「異論の共存」戦略: 分断を対話で乗り越える

著者 :
  • 晶文社
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784794972774

作品紹介・あらすじ

九条の現実性と自衛隊の現実性にひとしく目配りをして、その共存の道を探る松竹さんのような人のことを、真のリアリストと呼ぶのだと思う。
──帯文・内田樹
世界中で分断と排外主義がはびこるいま、必要なのは、異論を認めたうえで対話を重ねる態度! 憲法九条を守りつつ、自衛隊の存在も肯定するという自身の立場から、歴史認識、自衛隊の海外派遣、慰安婦問題、拉致問題、核の抑止力……など意見が対立する数々の難題に対して、保守・リベラル双方の対話の場をつくってきた自称「超左翼おじさん」の著者が説く、共存の作法。

九条を大事だと思っている人も、自衛隊をリスペクトしている人も、あるいは改憲を求める人も、日本が平和な国であってほしいということは共通しているのである。『我、自衛隊を愛す 故に、憲法9条を守る』が出版された当時、日本と世界の現実が変化するなかで、これらの異なった考え方を結びつける条件、可能性が生まれていた。ところが現実は、お互いが相手を憎んでいるように見える。もっとお互いをよく知ろうではないか、異論は共存できるのだ、日本戦後史で最大の分断を乗りこえようと、私は訴えたかったのだ。(まえがきより)

【目次】
まえがき

第一章 九条と自衛隊が共存する時代 改憲論議は終わった
1 安倍「加憲」案が頓挫したことの意味
2 専守防衛と九条が響きあう理由と背景
3 自衛隊の海外派遣も九条と合致する場合がある

第二章 左右が一致する防衛問題の政策と法律をつくる
1 「自衛隊を活かす会」の結成とその問題意識
2 新時代の専守防衛の神髄は核兵器抜きの抑止
3 国際刑事法典を日本で制定すべきである

第三章 歴史認識でも左右の対話と合意が不可欠な理由
1 慰安婦問題での左右の対話の経験と教訓
2 「日本会議」も対話の相手になるのではないか
3 大館市が保革ともに中国人犠牲者を慰霊する理由

終章 立場の違う人びとが対話するということ
1 拉致問題や福島の問題でも同じ試み
2 立場への共感以前に「心」の通い合いが大事だ

補章 産経新聞デジタルiRONNAへの投稿から
1 百田尚樹『日本国紀』を読む
2 共産主義国に生まれたら、「コミューン革命」をめざしていた
3 北朝鮮の核・ミサイル問題を解決する「最適解」は何か

あとがき

感想・レビュー・書評

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  • 抱腹絶倒「超左翼」では無く「偽左翼」つまり著者は右翼ないし一種のファシストに過ぎない。

    ある意味日本国の持つ滑稽且つ危険な矛盾を自ら体現し肯定すると言う欺瞞である。

    戦争の放棄、戦力の不保持を憲法で謳うが、実質的に改憲され、自衛隊は世界トップクラスの規模を持つ軍隊である。そして専守防衛どころか、先制攻撃、敵地攻撃能力の保持まで政府が進める様になってしまった。

    著者は「左=革新、と右=保守の共存」をコトバ巧みに?「戦争推進勢力と平和勢力」の共存、あるいは「民主主義とファシズム」の共存にすり替えている。これが本書の本質だ。

    また、G・ソロス氏と主張の根幹が似ているのでソロス氏の「オープンソサエティ財団」(≒CIA)から著者はお小遣いをもらっているのでは無いかと私は疑っている。

    歴史を見れば、戦後日本人独自の憲法草案も作られたが、それに参加した人々は保守の人も革新の人も居たが、全員「治安維持法」で刑務所に入れられた経験者であった。即ち、保守でも革新でも、ファシズムの側には組しなかった人々である。
    外国の例でも、ロベルト・ロッセリーニ監督の映画「無防備都市」を見れば分かるが、キリスト教の僧侶もイタリア共産党員もお互いに信頼し合ってファシストと戦い、何方もファシストに命を奪われている。こういう共闘と著者の言う「共存」は全く意味が異なる事に注意が必要だ。

    著者は「右、左の民主主義勢力はファシズム勢力と共存せよ」と主張している。

    兎に角戦争を再び日本にさせてはならないと言う点で、保守も革新も共同しなければならないが、著者は戦争推進勢力と平和勢力の共存を言う。

    市民的政治的自由に於いて、言論の自由に於いて両者は尊重されるべきだが、その本質は、右対左では無く、「戦争推進勢力対平和勢力」で交わる事は出来ない。戦争か平和か、命か死か、人の命に関わる事だ。

    ファシズムが蔓延し、戦争を起こしてしまえば、保守も革新も、民主主義の側に立つものは真っ先に命を奪われて来たのが歴史の事実だ。

    結局の所、著者の果たす役割は保守の側に身を置きながらも民主主義と平和の側に立つ真面目な人々を戦前から命がけで言論の力で戦争に反対して来た100年続く野党から離反させる事である。つまり反戦平和勢力の分断と破壊が著者の目的である。

    こういう著者の役割はかつて1960~70年代に「マルクス主義」を標榜しながら残忍な暴力と殺戮を繰り返した「ニセ左翼暴力集団」と酷似している点に私は注意を喚起する。

    何故著者の様な人物が現れるのか、それも残念ながら歴史の必然だろう、我が日本はアメリカの目下の同盟者としてアメリカの方針で、自衛隊を作って来たが、朝鮮戦争でもベトナム戦争でもアメリカは自衛隊をそれに参戦させる事は出来なかった。これこそ憲法9条の威力である。
    アメリカの青年を戦死させる事はアメリカの世論が許さないので、来るべき戦争(核戦争=最終戦争の危険性がある)に自衛隊をアメリカ軍の補完、代替として参戦させたいのがアメリカ政府の意向だろう。

    これに対する最大の抵抗勢力が日本の反戦平和勢力であり、それには保守も革新も無い。この反戦平和勢力を分断し破壊する事が、平和憲法を破壊し、自衛隊を参戦させるのには絶対必要であり、その最大の障害が100年続く野党であり、その党が沖縄県のデニー知事の様に、保守の側にある人々から信頼を勝ち取っている事である。

    この信頼の絆を断ち切り、反戦平和勢力を分断破壊するのが著者の目的とする所だろうし、アメリカの戦争戦略の一環だろう。

    こんな著者がかつて100年続く野党で結構な肩書をもっていて、今もそれを利用しているのだから獅子身中の虫とか裏切りとか卑怯を通り越して惨めで滑稽ですらある。

    かつて善良だった人も団体も簡単に悪性化するのは歴史的に明らかで、スターリンなんて言うのは最初から悪党だったが、今や中国共産党なんてれっきとした「新自由主義政党」であり、アメリカに育てられたものだ。

    繰り返すが著者は「超左翼」では無く「ニセ左翼」ないしれっきとした「右翼」「ファシスト」ないしはそれらのパシリである。

    *「パシリ」=「使い走り」を指す俗語。

    補遺
    著者は100年続く野党から除名処分を受けたそうだ。(2023年2月7日頃)
    この政党の党是から言ってもそれで良いと思うが、党是と異なる異論を留保したから除名処分を受けたのでもないそうだ。
    自らそれを認めて参加した筈の規約や規則を破って公然と自らも参加していた政党を攻撃したのだから除名処分は何処の政党でも当然だろう。
    営業畑を歩いた事が有る方なら簡単に理解出来る内容だ。
    そしてこの政党の問題だけでなく、わが国と地球全体の反戦平和、民主主義の為に著者の本質を明らかにし、反論、反撃することが必要だと思う。
    しかしマスコミは著者を庇う論調だ。「異論を排除する政党」であると言う屁理屈は成り立たない。概ね同じ考えの人々が集まって政党等を作る。この政党は不一致点の留保は認められている。
    これはこの政党を封じ、いつか来た道、結社の自由を潰し「体制翼賛」そして戦争への道だと警告する。

    https://booklog.jp/item/1/4530017184
    書籍等での松竹伸幸氏、松竹元氏の主張への当該政党の公式の反論集である。
    私が個人的に論じるのとは異なる。そして安価である。¥270-

  • 東2法経図・6F開架:312.1A/Ma88i//K

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著者プロフィール

松竹伸幸(まつたけ・のぶゆき)
1955年長崎県生まれ。 ジャーナリスト・編集者、日本平和学会会員(専門は外交・安全保障)、自衛隊を活かす会(代表・柳澤協二)事務局長。一橋大学社会学部卒業。『改憲的護憲論』『〈全条項分析〉日米地位協定の真実』(共に集英社新書)、『9条が世界を変える』『「日本会議」史観の乗り越え方』(共にかもがわ出版)、『反戦の世界史』『「基地国家・日本」の形成と展開』(共に新日本出版社)、『憲法九条の軍事戦略』『集団的自衛権の深層』『対米従属の謎』(いずれも平凡社新書)、『慰安婦問題をこれで終わらせる。』(小学館)など著作多数。

「2021年 『「異論の共存」戦略』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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