- Amazon.co.jp ・本 (350ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794927354
感想・レビュー・書評
-
マクロイの短編集。予想外にバラエティに富んでいてびっくり。ウィリング博士が出てくるミステリはともかく、清朝末期の中国ものから空飛ぶ円盤?とか火星人が出てくるバリバリの古典SFまである。古き良きというかこういうのは楽しい。ドッペルゲンガーものはどこかで読んだようなと思ったら、以前読んだ長編「暗い鏡の中に」のプロットそのものだった。こんなに芸域の広いひとだったのか。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ミステリーとSFの短編がそれぞれ4編+中編のサスペンスが1編。
SFは『ところかわれば』が面白かったけど、全体的に好みじゃない。
ミステリーは
『東洋趣味(シノワズリ)』
古めかしい文体のせいか読みにくい。
『カーテンの向こう側』
アルレーの「わらの女」みたいで怖かった。雰囲気がクリスティーの「杉の柩」にも似てる。
『鏡もて見るごとく』
ベイジルもの。少し上手く行き過ぎ感があるけど、良かった。
長編になったのも読みたい。
『歌うダイアモンド』
ベイジルもの。さすがにコレは無理でしょう。
中編の『人生はいつも残酷』が一番良かった。
短編では『カーテン〜』と『鏡もて〜』が好き。
序文を書いたのが元夫っていうのがビックリ。 -
ヘレン・マクロイは短編の名手だったんですね。
知りませんでした~。
受賞作品が並ぶ名作揃い。
しかもSFもある…
ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアを連想しました。
作者は1904~1992年。
フランスに留学して、新聞の通信員等をしながら作品を発表。1938年ミステリ、デビュー。
女性で初のアメリカ探偵作家クラブの会長になったのも納得の実力と知性。
暗いイメージでしたが、幅広いんですね。 -
面白いなぁ。「家蝿とカナリヤ」から入った口だからSFとかホラーには微妙な違和感がある…と思ってたんだけどそんなことない。その文章力と構成力、何よりその発想が凄い。面白い。「鏡もて見るがごとく」は名作「暗い鏡の中に」の元になった短編らしいけど俺はこっちのほうがいいかな。ロジカルだし。個人的ベストは「鏡もて見るがごとく」「歌うダイアモンド」「風のない場所」。特に「風のない場所」は感動。
-
収録作品
・『東洋趣味(シノワズリ)』
・『Q通り十番地』
・『八月の黄昏に』
・『カーテンの向こう側』
・『ところかわれば』
・『鏡もて見るごとく』
・『歌うダイアモンド』
・『風のない場所』
・『人生はいつも残酷』
SFは『Q通り十番地』、『八月の黄昏に』、『ところかわれば』、『風のない場所』辺りかな。
正直言って、う〜ん、という感じ。
発表当時はわからないけど、今読むと、使い古された普通のSFなんだよね。
『ところかわれば』は藤子・F・不二雄の短篇で同じネタあったな。
時代は関係ないかな。
こないだ読んだデイヴィッド・イーリイの短篇はかなり昔のものだけど、結構強烈だったからなぁ。
作家のスタンスの違いかな?
そんなわけで、面白かったのは普通にミステリの『東洋趣味(シノワズリ)』
異国情緒たっぷりで、入り組んだ路地のちょっと先も闇に包まれて伺い知れない、
そんな魔窟のような中国の町が見事に書き込まれている。
犯罪自体もコレクター心理、欧米人にとっての異世界のしきたり、に沿っていて満足。
ちなみに表題作の『歌うダイアモンド』はミステリ。
結構期待してたんだけど、こういうミステリは好きじゃないなぁ。
どうしても、そんなわけないじゃん、という意見が先に出ちゃう。
これがSFなら納得するんだけど(笑)
ミステリ読みにはなれそうもない。
初めてジャンル小説の壁ってのを実感した気分。
『人生はいつも残酷』は中編で、日本版オリジナルで、原著には入ってないのかな?
確かに薄くなっちゃうけど、これ省いてもうちょい安くしてくれればよかったのに。