日本人の9割が知らない遺伝の真実 (SB新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797389746

作品紹介・あらすじ

◆ゲノム編集、クローン技術、iPS細胞……、21世紀は遺伝子の世紀だともいえそうだ。
いま注目の「行動遺伝学」からわかってきた、遺伝と環境、才能と努力、本当の関係!
ベストセラー 『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(橘玲)を読んで面白いと思った人はさらに面白がれる!

◆行動遺伝学の第一人者が明らかにする!
教育学では、遺伝と学力の関係を無視してきたが、 「知能指数は80%遺伝」という衝撃をどう捉えればいいか?
身長や体重など身体的な特徴だけではなく、IQや性格への遺伝的影響も大きいことがわかってきた。ならば、勉強することには意味がないのか?
しかし、遺伝的なものが自発的に発現するとは限らず、教育環境も重要である。

◆「ヒトは生まれてから成人に向かうにつれて、さまざまな環境にさらされて、さまざまな経験を積むなかで、
だんだんと遺伝的な自分自身になろうとしている」、すなわち
「年をとるほど遺伝の影響は大きくなる」という現象なども見いだせる。

感想・レビュー・書評

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  • 行動遺伝学の入門書。学術的な観点から遺伝に関する事実をわかりやすく教えてくれる。遺伝の影響の大きさが社会で思われている以上に大きいという事実を淡々と説明してくれる。

    知能テストで測れるものが知能であるという定義はとても面白い。能力は社会的に認められて初めて能力として認められるのであって、求められない、測れない能力は社会で機能していても軽視されるというあたりはシビアな現実を指摘してる。

    結局は遺伝の影響からは逃れられないという身も蓋もない事実を認めてその上で教育をどう考えるかという話になるがなかなか解がない感じ。

    この著者の文献を引用して橘玲氏がベストセラーをだし、後追いでこの本が出来たという経緯も面白かった。

  • 2017.11.27 amazon

  • 知見はあったけども少し見やすく書けなかったか

  • 本書に記載されている、遺伝による決定要素と環境的な要素の割合について、どちらを多いと思うだろうか。これは人によると思う。
    才能にも言及してあり、その発現時期はまだまだ不明であり、発現原因も容易には解明できない。
    しかし、誰しも才能があるとメッセージは感じられ、関わる環境(人や生活様式など)がどのように影響するかは分からないが、子供自身が希望を持って粘り強く行動出来る機会を与えることが大事だと感じた。

  • 橘玲氏の本で紹介されていたので読んでみた。遺伝、共有環境、非共有環境の連立方程式が具体的に書かれていたのでとても参考になった。子供が小さい時に親が、詰め込み教育をしても、高校生くらいになると遺伝の影響がより鮮明に出てしまい落ち着くところへ収斂してしまう。共有環境の与える影響は限り無く小さい。努力すれば成功すると思ってる親も、努力そのものが出来る出来ないまでも遺伝で決まっていると言う事実を知ればなす術が無くなってしまう。適性を伸ばせばいいと言う話も有るが、慰めにしか聞こえない。後半は安藤氏の教育論が熱く述べられている。

  • 遺伝の素養を発現させるには環境が影響することがわかる内容だった。何が遺伝しているかは目に見えて分からないものもあるので、教育においてはいろんな経験が必要で、「好き」を伸ばしていくことが必要だと感じた。

  • 向かないことを頑張るよりも、自分自身の特性を伸ばし活用していくことが重要だと感じた。
    自分にとって何が向いているかということを知るために、様々な経験が必要だと感じたし、将来子供ができたときには様々な経験をさせたいと思った。

    歳をとればとるほど、遺伝による生まれ持ったその人らしい特性が発現してくると言う記述にはとても共感ができた。
    親元を離れて暮らすようになってから、5年以上が経つが、年々行動が親に似てきていると感じている。
    親に対して尊敬できるところはあるが、親のようにはなりたくないと思っているので、複雑な気持ちでいる。
    私は遺伝に抗っていきたい。

    筆者は向いていることを頑張れよと主張しているが、この発想が行き過ぎるとガンダムSEED destinyのデュランダル議長になるのではないかwと思ってしまった。笑

  • 橘玲による『言ってはいけない 残酷すぎる真実』が引用したのが著者の本。同著作のベストセラーに便乗したのだとあとがきで白状するが、橘玲は面白そうな論文や著作を紹介するマーケター的な存在であり、研究している同氏には便乗する資格は十分ある。

    運動能力や身長などは、遺伝による影響をすんなりと受けている。見た目もそうだ。それなのに、知能だけは、「(勉強の)努力が報われる」という事を信じていて、このことに言及する事はタブー視されている。いや、それで良いのだと思う。知能の高い人間はこの本質に気づいても、実害が無い。知能の低い人間は、この本質に大半は気づかない。で、極力、前向きに努力をし、限界はあるが、少しはマシな社会の構成員になるのだから。という事で、橘玲もそうだが、この構造に気づいているなら、これらの本は、ある意味では、知能の高い人たちがそういう人たちを蔑む趣味の悪い本なのだ。

    1994年のベルカーブ。ハーンスタインとチャールズマレーが、知能の優劣によってアメリカ社会が階層化されていることを膨大なデータを使って示した。その際に黒人を優遇するアファーマティブアクションは落ち切るべきだと言う差別主義を主張していると批判されたが、これは誤解。そうした弱者に住みよい世界を考えたいという目的だったようだが、こういう事象が認知能力の壁の象徴的な事例、という気がする。主張が伝播する中では、やはり表面的、過激、印象的な「言論」が独り歩きするのだ。

    つまり、知能に差がある事が明らかにされた所で、別に日常生活は変わらない。既に自覚している。タイトルのように、9割が知らないのではなく、経験的に知っているのだ。微妙なのは、自覚のない中間層なのだが、彼らも(私も)、数学でノーベル賞が取れるとは考えていないし、9か国語が話せるとも思っていない。互いの認知を騙し騙し、表現やプレゼン、知識をスノビッシュに演出しながら生き、哀れ渋滞化している中間層であることを自認し、満員電車や帰省ラッシュで時に物理的にそれを味わい、ランダム性の承認欲求を慰めに過ごすのみだ。そういうものだからと、悲観も無く。まあ、良いではないか。我々は、天才の発明や互いの凡人による労働力に便乗し、無自覚に助け合い生きているのだから。

  • 行動遺伝学の知見。
    50%は遺伝の影響、残り半分は非共有環境の影響を受ける。
    遺伝の影響=やっても仕方ないではない。
    評価される能力は社会環境によって変化する。
    発言していない能力の発見。
    経験を通じて自分に合った環境探し。
    学年制ではなく、能力制による学校改革。
    12年間ないし15年間の教育を受けても残らない知識。
    遺伝の影響は無視できるほど軽くはないけれど、全てを決定するものではない。
    遺伝的才能を生かす道を探す。

  • 知能、運動能力、犯罪傾向、50%は遺伝する。
    多彩な能力をみんなで評価しようだった。

    いろんな経験をさせて、本人の特性を見つけてあげる。でも結局、本人のやる気次第だと思った。
    遺伝に頼るより、やる気の伸ばし方を教えてあげたい。

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著者プロフィール

慶應義塾大学文学部教授
主要著作・論文:『生まれが9割の世界をどう生きるか―遺伝と環境による不平等な現実を生き抜く処方箋』(SBクリエイティブ,2022年),『なぜヒトは学ぶのか―教育を生物学的に考える』(講談社,2018年),『遺伝と環境の心理学―人間行動遺伝学入門』(培風館,2014年)など

「2023年 『教育の起源を探る 進化と文化の視点から』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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