そうだ、葉っぱを売ろう! 過疎の町、どん底からの再生

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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797340655

作品紹介・あらすじ

男は朝っぱらから大酒をあおり、女は陰で他人をそしり日々を過ごすどん底の田舎町。この町でよそ者扱いされた青年が、町民の大反発を買ったことから始まった感動の再生ストーリー。今では70代、80代のおばあちゃんたちが、売上高2億6000万円のビジネスを支え、人口の2倍もの視察者が訪れる注目の町に変貌した。著者が二十数年かけて成し遂げた命がけの蘇生術の全貌が明らかになる。

感想・レビュー・書評

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  • 上勝町のニュースはどこかで見たような気がしたので 読んでみました。

    葉っぱビジネスがこのように始まったのですね。
    過疎の町が元気になっていく様子が描かれていました。

    どこの町でもできそうだけど この中心部なるような人がいないとダメなのでしょうね。
    とは言え 多くの地方では 高齢化が進み 大変な場所が多いので 真似できる点は真似して 元気な高齢者が増えると良いですね。

  • ウル覚えですが、テレビだったかメンタリストDaiGoさんだったかが前に無料から始めるビジネスみたいな感じで話していたので気になって読んでみました。

    徳島県の話でお遍路で歩いたことがあったので、それも読みたくなった理由です。

    2007年の本でなかなか見つけられなくてAmazonで購入。

    10年以上前の本ですが、成功する人には共通していることがあり、本質的な部分は時代が変わっても一緒なんだなと思いました。


    ・行動力
    ・考え方
    ・学ぶ姿勢
    ・お金の使い方

    など、学ぶポイントが多かったです。

  • 本書の副題は「過疎の町、どん底からの再生」。

    1979年、上勝町は人口流出が進む典型的な過疎地域で、人口の半分が65歳以上の高齢者だったそうです。

    赴任当初の横石氏は、町じゅうを毎日くまなく回り、一軒一軒の農家にあいさつをして、土地の地形や農家の名前、何を栽培しているかなどの理解に努めます。

    廃れつつある町の改革を訴えますが、地元住民からはなかなか信頼を得られません。


    そんな中、1981年の異常寒波により町の主要産業であるミカン畑が甚大な被害を受け、住民たちは肩を落とします。

    『なんとかせないかん、すぐに農家の現金収入になるものを作っていかないかん』

    横石氏は農家と卸売市場を走り回る日々を数年間にわたり続け(年間4500時間労働!)、新しく栽培を始めた高冷地野菜の売上を2年で1億円以上伸ばします。


    さらにあるきっかけから、野山の植物の葉や花が、日本料理の飾り付けに使われる「つまもの」として売り物になる可能性に気づきます。

    住民たちは横石氏の野菜栽培の功績に信頼を寄せつつも、『葉っぱがカネになるわけがない』と疑問を抱きます。

    それでも横石氏の粘り強い働きかけにより、4人の高齢女性の協力を得て「彩(いろどり)」というブランドで売り出します。


    最初は市場でまったく売れず、横石氏は自分の収入を全部つぎ込んで各地の料亭を回り、葉っぱがどのように使われているかを研究します。

    品質改良と努力の末、1986年から始まった「彩」事業は、1年半で市場で高値が付くほどのビジネスに成長します。

    地元住民、特に高齢女性にとって、葉っぱは軽くて扱いやすく、即収入になりやすいことから、仕事として絶大な支持を得られたそうです。

    自分たちの生産品が市場でどのような価値をもたらしているかを横石氏から伝えられた高齢者たちはますます喜び、「仕事をしているときが一番楽しい」「子供が町に帰ってくるようになり、顔を見られるのが嬉しい」と口を揃えます。

    事業の仕組み、横石氏の情熱だけでなく、地元の方の活躍や生きがいまで、とても多くのことを学べる一冊です。


    横石氏が大切にされたことの中から、私が感銘を受けた点を2つ紹介します。

    【現場主義】
    赴任時から「彩」事業の普及に至るまで、横石氏ご自身が足を動かして現場を知ったことが一番だといいます。

    公務員だった横石氏の父親から教わった「現場の人を、一番大事にせなあかん」ということを実践されたからこそ、地元の農家の協力を得られ、逆風を乗り越えられたのでしょう。

    【「気」を育てる(トップの情熱)】
    家庭の事情により横石氏が第一線を離れた後、一時的に「彩」事業の売上は減少します。

    この経験から、自身が最大限働き、なおかつ一緒に働く人をやる気にさせるような「気を育てる」人の存在が、いかに大切かを知ったといいます。


    私もメンターから「答えは現場にある」と教わってきて、いつも現場で自分を研磨し続けてきました。

    現場でさまざまな障害を経験し、困難にぶつかってもそれを乗り越えて、信頼関係を築いた人たちとともに豊かになっていく横石氏の姿は、まさに私が目指す理想像でもあります。

    絶対に目標を達成するという気持ちを持ち続け、私自身も現場の最前線を突っ走っていきます。

  • 「仕組みに組み込むことが大事だよ」
    横石さんのよく言われる言葉だ。

    葉っぱという何でもないものに目をつけて、
    それこそが価値ある地域資源だと認識して”売り”とし、
    地域の経済効果と同時に高齢者の有効活用を実現し、
    最終的には地域に”誇り”を取り戻した、
    希少な成功例。

    横石さんの言うことは、
    短いながら含蓄がある。
    仕組みについても同様で、それは
    環境というものはそれだけをやろうとしてもだめだ、
    という言葉にも通じている。

  • 面白い! 逆転劇が

  • 大学院時代に出会った、自分のバイブルであり、コンパスとも言える一冊。

  • 山間地の過疎の町だった徳島県上勝町を「葉っぱビジネス」(料亭などが料理に添える「つまもの」として各種の葉を販売)で見事に再生させた著者が、そこまでの歩みを綴った一冊である。

    横石知二氏が上勝町 で成し遂げたことこそ、語の本来の意味での「イノベーション」だろう。

    金銭的価値ゼロだった葉っぱを億単位の利益を生む商品に変え、地域の高齢女性たちに仕事と生きがいを与える仕組みを作ったのだから……。
    見事な価値創造である。

  • 葉っぱを売ろう!

    自分の身の回りにあるどうってことないモノでも、持っていくべきところに持っていけば、価値があって、商売になりますよ〜

    という小手先のマーケティング論では全くありませんでした。

    自分の置かれた環境で、「真剣に」どうすればいいか考えて、「真剣に」行動を「続けて」いくとどうなるのか。読んでいて、何度も、ここまでやるのか…と感じ入りました。
    「真剣に」「続けて」というところを除けば多くの人がやっているんだろうけど(私は考えるだけで行動までもいかない人ですが…)。

    いい人材はヘッドハンティングされたり、よりよい会社に転職するというのが当たり前の時代ですが、
    著者みたいな希有な仕事人は、町から嘆願書が出たり、町が会社を設立したりするほど大事にされるわけで、人生かけた仕事をしていると、普通じゃ起こらないことが次々に起こるんだなあと思いました。

  • 【現場主義】

     葉っぱビジネスとは、葉っぱを「つまもの」として商品化して売ることである。またこの葉っぱビジネスを通して、お年寄りや女性でも仕事ができる、働きやすい町づくりを著者である横山知二さんは成し遂げた。高齢化や過疎化が進んでいる現代社会にとって、この本は何かヒントを得るきっかけになるかもしれない。
     横山さんの成功のキーワードとして「現場主義」というのがある。現場を知ることで何が悪いのかの問題点とどうすれば良いのか改善点が思いつくのだ。問題点として、この話の中心となっている上勝町は、高齢化と女性の社会的地位だ。仕事は主に農作業であるため、お年寄りには負担が大きく、また当時の女性は社会的地位も低かったため、手伝いをするか専業主婦をするかの選択肢で、暇を持て余す人が多かった。それを改善したのが、葉っぱを売ることだ。葉っぱなら負担はないし、何よりお年寄りも女性も気軽にできる仕事内容だ。これは、現場をよく知ることを徹底していた横山さんだからこそ気づけた事業だと思う。私のアルバイト先でも、現場を知ることが大事かわかる場面があった。エリア部長が、お店に来て、毎月の売り上げや労働時間、人件費の数字だけを見て、アドバイスをするのだが、現場を知らない人の言葉は説得力がなく、ついていこうとも思えないものだ。その点、いつも働いている店長やマネージャーのアドバイスは的確なものであり、一緒にお店を作り上げていこうと思える。
     次に大切なことは「気」を育てることだ。横石さんが取り入れたのは、情報の視える化だ。パソコン画面を見れば、毎日の自分の売り上げや順位が表示されるため、競争心を刺激してやる気を育てることができる。また、横石さんの手書きイラストを載せて応援のメッセージを添えることでみんなの気を継続させる工夫をしている。私もやる気の継続はできないほうだ。勉強を毎日しようと思って始めてみるが、続くのは最初のうちで、気づいたらさぼってしまう。そこで取り入れたのが、勉強時間を記録して他人と共有ができるアプリだ。これを使うことによって、自分の努力が目で見てわかり、やる気が出る。
     葉っぱビジネスはYOUTUBEにも動画があるので、まずはそこでおばあちゃんたちの生き生きとした笑顔を見ていただきたい。もし気になったらこの本を手に取って読んでいただきたい。

  • what a great idea! amazing his focus and energy! that's a www.!

  • ・価値は生み出すもの
    ・ゴミもやり方によっては高く売れる

  • むちゃくちゃ面白かった。帰宅中の電車の中で読み始めて乗り過ごし、戻る電車をまた乗り過ごして、もう一度出社してしまうところだった。文章は上手いとはいえないが、当事者が書いているから迫力は満点だ。

    人口2000人、2人に1人は65歳以上の高齢者という、四国は徳島の小さい町、上勝町。この町に、平均年齢70歳で、年収1000万プレーヤーが何人も出るような事業が存在する。しかも売っているのは「葉っぱ」・・・というところが面白いのではない。いやそれももちろん面白いんだけど、何より面白いのは無茶な若者がたった一人で2000人の町と、そこで暮らす人々を変えたこと。そして年寄りたちが喜々として働き、暮らし、若者も戻り始めた町になっていったことだ。
    これ映画にしたら面白いんじゃないか、と思ったらもう映画になってた。観よう。

    ビジネスの参考書として読むこともできるのだろうとは思う。だが本書に魔法の使いかたは書いてない。現場を重視すること、働く人に寄り添うこと、売れるシーンを想定すること・・・基本中の基本とも言えることだ。しかも著者は働き始めて17年、給料を自腹で勉強と取材をするために使ってしまって、家には一銭も入れていないそうだ。奥さんと子供3人は著者の親がかりだったそうだ。それがビジネス成功の秘訣だ! と言われても読者は困るだろう。
    ビジネス本として読むのはもったいないと思う。

  • 7月

    おばあちゃんたちの笑顔とそこから広がる町全体の明るい変化。
    どんなビジネスでも、
    現場ひとつひとつ、一軒一軒を回り
    向き合い続けることが何より大事なんだと 改めて。
    そういうことは忘れずに地域と関わりたい。

    勝山に行ってみたくなった。

  • 生きがいを見つけた話。
    現場主義を実直に貫いた著者の謙虚さを見習いたい。
    命をかけてはたらいている行動に賛否はあるが
    生きがいをを見つけ行動していることは幸せなことなのであろう。

    手紙の話はさすがに泣く。

  • 素晴らしい本。
    ミカン産業が打撃を受けて危機に陥った農村を、外部から訪れたただの農協職員が再建していく、その半生。けっして自分の自慢げに書いているのではない。

    無私の人間の情熱に感服。
    ビジネス狙いで事業を立ち上げたのかと思っていたが、そうではなかった。彼の行動の凡ては、たった一人で改革を目指し、女性や高齢者の自立をめざし、他人から請われ、やがて役場職員や経営者となっていく。

    離村しないでほしいという嘆願書の部分は読むと涙がにじむ。給料を家庭に入れなかったというのはどうかと思ったが、農村出身者の奥さんやご両親の理解あってのこと。

    経営者たる者こうでなくてはならない。


    この本のなにが素晴らしいかというと、ただの地域振興策によくある、お金をばらいての若者移住などではなく、地元民それも高齢者の知恵や経験、勤勉さを活用しきった点。しかし、彼がいないと士気が衰えていくという将来的な問題点も指摘されつつある。

    農村のみならず国全体の疲弊は、ひとひとりが自分が主役となって活躍していこうという気概の欠如にあるのではないだろうか。

  • 著者の仕事に対する圧倒的な熱意とひたむきさ、そして行動力に脱帽。
    働いて評価されることは、80歳、90歳になっても生き甲斐になるんだ。私も社会とつながっていられるおばあちゃんになりたい。

  • 流れについて学べる本!

    気を注入していく!

    本には少ししか描かれていない横山さんの努力とそれが日の目につくまでの期間を考えるとほんとに大尊敬です!
    「絆は磨かれた自分が得られる最高の持ち物」もっともっと自分を磨いていくことを決めました!
    周りをも幸せにするほどの結果の裏のコミットと努力、そこを自分もやるψ(`∇´)ψ!

  • 面白かった。ANAの機上番組でみていらい、探していたわけではないが、本屋で偶然見かけて読んでみたが、人一人が持っている力は大きい。巻き込む力は行動力だ。

  • 横石知二さんは、徳島県上勝町で「葉っぱビジネス」を考案し軌道に乗せられました。葉っぱビジネスとは、料亭などでの料理に彩りを添えるために使われる草木(例えば紅葉の葉っぱ)などを、市場に卸す町のビジネスです。

    これは過疎の村のビジネスとしての成功例だというだけではなく、それまで農村における仕事では従たる立場に甘んじていた女性や高齢者の活躍の場を生み出したという意味で、すばらしい事例です。

    また横石さんは、葉っぱビジネス以前にも、補助金に頼りがちだった農家の方々に、様々な販路を提供することで、やる気にさせていたようです。

    そしてこの横石さんの、地域への献身・貢献ぶりがすごいです。

    ほとんど休まないで働いた(残業代はほとんどなかったそうです)、自腹で勉強した(普通のレベルではなく、かなり後になるまで家にほとんどお金を入れられなかったそうです。それを認め支えた奥さんもすごいですね!)、地元のためになることなら批判を恐れなかった、などなど。

    その献身・貢献ぶりは、横石さんが一度上勝町農協を辞めてほかの地域で辞めようとした時に、農家の方々から嘆願書が出されたりしたことからもうかがえます。

    しかし私は、逆にこれは悪い例でもあると思います。

    それはほかの地域へのモデルには決してならない、という意味です。

    モデルというのは、「他の地域でもある程度頑張れば成功できるための参考」にならなければならないと思います。

    この上勝町のケースは、スーパーマン的な横石さんのマザーテレサ的な献身によってできあがったものであり、他の地域の参考にはならないのではないかと思うのです。

    事実、上の嘆願書が出たというエピソードや、横石さんが一度農業から離れ役場で産業振興の役職に就いたときに、それまでうまくいっていた農業がガタガタになったというエピソードから分かるように、上勝町の成功例は、もちろんおばあちゃんたちなどが頑張って活躍していることは素晴らしいのですが、それは仕組み化された成功というよりは、横石さんの努力にかなりの部分依存しているように見えます。

    しかも横石さんのご努力とご献身はかなりの無理の上に成り立っていたものであり、氏は45歳の若さで心筋梗塞にも見舞われ、運良く一命をとりとめておられます。

    横石さんのような知恵があって全身で献身的になれるような人は、世の中にほとんどいません。ですから、葉っぱビジネスはすごいし、おばあちゃんたちの活躍も喜ばしいですが、他の地域の参考としてのモデルにはならないようにと思います。

    スーパーマンにしかも長期に頼る地域づくりは、危ういです。特に持続可能性という意味で。地域づくりにヒーロー待望は危険です。

    ただし、女性や高齢者に居場所と活躍の場を創造し、収入UPという実益をちゃんとあげた実例としては学ぶところがいっぱいあると思いますので、参考として、そして反面教師として読んでみていただけたらと思います。

  • 面白かった。
    何もない過疎の町の町おこし物語。
    横石さんのパワーがすごい。
    田舎の実情を知ってるだけに、やってできないことはないんだなぁと感動しました。
    逆に、田舎だからできるんだ!

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著者プロフィール

1958年徳島県生まれ。株式会社いろどり代表取締役社長。徳島県農業大学校園芸学科卒業後、上勝町農協に営農指導員として就職。16年連続で農産物の売り上げを伸ばす。91年に上勝町役場に転籍。山の資源を生かした商品開発で全国的に注目を浴びる。96年、産業情報センターと株式会社いろどりの責任者として、特産品の彩(いろどり)をはじめ、香酸柑橘、しいたけ、お茶の企画販売を行う。 2002年役場を退職。株式会社いろどり」の専務に就任。代表取締役社長として現在に至る。2002年にアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー日本大会特別賞受賞。2003年ソフト化大賞受賞。2007年ニューズウィーク日本版「世界を変える社会起業家100人」に選出される。2012年彩事業を舞台とした映画『人生、いろどり』が全国で上映。2014年徳島県表彰を受賞。四国大学特任教授も務める。

「2015年 『学者は語れない儲かる里山資本テクニック』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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