ナボコフのドン・キホーテ講義

  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794960795

作品紹介・あらすじ

幾百年の歳月のなか、数多くの解釈にまみれてきたドン・キホーテ。憂い顔の騎士の真の姿を見つけるべく、ナボコフは物語を解体する。永遠の古典をあざやかに読みかえる批評の精髄。要約付。

感想・レビュー・書評

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  • ナボコフってこんな辛辣なんだ笑
    『ドン・キホーテ』の残酷性と滑稽味に比重を置いた批評には共感しかない。
    個人的にはシュルレアリスム運動と連関させた批評なんかもどこかで読みたい。
    ダリとかブニュエルとか大好きだし。

  • ナボコフによるセルバンテス作『ドン・キホーテ』の講義である。二部に分かれ、第一部は講義録。第二部はナボコフ自身の要約を配した批評にあてられている。いかにもナボコフらしい辛辣な口調で、この作品の価値が必要以上に高められていることに対する批判を行っている。その一つが、この作品に溢れる、正気を無くした老人に対する無慈悲な暴力や辱めの存在である。現代の学校におけるいじめを例に取り、セルバンテスの時代にはそれが当たり前だったにせよ、それをそのままにした上で評価するのはおかしいという非難はうなづける。また、中にはすぐれた箇所も見出せるが、構成は行き当たりばったりで散漫、作品の価値というより、この独創的な主人公を創出した点こそを評価するべきだとする。要約本や児童向けに書かれたものは別として、本編を最後まで読み通した読者は少ないと思われる『ドン・キホーテ』だが、さすがはナボコフ、つまらないところは省略しているが、大事と思われるところは原文を引きながら、その良さを客観的に評価している。まだ読んだことのない読者が手引きにするに相応しい一書である。矢吹申彦のカバー絵が秀逸。

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著者プロフィール

1899年ペテルブルク生まれ。ベルリン亡命後、1940年アメリカに移住し、英語による執筆を始める。55年『ロリータ』が世界的ベストセラー。ほかに『賜物』(52)、『アーダ』(69)など。77年没。。

「2022年 『ディフェンス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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