- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784794973351
作品紹介・あらすじ
わたしたちは何を信じればいいのか?
不信をぬぐい、対立を越えて――
激しく揺れ動く社会で求められる知のありかたに
9 つの観点から迫っていく
危機が訪れればたちまち、さまざまな「専門家」が現れ、種々の「専門知」が入り乱れる。
多くの人たちは翻弄され右往左往させられることが世の常となっている。
それは新型コロナウイルス禍でいっそう明らかとなった。
これまでも起きてきた、これからも起きるだろう。
わたしたちは誰を信じればいいのか?
何を指針とすればいいのか?
科学、テクノロジー、歴史、メディア……
多彩な分野から執筆陣を招き、専門知のあり方を問いなおす論考集。
求められる知の実体を探り、どのように社会に生かすことができるかを考える。
【目次より】
◆専門家とは何か――村上陽一郎
◆隣の領域に口出しするということ: 専門家のためのリベラルアーツ――藤垣裕子
◆科学と「専門家」をめぐる諸概念の歴史――隠岐さや香
◆「ネガティブ・リテラシー」の時代へ――佐藤卓己
◆ジャーナリストと専門家は協働できるか――瀬川至朗
◆リスク時代における行政と専門家: 英国BSE問題から――神里達博
◆女子教育と男子教育からみる「教養」と「専門」――佐伯順子
◆社会と科学をつなぐ新しい「専門家」――小林傳司
◆運動としての専門知: 対話型専門知と2061年の子どもたちのために――鈴木哲也
感想・レビュー・書評
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隠岐さやかさん、瀬川至朗さんの論稿が面白かった。
隠岐さんの論稿は、近代フランスにおけるprofession(法律家・聖職者・医師等の、特定領域での公的判断を行う者)とexpert(個別領域における技術的な助言を行う者)の関係性を取り上げ、expertがどのように地位を確立していったかについて文献に基づいて解説している。
瀬川さんの論稿は、自らの記者としての失敗経験をもとに、記者としてどのように専門家への取材に臨むべきか、専門家としてどのように記者からの取材に臨むべきかの提案を記載している。
その他たくさんの著者による論稿があるが、誰がどのような視点で稿を寄せているのかを、冒頭でまとめておいてもらえるとより読みやすい。書名になってる「『専門家』とは誰か」からは若干距離がある議論をしている著者もいくらか見られたので、それぞれがどのようなスタンスで議論しているのかが明確になると、より立体的な内容になるのかな、と感じた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
教養のジェンダー差や歴史などの考察が参考になった。
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研究者、学者向けの本。
一般人の立場からみて9人の大学教授、出版職がアンソロジー形式で「専門家」というキーワードが絡むテーマで自由勝手に、論文形式の硬い文体で述べているので読みづらく、まとまりがない。 -
専門家とジャーナリズムの比較等があった。討論ではなく大学の研究者がそれぞれの専門において専門家について述べたものである。
学生にとってはあまり役に立つものではないような気がする。 -
いつも利用している図書館の新着本リストで目に付いた本です。
編者の村上陽一郎さんの著作は、最近の「エリートと教養-ポストコロナの日本考」をはじめ、いままでも何冊か読んでいます。
本書は、「専門家」をテーマに、科学・歴史・メディア等さまざまな分野の“専門家”による論考を採録したものです。 流石に“素人”である私にはなかなか付いていくことが出来なかった議論も含め、数多くの気づきがありました。