない。小説好きな図書館秘書が除籍図書にせずに大切に保管していることを願うのみである。
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「ぼくは綱を引っ張っている犬のような状態だった。何も見えなかった。時間の中に、瞬間の中に。血の脈動の中に閉じ込められ、ちょうど、殺されるために縛られて、その紐を必死に切ろうとしている人間と同じ苦しみを味わっていた。もう幸福など全然期待していなかった。自分が何を持っているのか。もう全然わからなかった。」
とても悲しいけど、泣くことしかできない。解決策などなにもないように見える。
宗教にすがりつくしか、抜け道はないのかしら
たましいのたかみを目指せば幸せになれるのかなぁ -
昏き魂に捧ぐ最後のアンセム。
最後だ、最後。コレで終わりにしよう・・・ -
これが一番好きかな