夜明けを待つ

著者 :
  • 集英社インターナショナル
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784797674385

作品紹介・あらすじ

生と死を見つめ続けてきたノンフィクション作家の原点がここに!私たちは10年という長い年月を、とことん「死」に向き合って生きてきた。しかし、その果てにつかみとったのは、「死」の実相ではない。そこに見えたのは、ただ「生きていくこと」の意味だ。親は死してまで、子に大切なことを教えてくれる。(第1章「『死』が教えてくれること」より)家族、病、看取り、移民、宗教……。小さき声に寄り添うことで、大きなものが見えてくる。『エンジェルフライト』『紙つなげ!』『エンド・オブ・ライフ』『ボーダー』……。読む者の心を揺さぶる数々のノンフィクションの原点は、佐々涼子の人生そのものにあった。ここ10年に書き溜めてきたエッセイとルポルタージュから厳選!著者初の作品集。(目次より抜粋)第1章 エッセイ「死」が教えてくれること夜明けのタクシー体はぜんぶ知っている今宵は空の旅を命は形を変えてこの世の通路幸福への意思もう待たなくていいダイエットハノイの女たち未来は未定夜明けを待つ痛みの戒め柿の色ひろちゃん和製フォレスト・ガンプ誰にもわからないトンネルの中スーツケース梅酒ばあばの手作り餃子縁は異なもの第2章 ルポルタージュダブルリミテッド1 サバイバル・ジャパニーズダブルリミテッド2 看取りのことばダブルリミテッド3 移動する子どもたちダブルリミテッド4 言葉は単なる道具ではない会えない旅禅はひとつ先の未来を予言するか悟らないオウム以外の人々遅効性のくすり佐々涼子(ささ りょうこ)ノンフィクション作家。1968年生まれ。神奈川県出身。早稲田大学法学部卒。日本語教師を経てフリーライターに。2012年、『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』(集英社)で第10回開高健ノンフィクション賞を受賞。2014年に上梓した『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生・日本製紙石巻工場』(早川書房)は、紀伊國屋書店キノベス!第1位、ダ・ヴィンチBOOK OF THE YEAR第1位、新風賞特別賞などに、2020年の『エンド・オブ・ライフ』(集英社インターナショナル)は、Yahoo!ニュース|本屋大賞2020年 ノンフィクション本大賞に輝いた。他の著書に『ボーダー 移民と難民』(集英社インターナショナル)など。

感想・レビュー・書評

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  •  ちょうどこの作品を読み始めたとき、佐々涼子さんの特集が組まれている朝のニュースを観ることができ、絶句してしまいました…。だって、そんな悲しい……。私は佐々涼子さんの描くノンフィクションが好きで、「エンジェルフライト」も「紙つなげ」も「エンドオブライフ」も「ボーダー」も読んできました。それぞれ、心に響くものがあって、この作品を読めることを楽しみにしてて読み始めたけれど、序盤ではそこまで深刻だとは思ってもいなかったのに…佐々涼子さん、脳腫瘍の希少がんで闘病中、平均余命13ヶ月との告知を受けたのは昨年の11月って…。

     この作品は、そんな佐々涼子さんが今までに綴った短いエッセイとルポをまとめたものになっています。ノンフィクション作家として感じたこと、読み手に伝えたいこと…それは自らの死生観や宗教観であったり、元日本語教師の目線も含め日本で生活する外国の子供達のことであったりとさまざまなな内容となっています。印象的だったのは、外国人技能実習生に関わる内容で日本はこのままでいいのか、問題提起しています。今のままでは、日本に来てくれる外国人はいなくなってしまうと…。

     佐々涼子さんの紡ぎ出す文章は、読みやすくてどこか優しいんですよね…!まだまだ、書き続けてほしい思いと、家族との大事な時間を穏やかに過ごせればそれもありなのかとも思ったりもして…。今を愉しむ人生、「ああ、楽しかった」と言える人生を、私も送ることができたら幸せだと感じました。

    • かなさん
      ヒボさん、おはようございます。
      「エンドオブライフ」も「エンジェルフライト」も
      すっごくいい作品ですよ!
      ぜひぜひ、手にしてみてくださ...
      ヒボさん、おはようございます。
      「エンドオブライフ」も「エンジェルフライト」も
      すっごくいい作品ですよ!
      ぜひぜひ、手にしてみてください!
      ヒボさんのタイミングで、ね(^-^)
      2023/12/28
    • Kさん
      かなさんこんばんは!
      実は本日から冬休み…ドラマ「エンジェルフライト」を一気見中でして、毎話涙無しにはいられません……。はやく活字でも読んで...
      かなさんこんばんは!
      実は本日から冬休み…ドラマ「エンジェルフライト」を一気見中でして、毎話涙無しにはいられません……。はやく活字でも読んでみたいです(図書館開館日待ちきれない…)
      2023/12/28
    • かなさん
      Kさん、おはようございます。
      「エンジェルフライト」をドラマで堪能中なんですね!!
      私はまだドラマの方は観たことがないけど
      いつか、観...
      Kさん、おはようございます。
      「エンジェルフライト」をドラマで堪能中なんですね!!
      私はまだドラマの方は観たことがないけど
      いつか、観てみたいと思ってはいるんです(^o^)丿
      ぜひぜひ、佐々涼子さんの本の方も読んでみてくださいね。
      できれば、ドラマとの違いとか
      教えてもらえたら嬉しいなぁ~と、思います。
      2023/12/29
  • ノンフィクション作家として知られている佐々涼子さんの本は何冊か読んでいる。
    『エンジェルフライト』『紙つなげ!』
    『エンド・オブ・ライフ』『ボーダー』など。
    読みやすいうえに心の奥にまで伝えたい思いが、ひしひしと伝わり届いてくる。

    彼女があと余命わずかだと知りとても驚いている。
    この「夜明けを待つ」は、エッセイとルポタージュで構成されている。
    生と死を見つめ続けてきた原点である。

    なぜ取材するのか。
    それはきっと私に想像力がなく、人の気持ちもわからないからだ。
    だからこそ人の中に入り、話に耳を傾ける。
    彼らと一緒の空気を感じ、その表情を見つめ、そして少しだけ彼らの世界を知る。

    そう彼女は書いてあるが、人の気持ちがわからないわけじゃないと思った。
    わかるからこそ言いたいことの思いが文章で伝わってくるのだから。
    これほど的確に気持ちまで伝わってくるルポはないのだから。

    エッセイで彼女の家族のことや病のこと、そして取材相手に対する姿勢が見えてくる。
    ルポでも過酷な取材のなかで憤りや虚しさなども幾多とあっただろうと感じられたが、それを超えて素晴らしい作品を見せてくれた。



  • 恥ずかしながら「佐々涼子」の名を初めて知った
    送ってくれた友人に感謝
    そして彼女の生きざまに☆五つ!
    一章 エッセイ
        柔らかい言葉で綴られた彼女のこれまで
    二章 ルポルタージュ
        やはりルポが秀逸!
         ・外国人技能実習生の現実
          ダブルリミテッド
         ・禅
         ・オウム真理教
    そして、あとがき
      衝撃を受けた
    どうか『ああ、楽しかった』と終えられますように……

    この一冊でいろんなことを教えていただきました
    他の本も読んでみたいと思います
    ありがとうございました

    ≪ 生と死を 見つめ続けて 今もなお ≫

         

  • 恐らく彼女のこの先対象に寄り添った様な新しいノンフィクションを読む事は出来ないかも知れないと思うと今までの作品が宝物の様に思えて来る。
    同世代で同じ様な経験をし同じ様なモノを見聞きして来た仲間の様に勝手に思っていた人が今静かに先に進もうとしている。
    どうか「楽しかった」と終えれます様に。
    まだまだ早目の「ありがとう」に変えて。

  • 佐々涼子 夜明けを待つ人 - 日本経済新聞(2021年10月23日 会員限定記事)
    https://www.nikkei.com/article/DGKKZO76889380S1A021C2KNTP00/

    「私は脳腫瘍」5年生存率16%の現実 佐々涼子さんは夜明けに思う:朝日新聞デジタル(有料記事2023年2月1日)
    https://www.asahi.com/articles/ASR1Z6TKGR1WUCVL030.html

    池上彰のこれ聞いていいですか?:最後の瞬間まで、人は生きる 脳腫瘍で闘病中の作家・佐々涼子さん | 毎日新聞(2023/8/26 有料記事)
    https://mainichi.jp/articles/20230826/k00/00m/040/115000c

    夜明けを待つ/佐々 涼子 | 集英社 ― SHUEISHA ―
    https://www.shueisha.co.jp/books/items/contents.html?isbn=978-4-7976-7438-5

  • ノンフィクション作家、佐々涼子さんのエッセイ&ルポタージュ。
    「エンジェルフライト」「エンドオブライフ」など、正と死に焦点をあてたルポを書かれているが、ご自身が今、悪性の病にかかっておられ、もしかするとこれが最後の作品になってしまうのかもしれないと思うと、残念でならない。
    一作でも多くの作品を書いて欲しい。

  • 今までどれほど沢山の事を佐々さんの本に教えてもらっただろう。どれだけ救ってもらっただろう。
    佐々さんがこれまであちこちに綴ってきたエッセイの中なら厳選された数編が収められている今作。
    読めばこれまでの作品の数々がフラッシュバックしてくる。
    佐々さんの作品をまだまだたくさん読みたい。

  • 何かで見かけて、これは読まなきゃならないやつ…という気が強く強くして、迷わず買った。その通りだった。

    エッセイ部分は、そうだよねーと思ったり、ちょっとフフッと笑ってしまったりしながら読んだ。生について。死について。人生に起きる善いこと悪いことについて。大事なことがたくさん詰まっている。

    それにしても、なんと言ってもタイトルがいい。

  • これまでに読んだ作品にガツンと衝撃や感動をもらった佐々さんのエッセイとルポルタージュ。

    家族、病、看とり、移民、宗教などさまざまな著書で綴られていたことの背景にも触れられていました。
    『小さき声に寄り添うことで、大きなものが見えてくる』
    という表紙見返しの言葉にも頷ける。
    さまざまな問題が複雑に絡まりあって、社会に存在していることを感じました。

    佐々さんの文章には、どうしてこんなに心を揺さぶられるんだろう…。言葉がダイレクトに届いてくる。
    「ダブルリミテッド」という新しい言葉も初めて知った。
    新たに知る事実に向き合いながらも、いつの間にか自分と向き合っているような気持ちになるし、これからの社会のあり方についても自然と考えさせられる。
    エッセイと言えど実に濃い内容の1冊。

    知りたかった佐々さん自身のこと、家族のことなども知れて良かった。
    だけど、佐々さんが現在患っている病気のことはとにかくショックでした。

  • ノンフィクションはあまり読まなかったが、著者の本をきっかけにジャンルが広がった。
    今回もエッセイというけれど、やはり一つ一つが渾身のノンフィクション、ルポルタージュだ。襟を正して、読まないと心が負ける。

    なにも出来ないけれど、Xでフォロー、皆さんの応援を拝見している。

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著者プロフィール

ノンフィクション作家。著書に『エンジェルフライト』『紙つなげ!』など。

佐々涼子の作品

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